【この春の"引越しCM"の出稿ピークは?〜CMデータで季節を知る!〜】
当社の「テレビCM速報」は、従来関東・関西・名古屋・北部九州・札幌の5地区において、CMがオンエアされた翌日に各種情報(放送局・放送日時・CM秒数・GRP)を広告主・銘柄・素材別でご提供してまいりました。自社だけでなく、競合社の出稿状況およびキャンペーン効果の把握を目的にご利用いただいております。
2018年4月からは、これまでの5地区から全国規模(ビデオリサーチ視聴率サービスエリアの27地区対応)に拡大しました。これにより、日本で初めて全国27地区のテレビCM出稿状況を分析することが可能となります。
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前回は"ゲームアプリ"の地区別出稿量の分析を行いました。( 前回のコラムはこちら)
今回は季節モノのCMとして"引越し"をテーマに、地区別だけでなく期間別でも見ていきます。
事例:引越し会社のCM出稿時期について
まず引越し会社2社における、関東と関西の2地区での出稿量(秒数)を週別に確認してみましょう。期間は、年明けからゴールデンウィークに入るまで、18年1月1日(月)〜18年4月29日(日)の17週間とします。
【図1】
引越し会社Aは年明け早々から出稿量が多く、1月と2月に出稿量の山が発生します。2月の下旬以降は出稿量が減少し、3月に入ると前月の1/4程度の出稿量に落ちたままゴールデンウィークにさしかかる流れとなっています。
一方の引越し会社Bは、年始こそやや出稿量は少ないものの、1月第2週以降は引越し会社Aと同じく出稿量の山が発生し、3月に入ると一旦出稿が減少します。ただこちらは4月に入ると再度出稿量が増加し、ゴールデンウィーク前に再度出稿量の山が発生する結果となりました。このことから、まず引越し会社Bでは、ゴールデンウィーク前後の引越しをにらんで、CM出稿を行っているということがわかります。
また関西においては関東と比べて出稿量が多く、一連の出稿の山も顕著に現れており、引越し会社Bが関西に重点を置いたCM展開を行っていることもうかがわれます。
このように競合である2社において、出稿エリアはもちろん期間ごとの出稿量でも差が見られました。
さらに、他の地域に目を移して両社のCM出稿量を見てみましょう。関東関西でも違いがある両社のCM出稿量を、さらに南北で比較するべく九州・沖縄エリア(北部九州・熊本・沖縄の3地区を抜粋)と北海道・東北エリア(札幌・青森・岩手の3地区を抜粋)の2エリアで比較してみます。
まずは、九州・沖縄エリアです。
【図2】
図1の関東・関西地区に比べて図2の引越し会社Aは1月と2月に出稿量の山ができていません。引越し会社Bでは、北部九州と熊本においては、3月だけへこむ形で関東・関西地区と同じような週別出稿の流れになりました。関西に続いて九州・沖縄でも引越し会社Bの出稿量が多く、西日本は注力エリアであることがうかがえます。
ただ沖縄に関しては、両社ともに同期間中に出稿量の山ができませんでした。料金の面でも別途の規定があるのか、そもそも沖縄での引越し案件は少ないのか、さまざまな要素が考えられますが、両引越し会社とも沖縄でのCM出稿には力を入れていないようです。
北海道・東北エリアに目を移すと、西日本では引越し会社Bの出稿量が目立った両社の関係性が逆転します。
【図3】
引越し会社Aでは、関東・関西地区ほど顕著ではないにせよ1月と2月を中心に出稿の山が発生します。引越し会社Bでは、北部九州と熊本でできたような3月だけへこむ形の出稿の流れが発生しませんでした。北海道・東北エリアで見た場合は、引越し会社Aの出稿量が多く、東日本については引越し会社Aのほうが出稿に注力しているように見えます。
最後に、視聴率52週調査地区でGRPでのSOV(シェアオブボイス)を確認してみましょう(図4)。
【図4】
18年1月1日(月)〜18年4月29日(日)の17週間における両社のGRPのシェアを比べると、静岡より東では引越し会社Aのシェアが上回る地区が多く、静岡より西のエリアでは引越し会社Bのシェアが多くなっています。GRPのSOVから見ても、引越し会社Aが東日本に重点を、引越し会社Bが西日本に重点を置いていることがわかります。
2018年春の引越しについては、人手不足に関する問題がワイドショー等で取り上げられ、引越し会社自身も「分散引越し」を提案するなどの取り組みを見せ話題になりました。来年以降もこの問題は続くかもしれないので、年度ごとに引越し関連会社の出稿量が、エリアごとにどのように推移するのかは興味深いテーマと感じます。
おまけ事例:引越し会社のCM出稿時期と、不動産仲介会社のCM出稿時期は重なるのか?!
【図5】
図5は不動産仲介会社3社の関東地区でのCM出稿量です。
年明け早々から出稿量は増大しており、引越し会社のピークと重なります。それは転勤・入学等、一年で最も人の動きが多い4月前後を意識した出稿とみられます。2月以降からゴールデンウィークにかけては3社とも急激に減少し、A社やC社のように出稿がストップするか、B社のようにピーク時に比べると相対的に少ないレベルに留まっています。
CM出稿を関連異業種間で見てみることで、社会の動きに関する新たなヒントが得られるかもしれません。
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