【ふかわりょうの「魔法が解けたなら」】〜第6回 長寿番組になるには 続編〜

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【ふかわりょうの「魔法が解けたなら」】〜第6回 長寿番組になるには 続編〜

【ふかわりょうの「魔法が解けたなら」】 第6回 <毎週金曜更新>

長寿番組のもう一つの秘訣、それは「面白すぎない」ことです。「楽しくなければテレビじゃない」なんていうコピーもありましたが、やはり「面白すぎ」は良くないのです。

笑える面白さもあれば、好奇心をくすぐられる興味深い面白さもあります。「良くない」というのも語弊がありますが、言い換えるなら、視聴者をお腹いっぱいにさせない、ということでしょうか。

単発の特番であれば、視聴者に強く印象を残す必要もあるので、お腹いっぱいにするのも効果的かもしれません。しかし、晴れてレギュラー番組になり、毎週ないし毎日お茶の間に届ける場合は、必ずしも「満たす」ことが功を奏するとは限りません。何事も腹八分目。テレビは映画とは違います。映画はお腹いっぱいにする必要がありますが、テレビはそこまでしなくていい。むしろ、レギュラー番組での満腹感は胃もたれを誘発します。あくまで日常、コンビニや定食屋に行くくらいの、ほどほどでいいのです。


腹八分目と言ってもどうすればいいのでしょう。一つは、隙間を作る事かもしれません。隙間のない番組は見ていて疲れてしまいます。肩の力を抜いて、リラックスして見られる番組。視聴率競争が激化し、編集技術も向上した隙間のない番組が増える中、「隙間だらけの番組」というコンセプトで始まったのが「タモリ倶楽部」だったと聞いたことがあります。言わずもがな、長寿番組の代表格。

もう一つは、感情のベクトルを変えること。

現在の「イッテQ!」の枠で放送されていた「天才・たけしの元気が出るテレビ‼」は、軽快なオープニング・テーマが始まるや、瞬く間に笑いの渦に巻き込まれるジェットコースターに乗せられるのですが、気がつくと、ほっこりするコーナーや、うるっとしてしまうコーナーになっていました。笑わせてばかりではない1時間に、無理のない心地よさを覚えます。

余談ですが、志村けんさんの番組で、くだらないコントが続いていたにも関わらず、突然、悲しいストーリーが始まったことがありました。オチが来るかと思いきや、そのままCMへ。一体なんだったのかわかりませんが、あの画面に吸い込まれる感じはいまだに覚えています。


DJにおいても、ずっと同じテンポで踊らせるスタイルもなくはないですが、1時間の中で様々なテンポで緩急をつけるとフロアも盛り上がります。お茶の間もダンスフロアと同じ。緩急をつけることでミラーボールは回るでしょう。

私自身、現在生放送の帯番組をやっていますが、あえて点数にするなら「78点」がちょうどいいと思っています。あぁ、終わってしまった。もう少し見たいのに。これくらいが帯番組にはちょうどいい。面白すぎたり、満たしてしまうと、次が辛くなってしまうから。一番良くないのが、100点を取ってしまうこと。だったら0点の方がよほど長寿の可能性があると思います。

私は「笑点」で爆笑したことも、「サザエさん」で大きく心が動かされたこともありません。しかし、どちらもいい湯加減で、ずっと続いて欲しい、日常に欠かせない景色です。お腹いっぱいにするのは特番や映画に任せ、レギュラー番組は、近所の定食屋さんのような存在でいることが長寿に繋がると思います。

<了>

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