「Cookieとは?」今さら聞けない!基本の『キ』
日々急速な進化を遂げるデジタルマーケティング業界。皆さんも、毎日のように各社から発信されるニュースで最新情報をキャッチアップしたり、実務上デジタルマーケティングに関わることも多いと思います。このコーナーでは、皆さんがデジタルマーケティングに関するニュースや業務で頻繁に目にする...けれども、"基本"であるがゆえ、詳しく説明されることが少ない「単語」や「仕組み」について、初心者の方にもわかりやすく説明していきます。
Cookieとは?
今回のテーマは、誰もが何度も目にしたことがある「Cookie」についてです。
Cookieは、それ単体ではそれほど大きな意味をなすことはありません。しかしながら、Cookieにはいくつかの"性質"があり、その"性質"に目を付け、活用したサービスが毎日のように新しく誕生しています。ここからはぜひ、あなたが直近で目にした「Cookie」という単語が登場するニュースや実務で利用するサービスを思い浮かべながらお読みください。
Cookie=ページ提供者からの「訪問管理表」
Cookieとは、「各ページ提供者からの訪問管理表」のようなものをイメージしていただくとわかりやすいと思います。 この訪問管理表(Cookie)は特別なソフトウェアなどではなく、正体はシンプルなテキストファイルです。皆さんが「今日は○○さんが家に遊びに来た」と日記に書くのと同じように、ブラウザも「今日は○○というサイトにアクセスした」とテキストでメモに残しているようなものだとお考えください。 たとえば、りさ子さんという女性がいたとします。りさ子さんが当社トップページを自宅PCで使っているブラウザで閲覧した場合、以下のような流れで、複数の箇所に「訪問管理表」が発行・記録されます。
上記のように、「訪問管理表」(Cookie)はりさ子さんの自宅PCのブラウザに送られます。
ということは、りさ子さんが複数のブラウザ・・・たとえば「自宅PCのInternet Explorer」と「自宅PCのGoogle Chrome」「私用のiPhoneのSafari」など、複数のブラウザを使用している場合、同じページを訪問しても訪問管理表=Cookieは別々に提供・管理されます。
このように訪問管理表(Cookie)はブラウザ単位で作成され、りさ子さんという女性に直接的に紐づいているわけではありません。ですので、りさ子さんが、3つのブラウザそれぞれで同じ「ビデオリサーチのトップページ」を見たとしても訪問管理表(Cookie)は3つ新たに作られることになります。
訪問管理表(Cookie)にはどんな情報が載る?
一般的に、ある特定のサイトを訪れると、以下のような情報が自動的に訪問管理表(Cookie)に記載されます。
✅ そのサイトへの訪問日時、訪問回数(○月○日、○時○分に××のページに訪問した)
✅ (そのサイトで何らかの会員登録ができる場合、)会員ID/パスワード
※各個人のブラウザの設定状況により異なります。上記は一般的な例です。
ポイントは、訪問管理表(Cookie)はあるサイトを訪れると「自動的に」作成(追記)されるものである、ということです。当初、Cookieの呼び名を「訪問管理表」ではなく、「会員証」という風に言い換えてこの記事を書き始めたのですが、たとえばYouTubeはGoogleアカウント=Google社の「会員証」があってもなくても誰でも利用できますので、Google社は「会員証」の提示有無で以下のように対応を分けています。
✅ Gooleアカウントでログインした上でYouTubeにアクセスした人=「会員証」提示者については、直近で見た動画やお気に入りチャンネルをGoogle社側で管理
✅ そうでない人については、YouTubeにアクセスするのは自由だがその人向けに何かを管理することはない
※管理の詳細はブラウザやアカウントの設定内容により異なります。
一方、Cookieはそのサイトにアクセスしたブラウザすべてが管理対象です。そのサイトに前述のGoogleアカウントのような会員システムがあってもなくても、そのサイトに来たら自動的に作成(追記)されるので、会員だけを管理する「会員証」ではなく、来訪者全員を管理する「訪問管理表」をイメージする方が分かりやすいと思います。
※訪問管理されたくないサイトなどがある場合は、ブラウザの設定画面から個別に設定することができます。
訪問管理表(Cookie)を管理する期間は?
管理の"期間"は大きく分けると以下の2パターンに分かれます。
✅ 有効期限を設定していない訪問管理表(Cookie)
訪問管理表(Cookie)が発行されたページを含むサイトから離れた瞬間に、訪問管理表そのものがブラウザから削除される
✅ 有効期限を設定している訪問管理表(Cookie)
訪問管理表(Cookie)が一度新しく作成されると、本人によって削除されるまで、ある一定の期間保持され続ける
なので、たとえばりさ子さんが9月1日に初めて当社トップページに訪れた後、9月2日にも再び訪れると9月1日に作成された「訪問管理表」に、9月2日の情報が追記されることになります。
訪問管理表(Cookie)はどのように管理・活用される?
ここまでは、訪問管理表(Cookie)そのものにどのような特徴があるかを整理しました。続いては、それぞれの訪問管理表(Cookie)がどのように管理・活用されているのかを説明します。
①企業側=訪問管理表を発行する"側から見ると
企業側=訪問管理表を発行する"側では、たとえば、訪問管理表(Cookie)に記載された「前回アクセスしたときの行動履歴」に基づき「このブラウザは前回アクセスしてくれたときにこのIDとパスワードを使ったから、今回もログイン画面を開いたら前回使ったIDとパスワードをあらかじめ表示しておいてあげよう」といった具合で、個別の訪問管理表(Cookie)ごとにそこに記載された内容を活用し、ブラウザを利用する皆さんの快適なインターネット閲覧"を支援しています。
このとき、それぞれのブラウザに名前"がないと管理がしづらいので、訪問管理表(Cookie)を発行する側では、訪問管理表(Cookie)ごとに任意のIDを振っています。
このIDを各ブラウザに送る訪問管理表(Cookie)の中に書き込んでおくことで、お互いのやり取りもスムーズになります。
②ブラウザ側=訪問管理表を発行"される"側から見ると
上記のように、企業側から振られた訪問管理表(Cookie)の"ID"はブラウザ側にも伝えられ、管理されています。そして、1つのブラウザからは色んなサイトにアクセスしますので、訪問管理表(Cookie)も各サイトごと別個に作成・管理されます。 たとえば、りさ子さんの自宅PCブラウザでは、以下のようにりさ子さんが直近でアクセスしたあらゆるサイトの訪問管理表(Cookie)が以下のようなイメージでストックされています。
いかがでしたか。Cookieは、実際のところそれ単体では「とてつもなく有能なもの」というわけではなく、仕組みや特徴はいたってシンプルなものです。このCookieを、ブラウザ・・・ひいてはそのブラウザを使っている"人"を特定するための「ハブ」として活用することで、世の中の多くのデジタルマーケティングに関連するサービスが実現しています。
その中でも、皆さんの業務に関連する大きな領域のひとつとして『実測値で広告を計測し、効果検証する』というものがあげられるでしょう。
「このバナー広告は、200万imp分出稿して、平均フリークエンシー回数は3回でした」
「この広告が3回以上当たった人と、1回も当たらなかった人では、広告効果に○倍の差がありました」
次回は、Cookieの仕組みや特徴を活かすことで実現される『広告計測』と『その効果検証の仕組み』についてお届けします。お楽しみに!
おまけ:Cookieにより実現できること事例
「Google Analytics」や「Adobe Analytics」などのサイト解析ツールの場合
皆さんの企業でも導入しているケースが多いであろう「Google Analytics」や「Adobe Analytics」などのサイト解析ツールでは、皆さんの企業のHPにアクセスした人にどんな特徴があったのかを様々な視点から解析することができます。
その中でもよく使われる視点のひとつに「アクセスしてくれた人が、初めてHPに来てくれた人=新規なのか、何度も来てくれている人=リピーターなのか」というものがあります。
(たとえば、オンラインショップを運営している企業が「新規購入者限定30%オフキャンペーン」を実施し自社のHPに誘導するバナー広告を出稿した場合、バナー広告経由でHPにアクセスした人が「初めてHPに来た人なのか」どうかがバナー広告の出稿成果を測るうえで重要な評価指標のひとつになります。)
では、アクセスしてくれた人が「初めてHPに来たかどうか」はどうやって判定するのでしょうか?
訪問管理表であるCookieを見ればすぐに分かりますね。
下記の例でいうと、
左側の場合=「1回目の訪問」なので、りさ子さんによるアクセスは「新規」
右側の場合=「2回目以降の訪問」なので、りさ子さんによるアクセスは「リピーター」 と判断できます。
このように、訪問管理表(Cookie)に書かれた情報はサイト解析時の「参照情報」として欠かせないものとなっています。