アフターコロナ、レジャー施設のテレビCM動向にどんな変化が?【19年〜23年広告出稿量推移】
【この記事はこんな方にオススメ!】
✅アフターコロナのレジャー業界・レジャー施設のCM出稿トレンドを知りたい方
✅CM出稿動向を時系列で把握したい方
✅自社/競合のテレビCM出稿状況に関するデータを集めている方
1.はじめに
2020年初頭に新型コロナウイルスが出現してから、約4年。外出を制限される時期もあり、社会・経済へ大きな影響が生じましたが、2023年3月以降はマスクの着用について屋内・屋外を問わず個人の判断に委ねられるなど、徐々にコロナ禍前の景色に戻りつつあります。
そのような中で大型連休や夏休みなどに、レジャーを企画する方・楽しむ方も多かったのではないでしょうか?レジャー施設や宿泊施設などのテレビCMも見かける機会が増えました。
今回は、当社が日本全国のテレビCM出稿状況を24時間365日収集し、データベース化している「テレビ広告統計」を用いて、コロナ禍前後のレジャー施設に関する広告出稿の動きを見ていきます。
2.レジャー施設など「サービス・娯楽」業界におけるコロナ前後のCM出稿動向は?
まずは業界の動向を見てみましょう。レジャー施設や宿泊施設、その他娯楽施設などレジャーにかかわる施設が含まれる業種「サービス・娯楽」のCM出稿量を確認します。図1は、2019年1月〜2023年8月の関東地区における「サービス・娯楽」の出稿量推移を月別に並べたグラフです。
番組CMの出稿秒数はコロナ禍を経ても大きく変動はありませんが、スポットCMは2020年4月の緊急事態宣言のタイミングで減少がみられます。
その後、「サービス・娯楽」の業種全体としては、2021年頃からスポットCMの出稿量はコロナ禍前の2019年を上回っています。
また、図2では図1のデータのうち変動のみられたスポットCMに着目し、月ごとの出稿量の動きを比較します。
図2からは、12月〜翌1月にかけての年末年始、3月・8月の春・夏休み期間などにスポットCMの出稿量が増える傾向がうかがえます。多くの人がレジャーに気を向けるタイミングを狙って出稿量を増やすことで、より効果的に集客をする意図があると思われます。
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3.宿泊業や娯楽施設のスポットCM出稿量はいつ頃から復調傾向?
では、「サービス・娯楽」をさらに深掘りして、その中でも特にレジャーにかかわる業態のスポットCM出稿動向を見ていきます。
図3は、「宿泊業」と「スポーツ・娯楽場」のスポットCM出稿量推移(月別)です。
2020年4月の緊急事態宣言の頃から出稿量が大幅に減少しており、コロナ禍の影響をうかがい知ることができます。その後、2021年・2022年もコロナ禍以前の出稿量まで完全には回復していませんが、2023年は8月までの出稿量を見る限り、2019年の出稿量に近づいてきている様子です。
ちなみに、「宿泊業」では2020年7月からスタートした「Go To キャンペーン」の影響のためか、一時的に出稿量は増加していますが、2021年1月に緊急事態宣言が再度発出されてからはコロナ禍以前よりも少ない出稿量で推移しており、どちらの業態もコロナの影響を受けた後、2023年は復調傾向というのは大きな流れとして同じとなっています。
4.アフターコロナ、エリアごとのCM出稿の戦略は?〜ディズニーリゾート、USJを例に〜
ここまでは関東エリアでの出稿状況を見てきましたが、続いては出稿エリアに着目してみます。コロナ禍を経て、エリアによる出稿の違いはあるのでしょうか。
以下では、関東・関西の2大テーマパークである「東京ディズニーリゾート」(株式会社オリエンタルランド)、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(合同会社ユー・エス・ジェイ)を運営する2社の、スポットCMの出稿状況を追っていきます。
まずは「東京ディズニーリゾート」から見ていきましょう。図4では広告主「オリエンタルランド」でのスポットCM出稿量の推移(月別)を3エリアで比較しています。
コロナ禍でスポットCMの出稿は一度なくなっているものの、2022年の5月〜6月頃から出稿が再開されています。
エリアごとに比較すると、テーマパーク所在地から遠い関西・名古屋では6月からのスポットCM出稿再開となっているのに対し、近隣の関東では1か月早い5月からの再開となっています。
続いて、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」も同様に、広告主「ユーエスジェイ」でのスポットCM出稿量の推移(月別)を3エリアで比較していきます(図5)。
「オリエンタルランド」と同様に、コロナ禍をきっかけにスポットCM出稿が一度なくなっているものの、テーマパーク所在地に近い関西・名古屋では2020年の夏にはCM出稿があり、その後2021年も大型連休の頃に出稿がみられます。
一方で、遠隔地の関東では2021年の1月には関西・名古屋と同程度の出稿量がありますが、2020年・2021年とも出稿量はコロナ禍以前よりも控えめとなっています。
長期化するコロナ禍において徐々に状況の変化もあり、レジャーに気が向いていく中で「レジャーを楽しむにも、遠くへ行くのはまだはばかられる...」と思う方は多かったのではないでしょうか?
そのような思いをとらえ、まずは近隣の地域から出稿を再開・お客さんを呼び込みたいという意図があったのではないか、と2社の出稿状況から推察されます。
5.今後のレジャー業界における広告出稿動向は...
今回はコロナ禍を経てレジャー関連のテレビCM出稿動向にどのような変化があったかについて、事例を交えてご紹介いたしました。
コロナ禍でCM出稿量を抑えていたレジャー施設・レジャー業界も、アフターコロナで人を呼び込むべく、エリアごとの戦略も使い分けながら出稿量を復活させているようです。心置きなくレジャーを満喫できる景色が戻ってくることが楽しみですね。
本記事では、レジャー施設やレジャー業界に着目して分析を行いましたが、ビデオリサーチグループでは、常時収集・提供しているネット広告およびテレビCMの統計データベースを用い、特定業界/カテゴリにおける広告出稿動向をまとめた「広告出稿量レポート」を提供しています。
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【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「テレビ広告統計」
・集計対象期間:2019年~2022年の各年1月1日~12月31日、2023年1月1日~8月31日
・集計対象地区:関東、関西、名古屋
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