【 鈴木おさむ の WHAT’S ON TV ? 】〜レジェンドが奇跡を起こすとき〜
【 鈴木おさむ のWHAT’S ON TV ? 】 第10回
レジェンドは、条件が揃った時には動く。
ただ、その条件のハードルはとてつもなく高い。
昨年末の紅白歌合戦。最後のサザンとユーミンのコラボレーションに興奮して倒れそうになったオーバー40歳は少なくないはずだ。
まず、ユーミンが歌唱した部分。最初は中継かと思っていたら、それがNHKホールであることがわかり、ユーミンが出てくる。
この時、沢山の人が思ったはず。「ってことは、ユーミンとサザンが一緒にNHKホールに立ってるってことか?」と。
そして最後に事件は起きる。
サザンが「勝手にシンドバッド」を歌ってるところにユーミンが入ってきて、奇跡が。
ここで考える。あれは事前にどのくらい計算されていたことなのか?
おそらく、最初からあの演出を考えて、双方にオファーしたところで、実現はしなかったと思う。
ただ、制作者は必ず思っていたはず。サザンとユーミンが同じNHKホールにいるわけだから何か出来ないかと。いや、何か起きないかと。
そしてサザンの歌唱。一曲目の「希望の轍」はサザンだけで。
二曲目の「勝手にシンドバッド」をみんなの前で歌うことにより、事件が起きる可能性は高くなる。
数々のアーティストがいるわけだから。 そしてユーミンがいる。
これも事前にユーミンに「サザンが歌ってるときに入ってください」と言ったところで、OKしないのではないか? あの状況、カオスな感じになったところで、誰かがプロデューサーとかが指示してるのではないか?
どちらにしろ、あのカオスな状況だったから成立したんだけど、あのカオスな状況を作ったらこの奇跡は起きるかもと、可能性にベットした制作者はいるはず。
あの紅白を見ていて、「笑っていいとも」のファイナルを思い出した。
タモリ、明石家さんま、笑福亭鶴瓶、とんねるず、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、爆笑問題、ナインティナイン。すべてが勢ぞろいしたあの瞬間。 あれを各自に事前オファーしていても絶対に成立しない。
ただ、一つ言えるのはあれだけの出演者が一つの番組に出ていたことで、「もしかしたら」という可能性はゼロではなかったこと。
芸人さんもアーティストも、誰だって事件は好きなはずだ。
平成最後の紅白。「笑っていいとも」の最後。
そのステージで、レジェンドが事件を起こしていい可能性を作る。理由を作る。
これから平成の最後を迎える。そして来年の2020。
レジェンドが事件を起こしていい理由は何度かある。
テレビの根性を見せるために、また、何か起きてほしいし、その可能性に賭けてほしい。
(了)