全国出稿状況 CMデータで紐解く地域別マーケティング事例〜梅雨入り前後の "部屋干し"洗剤CMを調べてみた〜
当社の「テレビCM速報」は、従来関東・関西・名古屋・北部九州・札幌の5地区において、CMがオンエアされた翌日に各種情報(放送局・放送日時・CM秒数・GRP)を広告主・銘柄・素材別に提供してきました。2018年4月から、これまでの5地区から全国規模(ビデオリサーチ視聴率サービスエリアの27地区対応)に拡大し、日本で初めて全国27地区でのテレビCM出稿状況を分析することが可能となりました。
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2018年の関東地区での梅雨入りは平年より2日早い6/6に宣言され、梅雨明けは観測史上最速となる6/29に発表されました。今年は6月中に梅雨が明ける短い梅雨の季節となりましたが、今回は「梅雨」にちなんで家庭用洗濯洗剤のCMにおける「部屋干し訴求」をテーマに、地区別の出稿量を確認していきます。
事例:家庭用洗濯洗剤・部屋干し訴求CMの出稿戦略
梅雨の時期において避けては通れなくなる「部屋干し」ですが、各洗剤ブランドの訴求もさまざまです。今回は「ブランドA」と「ブランドB」の2つのケースを紹介します。
①ブランドAのケース:梅雨を見据えた素材の一斉切り替え
ブランドAでは、梅雨の時期に合わせて部屋干しを訴求するCMの出稿を開始しました。梅雨前の「部屋干し訴求なし」CMから、「部屋干し訴求あり」の新CMへの移行と遷移について、4月・5月・6月の3か月間で追ったのが【図1】になります
(図1)ブランドA
4月にはまだ「部屋干し訴求あり」のCMの出稿はありませんが、5月には半数を占めるようになり、6では「部屋干し訴求あり」のCMが大半となりました。この傾向は全地区同じであり、地域ごとの差は特に見られません。ブランドAは、エリア毎に差をつけたプランニングを行っていない事例となりました。
②ブランドBのケース:地区別投下時期・投下量の調整
ブランドBにおいては、ブランドAとは異なり今年は早くから部屋干しに関するCMに絞った出稿を各地で行っています。そのブランドBのラインナップの部屋干し商品1と部屋干し商品2について先程と同じく4月・5月・6月の3か月間でみてみたのが【図2】です。
(図2)ブランドB
まとめ
部屋干し商品1については、4月から全地区満遍なく出稿されはじめており、6月になると各地区で出稿量が増えていることが分かります。一方で部屋干し商品2は、東北エリア(仙台・福島・山形・岩手・秋田・青森の6県)は出稿の出だしが遅く、5月から開始されています。また、他地区と比べると、6月においても部屋干し商品2の出稿量の少なさが目立ちます。
このことから、一般的に梅雨入りの時期が遅い東北エリアでは、出稿開始時期や出稿量を調整していることが分かります。また気象庁によるエリア別の梅雨入り観測発表において、エリア区分されていない札幌地区においては、東北以外の他地区と同じような出稿傾向になっていることも興味深い結果となりました。
ブランドBでは、2つの部屋干し商品を地区別に使い分けて梅雨の商品プロモートを進めているようです。
CMの出稿状況を全国規模で確認できることになったことで、地域によってニーズに時差が出る商材について、各広告主が地区別に出稿時期をずらす、出稿量を調整する等のエリアマーケティングを行っている実態を把握することが可能になりました。今後も季節性のある商材におけるCM出稿の違いをご紹介していければと思います。
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