【鈴木おさむ の WHAT’S ON TV ? 】〜 新しい “おもしろさ”で攻める、有料放送 〜

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【鈴木おさむ の WHAT’S ON TV ? 】〜 新しい “おもしろさ”で攻める、有料放送 〜

【鈴木おさむ のWHAT’S ON TV ? 】 第4回

NetflixやHuluなど有料の配信番組ではおもしろいコンテンツが続々増えている。ドラマもおもしろいが、やはりドキュメンタリー的なものもかなりおもしろく、我々40代以上の好奇心を満たす番組は多い。

Netflixの『世界“現実”旅行』という番組は、一人のジャーナリストが世界各地のちょっと変わった場所を訪れるツアー番組。その中で第二話が日本。しかも福島に行っている。線量計を持ちながらバスに乗って旅しているのだが、“ちょっと変わった旅”に日本、そして福島が入っていることに対して、入り口は正直、腹も立つのだが、世界からこう見られているのだなという現実も突きつけられたりする。

おもしろい番組も多いが、“おもしろそう”な番組も多い。『クッキング・ハイ』という衝撃の番組があり、毎回、料理の具材にマリファナを使うのだ。この企画からして“おもしろそう”なのだが、見てみると案外普通だったりして。肩すかしを食らうものもある。

だが、こうやって海外の攻めた番組を見ていると、時折悔しさも感じたりするものだ。 そんな中、ある人が言った。「NetflixやHuluよりも、NHKはずっと昔から有料放送なんだよね」と。それを聞いてハッとする。「確かにそうだ」と。

この一ヶ月ほどで心を鷲掴みにされたNHKの番組が二つある。

一つは『アインシュタイン 消えた“天才脳”を追え』という番組。アインシュタインの脳みそが200個以上のパートに分けられて、世界中の色んな人が所有していて、それを探る番組。脳の特に重要な部分、頭頂葉や前頭葉の部分を所有している人が謎だったり、取材拒否だったり、やっと出たと思ったらモザイク出演だったり。つまりはそれって、アインシュタインの脳みそが全部揃うと、とんでもないものが作り出されたりしちゃうの?とか、想像しながら見られる極上のドキュメンタリー×ミステリー。ディレクターが7ヶ月以上世界をまわって取材して、って絶対に民放だったら無理なスケールを普通に一時間以内の番組におさめて放送する。たまらなくおもしろい。

もう一つ、サンドウィッチマンが出演した『病院ラジオ』という番組。大阪のとある病院内にラジオ局を作り、そこでサンドウィッチマンがMCを務めて、病院内の患者さんや家族が出てきて、エピソードとリクエスト曲を言う。その番組は病院内でスマホで聞いている。 心臓の病と闘う子供に向かって送られた母親のメッセージには、もう涙が止まらなかった。これもNHKだから出来たし、ほぼナレーションも入れないあの作りになったんだと思う。極上の映画を一本見た気分になる。

その二本を振り返り、ふと気づく。民放の番組は、今後、もしかしたらより予算が減っていくのかもしれない。そんな中、海外の予算と規模で戦おうとする人たちと、拳で殴り合って戦えるのは、そう、NHKなのかもしれない。ファイトだNHK。受信料を払おう!

(了)

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