全国チェーンじゃあかんなー!?兵庫県民のパンへのこだわりを分析!
突然ですが、皆さんがお店を新たに出店するとなったら、どのエリアを選びますか?
回答は人それぞれで違うと思いますが、実際に出店エリアを検討する場合、多くの人が商材に合わせてエリアの特性を気にすると思います。その商材に対してニーズがあるのか、そもそも嗜好性は合うか、新しい店が進出しやすいのか...など、考えたらキリがありません。
このようなエリアマーケティングを、今回は当社の「ACR/ex」データを用いて、私の好きな「パン」と、出身地である「兵庫県」にフォーカスして分析してみました。
記事の中でご紹介しているサービスはこちら 【ACR/ex】 |
1.出身者として感じる兵庫県の特徴
大学進学とともに上京し、現在千葉県に住んでいますが、パン好きの私としてはパン屋のバリエーションの少なさが気になりました。私は兵庫県神戸市に住んでいましたが、街には個人で経営しているパン屋が多数存在し、チェーン店と呼ばれる全国展開のパン屋を利用する機会が非常に少なかったです。しかし、逆に千葉県ではあまり個人経営のパン屋がなく、チェーン店を見かけることがほとんどです。
また、鹿児島県や福島県など、他の地域出身の大学時代の友人にも確認してみたところ、そのような地域差は感じないとのことでした。そこで、ACR/exデータを用いて、主なチェーン店の利用経験を地域別に調べてみました。
なお、今回は、兵庫県、千葉県だけでなく、比較エリアとして関東地区(東京50km圏)、主要7地区平均※1も見てみました。
※1 主要7地区平均:関東、関西、名古屋、北部九州、札幌、仙台、広島地区の7地区の平均
2.兵庫県民とベーカリーチェーンとの親和性
【図表1】は主なチェーン店5店舗(サンジェルマン、ポンパドオル、リトルマーメイド、アンデルセン、ヴィ・ド・フランス)いずれかの利用経験がある人の割合です。千葉県や他のエリアと比べて兵庫県のチェーン店利用率は、非常に低い数値が出ています。
また、ここでは面白い特徴が見られた広島県も紹介しておきます。広島県のチェーン店利用率がなぜこれほどまでに高いのかについてですが、「アンデルセン」創業の地であり、全国の「アンデルセン」の店舗の中でも東京に次いで第二位の店舗数であるためと推察されます。
【図表1】主なベーカリーチェーン店の地域別利用率(過去6ヶ月)
ここで、実際の店舗数を、兵庫県と千葉県で比較してみましょう【図表2】。
全体的に兵庫県のほうが店舗数が少なく、合計は千葉県の半分以下です。これも兵庫県のベーカリーチェーン店の利用率が低い一因と考えられます。
【図表2】ベーカリーチェーン別店舗数比較
【註】主なベーカリーチェーン店の店舗数は2018年5月18日時点での公式サイト掲載のデータを利用。
3.生活者データから見る兵庫県の特徴
前章で兵庫県民はベーカリーチェーン店をあまり利用しないことを言及しました。それでは、パンを食べる頻度は他の地域と比べて違いがあるのでしょうか。
こちらも「ACR/ex」を用いて見てみましょう。一ヶ月間に30回以上パンを利用した、つまり平均してほぼ毎日パンを食べている人の割合を地域別に見てみました【図表3】。
【図表3】ほぼ毎日パンを食べている人の割合※2
※2 一ヶ月間に30回以上パンを利用していると回答した人の割合
兵庫県民でほぼ毎日パンを食べている人の割合は14.4%、これは他の4エリアより圧倒的に高いです。
これについても友人の話と私の経験を照らし合わせた結果、私の経験では朝食はパンであることがほとんどでしたが、他県の友人は朝食がご飯であることがほとんどだという意見が多く、朝食も兵庫県民のパン食を支える一因かもしれません。
4.まとめ
今回の分析で、兵庫県民は、パンを食べる機会が多いにもかかわらず、チェーン店では購入しない傾向があることがわかりました。今回はデータが無く検証できませんでしたが、おそらく個人経営の店舗など、各地に根付いたパン屋で購入することが多いのでしょう。
そもそも兵庫県民にはなぜここまでパンを食べる習慣が根付いているのでしょうか。どうやら異国情緒あふれる神戸ならではの背景があるようです。1868年の開港をきっかけに、日本には海外から様々なものが輸入され、パンも含め多くの文化が根付きました。それらの日常文化が港町である神戸の街中に浸透し、パンを食べることが習慣化したとみられています。
(引用)http://kobe-panmachi.jp/column 「KOBEパンのまち散歩」
今回の分析を通じて、エリアごとにその特性は異なるため、商売を行う際にエリアマーケティングはやはり重要であると実感していただけたかと思います。パンと兵庫県にフォーカスしましたが、兵庫県は他にもコーヒーやファストフードのチェーン店の利用も少ないのか、逆にチェーン店の利用を好む地域はどこなのか、という疑問も出てきます。このような疑問に対して「ACR/ex」が解決のカギを握っているといえます。ご興味があれば、是非お問い合わせ下さい。
※図表1、3のデータは「ACR/ex」2017年4〜6月の調査データを利用
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