【 鈴木おさむ の WHAT’S ON TV ? 】令和元年、芸能人の結婚ラッシュに思うこと
【 鈴木おさむ の WHAT’S ON TV ? 】第19回
2019年は芸能人の結婚ブームとか言われてましたが、芸能人が結婚すると「おめでとう!」とメディアは騒ぐが、芸能人が結婚することって難しいことだなと思う。
結婚することによって、イメージが変わるからだ。例えば、僕が、妻である森三中の大島と今から17年前に結婚した。当時妻は22歳。体を張って、テレビでヤンキーとバッグで殴り合ったりしていた。ちょっとアナーキーな感じというか、パンクな感じ、破壊的なイメージだったと思う。それが結婚したことにより、「おめでとう」となると、最初はいいのだが、結婚して1年ほどたった時に悩んでいた。芸人さんがテレビ番組に出て求められるのは「面白い話」である。結婚生活においての幸せな話は、「情報」にはなるが、面白くはない。
それに気づいた妻は「幸せな話はちっとも笑いにならない」と言っていた。「へ~」にはなるけど笑いにならない。芸人さんにとっての幸せな話は、「フリ」でしかない。しかも、卑屈や自虐が芸風の人は、特にそうなる。だから妻は、より体を張る!という方に走ったのではないかと思う。
イモトアヤコさんの場合は、結婚したことがプラスにしかならない稀なキャラクターだなと思う。アスリート並みのチャレンジをし続けているからかもしれない。
南海キャンディーズの山ちゃん。まさにミスター卑屈なキャラクターなのだが、彼は数年前から司会業に本格的に取り組んでいる。今年、蒼井優さんと結婚したことにより、彼の卑屈な芸風が効果的ではなくなる。これは仕方ない。「テラスハウス」では山ちゃんの卑屈なコメント、解説がとても面白いが、やはり奥さんが蒼井優さんであることがちらつくので、威力が弱くなるのは仕方ない。だが、彼の能力はとてつもなく高いので、それさえもフリにして、新しい卑屈や自虐を生み出すのではないかと期待しているし、卑屈ではないところで勝負しようとしてる気持ちがある。
幸せな結婚により、タレントとしての今までの宝を手放さなきゃいけないこともある。が、それが自分をイノベーションするチャンスでもある。
芸人だけでなく、俳優さん、女優さんも大変である。一般人の方と結婚してると、顔は出ないので、イメージしにくいのだが。俳優・女優同士だと、正直、演技していてもお相手の顔がちらつくのは事実。特に、結婚してる人が恋愛ドラマとかで、キスシーンを演じている時などは、別のドキドキも加わってしまう。映画で裸になってバストトップ見せてたりすると「旦那さん、どう思ってるのかな?」と一瞬でも考える人は少なくないはずだ。それをも凌駕する作品に出ている人もいるので、全員ではないのだろうが。
めでたいはずの結婚。結婚したことにより、その人に対して熱量の低い人は「おめでとう」と言うが、熱量の高い人は「おめでとう」とならない。そういう声は本人に届いているはずだ。そういう気持ちも踏まえて、家族のカタチを作り上げていく。とてつもなく大変なことだが、それが芸能人である人が結婚するということなのだろう。
幸せになるって難しい。でも難しいからいいのだ。
<了>