【 鈴木おさむ の WHAT’S ON TV ? 】災害時のテレビ放送
【 鈴木おさむ のWHAT’S ON TV ? 】第18回
台風19号が来た日。僕の実家は千葉県、南房総市。
台風15号の時に実家は屋根がちょっとやられました。なので、あの日、朝8時には避難勧告が出て、母は午前中に近くの小学校に避難していました。
僕もその日、仕事はすべてキャンセルし、家にいました。お隣さんの家族と話し合って、その日はお互いの家を行き来したり、一緒にご飯を食べて備えていました。お隣さんの家には川沿いに住んでいるお友達が二人、避難してきて、一緒にいました。
テレビはNHKを付けっばなしにしていました。
夕方を過ぎると、避難勧告の情報、強い雨で被害が出始めている地域の映像も増えてくる。
夜19時を過ぎると自分の住んでいる地域の近くも避難勧告に入り出す。雨も更に強くなる。
テレビのリモコンを持ち、チャンネルを回してみる。19時台。日本テレビは番組を変更して緊急で台風のニュースをやっていた。ほかは、大阪での格闘技中継、そしてバラエティー番組をやっているところもいくつか。僕はこういう時にバラエティー番組を放送することは否定しない。
2011年3月11日の東日本大震災のあと。数日間、テレビでバラエティーが放送されることはなかった。僕の記憶では「踊る!さんま御殿!!」が最初だったはず。それに対して批判する人もいたが、災害情報とACの広告ばかりで、避難所で生活している人たちの中にも、バラエティー番組を求めていた人もいたはず。ただ、みな、どの局もファーストペンギンになるのは怖かったはず。その中でのあの番組を放送するという勇気とジャッジ。すごいと思った。
そして今回。あの状況の中で、バラエティー番組を求めていた人もいるだろう。そんな中、とある局で、コンビニの商品をランク付けする番組がやっていた。さすがにこれには大きな違和感を感じてしまった。
NHKでは、避難勧告を伝えている中で、レベル5にまで達している地域があり、テレビから「命の危険がある」という文字と言葉が流れていた。その地域の方は逃げましょうと。テレビで、しかもNHKで、命の危険とまで言っていることで、今回の台風がどれほどのものかと伝わったし、あの放送をしたことによって、油断しなかった人も多かったはずだ。
命の危険まで伝えている一方、コンビニの商品のランキング。その日、家の近所のお店はみんな閉めていた。食べ物を買い込んで、家でおびえていた人もいるはずだ。スーパーの商品の棚から食料がかなり減ってしまったというニュースもあった。
くれぐれも、あの状況でバラエティーを放送することに反対ではない。だが、NHKで命の危険とまで言っていて、それと、コンビニのランンキングのギャップに、これって誰が得しているのだろうと思ってしまった自分がいた。もちろん見た人もたくさんいるだろうし、楽しんだ人も沢山いるのだろう。あの放送を簡単には後ろ倒し出来ない、いろんな事情があるのは僕だってわかっている。が、明らかにあの状況じゃない時に放送した方が、あそこに出てくるものを買いたくなったんじゃないかと僕は思ってしまった。何度も言うが事情は分かります。それをふまえて言ってます。
増えている災害。絶対にあってほしくないが、NHKであのような情報が伝えられる日が、また来てしまうかもしれない。その時にバラエティー番組を放送する局の対応。どうしていくのが正しいのだろう。バラエティーを作っている人間だからこそ、難しいなと思ってしまう。
<了>