テレビ番組のタイムシフト視聴傾向〜最新「テレビ調査白書2018」より〜
当社では毎年、1年分のテレビの視聴状況をまとめたレポート「テレビ調査白書」を発刊しています。テレビの見られ方について地区での違いや、時系列での変化をご覧いただけるものです。
このたび、最新データ2018年版の発刊に合わせて、その中の「タイムシフト視聴」、つまりテレビの録画再生状況を分析したパートから一部データをご紹介します。
記事の中でご紹介しているサービスはこちら 【テレビ調査白書】 【タイムシフト視聴率】 |
タイムシフト視聴されている番組とは?
最初に、2018年高世帯タイムシフト視聴率番組10<関東地区>をご覧ください【図表1】。
上位10番組のうち9番組がドラマという結果になり、トップ3も「日曜劇場・99.9・刑事専門弁護士・SEASON2」(1位)、「金曜ドラマ・アンナチュラル」(2位)、「火曜ドラマ・義母と娘のブルース」(3位)のドラマが占めました。ドラマ以外では4位に2016年に大ヒットした「映画・君の名は。」がランクインしています。
次に、番組単位の視聴率とタイムシフト視聴率についてみてみます。リアルタイムの視聴率よりタイムシフト視聴率の方が高い番組もあり、上位10番組中「金曜ドラマ・アンナチュラル」(2位)、「高嶺の花」(7位)、「木曜劇場・グッド・ドクター」(9位)の、3番組が該当しています。放送時間にとらわれない視聴行動が、新たなテレビ視聴の形として浸透しはじめているのではないでしょうか。
図表1 2018年 高世帯タイムシフト視聴率番組10 <関東地区>
*「テレビ調査白書2018」では上位30番組まで掲載しています。
※対象番組:2018年1月1日〜12月31日に放送された15分以上の番組
同一局同一名の番組があった場合は高位番組のみ掲載 ただし、再放送は本放送と別番組扱い 単発番組は全て掲載
※四捨五入の影響により「視聴率」+「タイムシフト視聴率」<「総合視聴率」となる場合がある
併せて、2018年高世帯総合視聴率番組10<関東地区>をみてみましょう【図表2】。
総合視聴率とは、リアルタイムでの視聴、録画再生での視聴いずれかで「見た」割合を表すもので、番組全体のパワーを評価する際に使うひとつの指標です。
総合視聴率のランキングでは、リアルタイムの視聴率が高い番組がランクインしています。
ロシアワールドカップやピョンチャンオリンピックが約半数を占め、スポーツの盛り上がりをみせた年だったことがうかがえます。タイムシフト視聴率で上位を占めたドラマも2番組ランクインしています。
一方で、総合視聴率が同程度の番組でも、リアルタイムの視聴率とタイムシフト視聴率に違いがみてとれます。
上位30番組までみると、例えば23位の「ピョンチャンオリンピック」と「木曜ドラマ・BG・身辺警護人」は、同率で26.5%でしたが、「ピョンチャンオリンピック」の視聴率は25.8%、タイムシフト視聴率は1.0%、また「木曜ドラマ・BG・身辺警護人」の視聴率は17.3%、タイムシフト視聴率は11.0%となりました。スポーツはライブで、ドラマはタイムシフトで見るといった、ジャンルによって視聴行動に違いがあることがわかります。
図表2 2018年 高世帯総合視聴率番組10 <関東地区>
*「テレビ調査白書2018」では上位30番組まで掲載しています。
※対象番組:2018年1月1日〜12月31日に放送された15分以上の番組
同一局同一名の番組があった場合は高位番組のみ掲載 ただし、再放送は本放送と別番組扱い 単発番組は全て掲載
※四捨五入の影響により「視聴率」+「タイムシフト視聴率」<「総合視聴率」となる場合がある
ジャンル別シェアからわかるタイムシフト視聴の特徴とは?
高世帯タイムシフト視聴率および総合視聴率のランキングでは、ドラマが多くみられましたが、ドラマだけがタイムシフトされているジャンルという訳ではありません。
【図表3〜5】は、関東・関西・名古屋地区それぞれの2018年タイムシフト視聴時間のジャンル別シェアです。どのジャンルがタイムシフト視聴されやすいかを示しており、3地区共通して「ドラマ」だけでなく、「バラエティ」の視聴分数割合が高いことがうかがえます。
特徴として、男性はバラエティ、女性はドラマ、男女4〜12才はアニメのタイムシフト視聴割合が相対的に高いことがわかります。また地区間比較をすると、関西地区の男性20〜34才の「バラエティ」視聴割合は52.7%と、他の特性と比べ目立ちます。
図表3 2018年タイムシフト視聴時間 ジャンル別シェア <関東地区>
図表4 2018年タイムシフト視聴時間 ジャンル別シェア <関西地区>
図表5 2018年タイムシフト視聴時間 ジャンル別シェア <名古屋地区>
タイムシフト視聴率・総合視聴率の役割とは?
リアルタイムの視聴率だけでなく、タイムシフト視聴率・総合視聴率をみることで、「テレビコンテンツがどれだけの人に届いているか」ということがより明確になりました。「テレビ調査白書2018」の特集ページで少し触れていますが、生活者の多様化や環境の変化により、"平成"の約30年間でも視聴行動は大きく変化しています。
例として、一回り前の戌年にあたる2006年の世帯視聴率と2018年の総合視聴率のランキングを比較してみます。
*2006年 高世帯視聴率番組30 <関東地区>は「テレビ調査白書2018」でご覧ください。
2006年のドラマの1位は「HERO」で30.9%、一方で2018年の同じくドラマ1位は「日曜劇場・99.9・刑事専門弁護士・SEASON2」で31.0%(リアルタイムの視聴率21.0%、タイムシフト視聴率13.1%)でした。どちらも30%を越える同程度の視聴ボリュームとなり、時代が変わっても「テレビを見たい」という欲求に変わりはないことがうかがえます。分散化するテレビ視聴を集約して表現する一つの指標として、タイムシフト視聴率・総合視聴率があります。
※テレビ調査白書紹介ページ
https://www.videor.co.jp/service/media-data/tvreport.html
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