クーポン広告 「雑誌業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約施行規則」の改正の承認について

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※本記事は1987年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

公正取引委員会は、雑誌公正取引協議会(理事長 千葉源蔵。以下「雑誌公取協」という。)から、いわゆるクーポン付広告を雑誌に掲載することができるようにするために承認申請のあった「雑誌業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約施行規則」(以下「雑誌規則」という。)の改正を承認した。

なお、これに伴い雑誌公取協は、雑誌規則の運用基準(以下「運用基準」という。)を設定した。改正後の雑誌規則及び運用基準は、昭和62年10月1日から施行された。

<変更内容及び理由>

1.雑誌に、クーポン付広告(広告主の供給する商品又は役務の割引券等(クーポン)が広告面又はこれに近接する場所に添付又は挿入された広告)を掲載できるかどうかについては、「雑誌業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」(以下「雑誌規約」という。)上には明文の規定がなく、明確化されていなかった。

しかしながら、雑誌発行業者は、従来から、雑誌にクーポン付広告が掲載された場合、当該雑誌由取引を不当に誘引することになりかねないとして、これを自粛してきた。

2.当委員会では、「市場アクセス改善のための競争政策上の対応策」の一環として不当な顧客誘引の弊害が生じない範囲内において販売促進活動の手段として景品提供行為を用いることができるように公正競争規約の見直し等を検討するよう適宜関係業界を指導してきたところである。

外資系企業から、日本の雑誌にはクーポン付広告が掲載できないのは外国製品等の市場アクセスを妨げているという指摘があった。当委員会としても、雑誌にクーポン付広告が掲載されるようになることは市場アクセスの改善に役立つと考えられることから、雑誌公取協に対し、クーポン付広告の掲載が雑誌の取引を不当に誘引する手段として用いられることのないように所要の方策を講じた上で、雑誌にクーポン付広告を掲載することができる旨を雑誌規約に明文化するよう指導してきた。

3.雑誌公取協は、当委員会の意向を受けて、雑誌にクーポン付広告が掲載できるようにするため、次のように雑誌規則を改正するとともに、運用基準を設定した。

(1) 雑誌規約第7条では、広告主が経済上の利益を提供する旨を広告掲載する場合は、雑誌規則(第8条)で定める方法によるものであり、かつ、雑誌発行業者が雑誌の購入を誘引するための手段として企画に関与したものでない限り、雑誌規約の制限の対象とならない旨規定されている。

そこで今回、雑誌規則(第8条)で定める方法に「提供される経済上の利益が、広告に係る事業者が供給する商品又は役務の値引であり、かつ、懸賞によらないで提供される場合にあっては、割引券等を当該事業者の広告面又はこれに近接する場所に添付又は挿入する方法」を追加し、これにより、雑誌発行業者がクーポン付広告を掲載することができるようにする。

(2) クーポン付広告が雑誌の取引を不当に誘引する手段として用いられないようにするため、次のような運用基準を設定する。

雑誌発行業者は、クーポン付広告を自己の雑誌に掲載するに当たって、次のような方法によってクーポン付広告を当該雑誌の販売促進に利用してはならない。

ア.他の媒体を利用して当該雑誌の広告を掲載する場合に、クーポン付広告が当該雑誌に掲載されていることを表示すること。

イ.クーポン付広告の掲載についてこれを事前に当該雑誌に予告し、又は当該広告掲載号の表紙等に表示すること。

4.当委員会は、上記3(1)及び(2)の措置によって、雑誌にクーポン付広告が掲載できるようになり、かつ、それが雑誌の取引を不当に誘引する手段として用いられるおそれはないものと判断した。

「雑誌業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約施行規則」新旧対照表

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雑誌業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約第7条 及び同規約施行規則第8蔦第3号についての運用基準

1.雑誌発行業者は、雑誌発行業者以外の者による経済上の利益(広告に係る事業者が供給する商品又は役務の値引)の提供に関する広告(以下「クーポン付広告」という。)を自己の雑誌に掲載するに当たって、次のような方法によってクーポン付広告を当該雑誌の販売促進に利用してはならない。

(1)他の媒体を利用して当該雑誌の広告を掲載する場合に、クーポン付広告が当該雑誌に掲載されていることを表示すること。

(2)クーポン付広告の掲載を事前に当該雑誌に告知すること及び当該広告掲載号の表紙等に表示すること。

2.雑誌発行業者は、割引券等を広告面又はこれに近接する場所に添付又は挿入する場合には、当該割引券等には次の事項を表示するものとする。

(1)割引券等の有効期間

(2)割り引かれる商品名又は役務の内容

(3)割引券等が利用できる店舗、場所又は事業所等の有効使用範囲

(4)割引の額又は割引の率

(5)広告面と割引券等の境界区分

附 則

この運用基準は、昭和62年10月1日から施行する。

クーポン付広告の掲載に関するガイドライン

1.原 則

① 雑誌の販売促進に利用しないこと。

ア.掲載される雑誌の表紙、目次等の誌面で告知することはできない。

イ.クーポン付広告掲載の旨を、他媒体(テレビ、新聞、雑誌、中吊等)で告知することはできない。

② クーポン付広告のみの別冊付録はいけない。

③ クーポン付広告の掲載にあたっては、関係各社の良識に基づき、かつ広告掲載基準を十分に遵守すること。

2.クーポン付広告の掲載場所

① 掲載場所は原則として本文中とする。

② 掲載場所については最終的に媒体社の判断による。

3.券面の表示

クーポン券のサイズにとくに定めはないが、広告面とクーポン券との境界区分を明確にし、券面には下記の各項を表示すること。

① 有効期限

② 対象商品名(または役務の内容)

③ メーカーまたは実施店舗名

④ 割引率または割引額

⑤ 数量、重量、形等

⑥ その他、上記以外の必要事項

4.広告原稿の管理

クーポン付広告の原稿の取扱いについては慎重に管理する。

(昭和62年10月1日より実施)

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