【 鈴木おさむ の WHAT’S ON TV ? 】〜いい番組は元気を伝える〜
【 鈴木おさむ のWHAT’S ON TV ? 】 第12回
先日、テレビというのは改めてマッチポンプメディアだなと感じた。
先日までバラエティーやドラマでお世話になっていた芸能人が罪を犯した時には、今度は同じ局のワイドショーや情報番組で叩く。
罪を犯したから仕方ないのだが、でも、それが同じ局で行われることを、ちょっと俯瞰的に見ると、残酷であり、滑稽さも感じてしまう時がある。
人の不幸を題材にするバラエティー番組ってある。僕もそれに近い番組を構成していることもある。
先日 、あるタレントAさんが、芸能界に復帰することになって、番組の会議で、その人を取り上げるか否かの話になった。Aさんを取り上げるとなると、過去の事件を扱わずには通れないのだが、本人が嫌がっているのだと。
理由は単純で、子供が学校に通っているから。
結局なしになったのだが、自分の子供が4歳近くになった今、Aさんの気持ちは痛いほど分かる。が、その事件を扱わない限り、番組で取り上げるのは無理だなという現実。
テレビマンである自分と、親である自分の気持ちがぶつかり合う。
この春からテレビ朝日で今田耕司さんと指原莉乃さんが司会する「いまだにファンです!」という番組が始まった。企画の種は僕が考えたもので、構成もしている。
毎回一人のタレントさんをスタジオにお招きして、いまだにその人のファンを続けている一般の方数名にスタジオに来て貰って、お話を聞く番組だ。
一回目は、細川ふみえさん。デビューしてから30年近く、 細川ふみえさんのファンである人を二人お呼びして、本人を目の前にして話を聞く番組だ。とてもおもしろい。
ファンの一人Bさんは、細川さんのファンになってからすぐに当時の彼女と結婚。奥さんも一緒に細川さんを応援するようになる。
色々あった細川さんの人生だったが、そこも含めて応援していくBさんと奥さんだったが、ある時、Bさんの奥さんが病気で亡くなられてしまった。
そんなときに、久々に細川さんの写真集のサイン会があり 、Bさんは最初は行く気力もなかったのだが、行った方が亡くなった奥さんも喜んでくれるのでは?と思いサイン会に行った。
すると細川さんは「今日はおひとりですか?」と聞くと、Bさんは奥さんが亡くなったことを話した。細川さんは一緒に泣き、そこでなんとメールアドレスを書いて渡してくれたのだという。励ますために。
スタジオは涙に包まれて、番組は明るく楽しく、感動的な場面もあり終わっていく。
Bさんの取材に僕は行った。直接色々お話を聞いた。
番組収録の数日前に、プライベートで今田さんに会ったので、その取材の話をした。
Bさんの人となりと人生。奥さんのことも。
今田さんは言った。「すごくいい番組になりそうです」と。
そして「その日、番組に来た細川さんと、ファンの人が、明日一日元気で過ごせるパワーをもらえますね」と言った。
それが大事だと。
目の前の数人に与えられたパワーと喜びはきっと番組を通じて視聴者に伝わるはずである。
ああいう番組が育ちますように!
(了)