「大好き! にいがた!」キャンペーンを実施!〜"スマイル"を合言葉に、NSTはここからもっとはばたいていく 〜新潟総合テレビ(NST) 編成広報部長 堀川晃子さん
2018年12月16日に開局50周年を迎えたNST(新潟総合テレビ。編成広報部長を務める堀川さんは、視聴率UPやより良い番組づくりはもちろん、"スマイル"をコンセプトとした局のブランディングや、新潟の活性化なども意識した広報活動に邁進されています。その取り組みと、50周年という節目の年からさらなる飛躍を目指すNSTの「これから」についても語っていただきました。
"スマイル"がコンセプト
堀川さんが部長を務めていらっしゃる「編成広報部」の業務内容を教えてください。
主に番組の編成、広報など情報を発信する部になります。どう視聴率を上げていくかという部分に加え、局のイメージアップにおけるブランディング的な部分も担っています。あわせて、考査および番組審議会事務局も担当しています。部員数は私を含めて8名で、加えてホームページ担当として1名の委託スタッフで運営しています。
局のブランディングというお話がありましたが、詳しく聞かせてください。
NSTは"スマイル"、つまり"笑顔になる"をコンセプトとして掲げています。NSTの社屋に来たり、NSTの番組を観たり、イベントに参加すると、みなさんが笑顔になれる。そんなテレビ局でありたいと心がけています。
開局当時から"スマイル"のコンセプトを掲げていらっしゃったのですか?
いえ、NSTを「Niigata Smile TV」という名称でアピールするようになったのが、2014年からです。
新潟のN、スマイルのS、テレビのTで、「Niigata Smile TV」。社名は新潟総合テレビですが、もっと親しみやすい形でみなさんに身近に感じてもらうにはどう表現したらいいか、社員から募った中で出てきた名称が「Niigata Smile TV」でした。
土曜18時から放送のレギュラー自社制作番組『スマイルスタジアム NST』にも"スマイル"が採用されています。この番組は2001年スタートの番組ですが、当初から、みなさんが笑顔になる番組をお届けしたいという思いがあったのだと感じています。
"スマイル"というコンセプトをどう捉えていらっしゃいますか?
「なぜテレビを観るか」「なぜイベントに行くのか」という部分に立ち返ったとき、楽しくなりたいからだよね、楽しいときって自然に笑顔が出てくるよね、というところからの「Niigata Smile TV」だと私は思っています。それは部内でも共有していて、まさに今、来年度のブランディングの企画を考えているのですが、やはり「笑顔をつなぐテレビ局でありたい」ということを軸に話し合っています。
視聴者の地元の方々は、どのようなイメージを持たれているんでしょうか?
親しみやすいと感じていただいているのではないかなと思います。「Niigata Smile TV」という名称もだいぶ浸透してきたのではないでしょうか。
一度、放送局のイメージ調査をやったことがありますが、そのときは「まだまだだな」という印象でした。もっとみなさんに認知していただけるよう、広報活動を続けていきたいです。
新潟総合テレビ(NST) 編成広報部長 堀川晃子氏
笑顔をつないで新潟の良さを発信していく
笑顔をつなぐために、イベントなどもされているんでしょうか?
ゴールデンウィークには「信濃川感謝祭 やすらぎ堤川まつり」といって、社屋と、その横を流れる信濃川堤防の"やすらぎ堤"でイベントを開催しています。「川まつり」に先駆け、春には34本のポールを立てて、約100匹のこいのぼりを毎日揚げるのですが、社員でシフトを組んで朝晩の上げ下ろしをしています(笑)。みなさんがそれを見て、季節感を感じたり、ほのぼのとした気持ちになったりしていただけたらと思ってやっています。今年で26回目になりましたので、実際にゴールデンウィークの風物詩になっていると自負しています。
秋には「NSTまつり」として、こちらも社屋を開放して、コンサートやお笑いライブ、そして視聴者参加のダンスコンテストなども行っています。また、全国の有名店が一堂に会する"ラーメンWARS"や、スイーツ・全国のグルメを楽しめるフードイベントも長蛇の列ができるなど、毎年恒例のイベントとしてみなさんに楽しんでいただいています。
2018年のNSTまつりには「新しい地図」の稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんも出演されたそうですね。
はい、スペシャルトークショーにお迎えしました。2020年の東京オリンピック・パラリンピックについての取材を進めていく中で「どうやったらみなさんにもっと知ってもらえるのだろう」という話をしていたところ、パラサポスペシャルサポーターであるお三方が出演してくださることになりました。
「NSTまつり」にいらっしゃったみなさんが、毎年「すごく楽しかった」と言って帰っていかれるので、とても嬉しい気持ちになります。もちろん番組もそうですが、こうしたイベントを通じてのブランディングも大切だと思っています。
イベントというと、新潟は花火大会も注目度が高いですよね。
日本三大花火である長岡花火がありますしね。当社としても今年、LINE LIVEやYouTubeを使って7月に越後三大花火に数えられる「ぎおん柏崎まつり海の大花火大会」、8月に「新潟まつり花火大会」のライブ配信をしました。進学やお仕事で県外に出た方でも、そういった媒体なら見ることができますから。ライブ配信中にリアルタイムであがってきたチャットで、「見られてよかった」とか「NSTさんありがとう」といったコメントをいただいて、関わったメンバー皆が「喜んでいただけて良かった。よし、またがんばろう!」という気持ちになれましたね。
他にも、笑顔をつなぐための施策があれば教えてください。
「大好き!にいがた!」キャンペーンを実施しています。新潟をもっと好きになってもらおう、新潟の美しい自然、誇るべき伝統文化など、いい所をみなさんにもっと知ってもらい新潟の活性化を推進しようという企画です。
もっと大きなことを言うと、「新潟にはこんなに良い企業があるんだよ」「こんな素敵な場所があるんだよ」ということを、新潟の若い人たちに向けて発信していきたいという狙いもあります。このキャンペーンでは、森づくり運動でのブナの苗木の植樹や田植え、大好きな新潟の魅力をテーマにしたフォトコンテストの開催、出前授業などを行っています。イベントには、NSTのマスコットキャラクターであるナシテ君とドシテちゃんも参加して、みなさんと触れ合い楽しんでいます。毎年たくさんの方にご参加いただいていて、本当に嬉しく思っています。
歴史を重ねて進化していく番組づくり
今、自局制作で力を入れている番組や、人気番組を紹介してください。
毎週土曜18時から放送の『スマイルスタジアム NST』、土曜午前10時25分から放送の『八千代コースター』、そして金曜15時50分から生放送の『八千代ライブ』ですね。ちなみに、「八千代」というのはNST本社住所からのネーミングです。
『スマイルスタジアム NST』はNSTの長寿番組で、2001年10月から放送しているので、今年でもう18年目になりました。
18年目!長いですね。番組の歴史で何か印象的な出来事などありますか?
NBS長野放送とのコラボレーション番組を作るようになったことですね。ちょうど同じ時間帯に自社制作の『土曜はこれダネッ!』という番組を放送されていて、「一緒に番組を作りましょう」ということになりました。
2008年のNST開局40周年記念番組として放送したのが始まりなのですが、その後も引き続き、年に一回、秋に『スマイル・これダネッ!』という共同制作番組を二局ネットで放送しています。
同じ系列局の中で情報交換はされると思いますが、一緒に企画を考えたり、コラボ番組を作ったりされることは多いのですか?
NSTは少ないと思います。下地ができているエリアは、積極的にコラボレーションされていると思いますし、九州エリアや北陸三県はもっと頻繁に取り組まれているようにみえます。
エリア的な問題もあるのかもしれないですが、当社としてはまだまだ。『スマイル・これダネッ!』が核として一つあるくらいです。
他局の取り組みを参考にされていることはありますか?
実は昨年、同じ系列の関西テレビ・石川テレビと一緒に番組を制作して、ベトナムで放送したことがありました。内容としては、関西テレビが以前放送していた『走れ!ガリバーくん』という番組のフォーマットにのせて、「王様の旅をする人」と「貧乏な旅をする人」が各エリアをめぐるというものです。ベトナムの方に日本を紹介する番組として制作・放送しました。
そのときの関西テレビの仕切りや、リサーチ力、企画力といったところが本当に素晴らしかったです。私たちは人員的にもなかなか追いつかないのですが、とても勉強になりました。
地上波と通信の融合に向けて
ネット動画配信など、地上波以外の放送を意識した取り組みは行っていますか?
今年の4月からデジタルマーケティング室を設けて、地上波と通信の融合への取り組みを始めたところです。具体的には、YouTubeやLINEのLIVE配信機能を使った配信を行っています。内容は花火大会や「NSTまつり」などイベントにちなんだものや、アナウンサーによるフリートーク、情報番組の副音声配信、最近話題の「eスポーツ」など様々ですが、地上波の視聴者と全く違うリアクションや視聴形態なので、技術的な面も含め、まだまだトライアルの途中です。
LINE LIVEの配信をやってみようと思ったきっかけは?
スマートフォンを利用しているユーザーたちの中で、手軽に配信できる「LIVE配信アプリ」の人気が高まってきている事もありますし、放送との親和性も髙いと感じています。また、アナウンサーも番組より少し気を抜いた感じで出演すれば、そこからNSTに親しみを持ってもらえるのではないかという狙いもありましたね。TVer等のキャッチアップサービスはキー局などの番組の配信が先行していますし、NSTとしても現状の資源で取り組む中で面白いのではないかと思いました。
4Kなど技術的な部分の対応はいかがですか?
当社にも4Kのカメラや編集機はありまして、番組としては2017年の2月に制作し、ひかりTVチャンネル4Kにて『にっぽん4K巡り 新潟編』として放送しました。また、この番組は4Kから2Kに変換して地上波でも放送しました。
その他に、『NSTプライムニュース』内の「ニイガタ映像美」というコーナーで、4K撮影した映像を用いて新潟の風景などを紹介しています。
どれくらいの方が4Kを見られるのかなど、まだわからないことも多いですよね。
そうですね。 とはいえ4Kのカメラや編集機を使うことは、技術的なスキルアップにもなってくるので、試行錯誤しながら"これから"に備えていきたいと思っています。
新潟の人々の温かさ
新潟の放送を取り巻く、固有の事情や課題はありますか?
新潟に限ったことではないかもしれませんが、「新潟」が取り上げられる番組だと格段に視聴率が上がります。地元のローカル番組でもそうですし、普段訪れている新潟のお店が全国ネットで紹介されるなんてことになると特に。これはきっと、どの局でも同じなのではないでしょうか。新潟のことをみなさんに知ってもらいたいとか、自分の知っている所がどんなふうに紹介されるのだろうという点に興味があるのだろうなと感じますね。新潟の方は、本当に地元愛が強いのだと思います。
自社制作情報番組や、前述した「大好き!にいがた!」キャンペーンの一環としても年に2回ほど番組を放送していますが、皆さんが知っている新潟の事をどの様に紹介するか、そして新しい情報をどう発信するかが課題と感じています。
「大好き!にいがた!」キャンペーンの番組は、どんな内容ですか?
年に2回放送していまして、新潟の素晴らしさを、食・温泉・文化・ECOなどテーマを決めて紹介しています。最近は「大好き!にいがた!ここで働かせてください」というタイトルで、若手タレントが、農業体験や、新潟のちょっと気になる企業で、実際に各分野のプロフェッショナルの方から仕事を教えてもらい、そこで働いている姿を紹介しています。色々と教わる中で成長していく過程を映し出すことで、地域に根差して働くこと、そして新潟ならではの地域性や誇り、温かさを感じてもらえるような番組となっていると思っています。みなさん新潟のことが大好きなので、興味をもっていただけていると感じています。
地元愛が深いですね。
県民性が素直で、情緒深いんだろうなと思います。県外から来られた方に「どんなときでもみんなが一緒に前に向かって取り組む姿勢があって、新潟はあったかい県ですね」と言っていただけたこともありました。その言葉が腑に落ちて、とても嬉しかったことを覚えています。
一致団結するという県民性が御社の企業風土にもなっていると感じました。
そう思っていただけると嬉しいです。イベントなども各部から集まってプロジェクトを組み、共有しながら進めていきます。一つの部で何かを決めてしまうと、どこか固まってしまう部分があると思うのですが、多くの部署が集まることでいろんな意見が集まってきますよね。
「番組ではこんなことができるよ」とか、「こういうものがセールスにつながるよ」とか、「このイベントを番組に絡めたら良いんじゃない」とか。そこから可能性が広がっていくので、全社横断的に取り組んでいます。
開局50周年。NSTの「これから」
2018年は、NST開局50周年ということで、節目の年ですね。「ここから、これから。」というキャッチコピーに込めた思いを教えてください。
「ここから」というのは、新潟から、NSTから、ここ八千代から。「これから」というのは、50周年という大きな節目を迎えて、これからさらにまだ新潟の人たちが知らないことや、新潟の人は知っているけれども他の地域の人が知らないこと、新しい扉を開けていくという意味を込めています。50周年のロゴも、扉のイメージを採用したものになっています。
これからやりたいこと、チャレンジしたいことは、ありますか?
編成広報部としては、やはり視聴率UPですね。
同時に、全社的に新潟県を盛り上げていきたいという気持ちを強く持っています。新潟のことを新潟の人々に発信するだけに留まらず、昨年の関西テレビ・石川テレビとご一緒したベトナムでの放送のように、海外に向けての発信なども行って、インバウンドにつなげていきたいですね。
インバウンドも意識されているのですね。
はい。2016年にはベトナムのホーチミンにASEAN支局を開設しました。常駐の記者もおり、今の支局長は2代目。新潟からASEANエリアに進出している企業が30ほどあり、そこで活躍されている方々を取り上げたり、現地の情報を発信することで、さらなる活性化を目指しています。毎週、ニュースの中で「ASEANリポート」というコーナーを設け、ベトナムでの取り組みを紹介したり、シンガポールなどベトナム以外のASEAN地域からも様々な情報をお届けしています。
2018年は、NST開局50周年、日越外交関係樹立45周年という、節目が重なる年でした。そこで、新潟県や新潟市、そして複数の県内企業と連携し、新潟・ベトナム交流プロジェクト「新潟⇔ベトナム交流の翼」を実施しました。このプロジェクトでは直行チャーター便で2WAYチャーターとして新潟とベトナムのハノイを結び、花角英世新潟県知事や県内の企業関係者らおよそ160名が訪越し、知事自ら新潟の観光PRを行いベトナムからのインバウンドや留学生誘致をアピールしました。また、ベトナム現地では副首相らとの意見交換など官・産・学のそれぞれで各種交流を図りました。
ベトナムからの観光客のみなさんが新潟空港に到着の際には、NSTマスコットキャラクターのナシテ君、ドシテちゃんと、トキめき新潟国体・トキめき新潟大会のキャラクターのとっぴーと共に新潟の観光ガイドやポストカードなどのノベルティを贈呈し歓迎しました。ベトナムからいらした皆さんは、新潟県小千谷市のニシキゴイの里を訪れたり、酒蔵見学をされたりと、新潟を楽しんでいただけたと感じています。
こうした取り組みをはじめ、いろいろなことにチャレンジしながら、新潟をもっと元気に、みなさんが自然と笑顔になっていただけるように、と思っています。そのために何ができるかを、いつも考えています。
前向きなお話で、こちらも笑顔になりました。本日はありがとうございました。
新潟総合テレビ(NST) 編成広報部長 堀川 晃子(ほりかわ あきこ)
1994年年NSTに入社。当時は業務部に配属されCM運行、スポットデスク、タイムデスクを経て2011年からの4年間は東京支社に勤務。2015年4月から編成広報部に配属となり、現在は部長職を務める。