「スマホ時代の『映像』のつくり方」AHO動画を真剣に考える東京倉庫 滝 祐夏さん vol.1
東京倉庫 代表取締役 滝 祐夏さん
〜映像コンテンツの視聴形態が多様化した現代、動画サイトやストリーミング配信サービスに対するテレビの強みとは何なのか。テレビでの映像制作を経験後、スマホ向けの映像制作に特化した事業を展開している東京倉庫の滝 祐夏氏に、新しい映像制作の展望についてうかがった〜
ご自身で起業して、映像制作会社をつくったきっかけを教えてください。
大学を卒業後、主にテレビ朝日の番組を制作する制作会社に入りました。映画をつくってみたいという希望があり、同社は、映画を1、2本製作した実績があったので入社しました。けれど実際に担当したのは、バリバリの報道(笑)。1年目は朝の情報番組『やじうまプラス』。 次に新番組で夜7時からのドキュメンタリーをつくりました。この番組は第1回目で長門裕之さんが南田洋子さんを介護している生活を伝えたところ、視聴率は20%を超えました。 次に情報番組『ワイド! スクランブル』を担当し、その半年後に退社しました。このままでは映画は撮れないだろうと思ったし、テレビ業の徒弟制度のあり方にも疑問を感じていました。ADをスケープゴートにすることで生まれる非効率や業務効率の改善の仕組みのなさ、若手の感性が反映されない現場といった古い体制の中にいて、若い感性でイノベーションを起こしている起業家たちをうらやんでいました。 起業をする意志はありましたが、既存の仕組みの中で、フォーマットが決まっているような映像づくりはもうやるつもりはありませんでした。スティーブ・ジョブズの言葉に刺激を受け、プロダクトの『形』で世界に変革を起こす会社をつくろう、まずはとにかく資金をつくろうという話で友人と意気投合して、個人事業主として映像とは全く関係ない仕事をしました。
それでもまた映像の世界に戻ってきたわけですね。
資金づくりのための仕事はあまりに夢がなかったですね。もともとバカなことが大好きだったので、発散するように友人たちと『ジャッカス』(米国のCATV)にインスピレーションを受けたアホ動画をつくってはYouTubeにあげていました。ユチューバーの先駆けですね。今はさすがに公開できないレベルですが、アホを商売にして生きていきたいと考えていました。 その友人たちとは方向性の違いで離れましたが、たとえ一人でもテレビでできない面白いことをやろう、Web時代の新たな映像の形を発明することも一種のイノベーションだとの考えに至り、プロダクトは諦め、Web映像に特化した会社を起業したのが2013年です。
『ホリエモンチャンネル』を制作されておられますが、そのきっかけは?
『ホリエモンチャンネル』は会社を始めた直後から報酬なしでかかわらせていただきました。 堀江貴文さんと直接の面識はありませんでしたが、一視聴者として工夫の余地があると思い、堀江さんにツイッター『良かったらうちでやりますよ』と話しかけたんです。そしたらお返事が早くて、『お願いします』とのことで始まりました。 多くの方に、映像が『見やすい』と言っていただけますが、うちとしては技術的に特別なことはなくて、テレビ的な画角とYouTube的な小気味よい編集を織り交ぜた感じの工夫はしています。 かれこれ4年が経って、今後、弊社は制作から抜けますが、この間に動画配信について考える機会が多く、『YouTubeとテレビの間』が弊社の特長だと認識できました。
『東京倉庫』という社名は、"倉庫"に蓄えるがごとく、いろいろなことにチャレンジする会社にしたいとの思いから。ウェブサイトを見ると、オリジナルでつくった動画の充実ぶりが一目瞭然。実際の社員が出演している。
会社である以上、売り上げを立てなければなりませんが、クライアントはすぐに増えていったのでしょうか。(vol.2)に続く
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