【 鈴木おさむ の WHAT'S ON TV ? 】 "人類初の経験"を報道する難しさ
【 鈴木おさむ の WHAT'S ON TV ? 】第23回
テレビはコロナウィルスのニュースで溢れている。局や番組ごとに伝え方が違う。
先日、あるお医者さんと食事している時に、その人は言った。「とにかく、人類初の経験をしているということは意識すべきですよね」と。そうなんですよね。人類初だから、わからないんですよ。
コロナ感染者が日本でも出始めの初期、「熱に弱く夏になると終息するだろう」と伝えている番組をいくつか見た。でもその後、だいぶ状況が変わってきている。もちろん、それは仕方ないことだが、せめて「以前、この番組でも○○とお伝えしていましたが、今日の情報ですと~」とか言ってほしいなと思う(言っている番組もあるとは思うが)。
じゃないと、情報がいきなり変わっていて困惑することがある。人類が初めて経験することなんだから、以前伝えた情報が間違っていても仕方ないと思う。だからこそ、違うことを伝えていたことも言ってほしい。その方が新しい情報が更新されやすいからだ。
そしてキャスター、MC,コメンテーターの方が番組内で発した個人的な感想や言葉がネットニュースの記事では「ニュース」となってしまう。あくまでも個人的な思いを発しただけなのに、「事実」っぽく伝えられたり、「そうなるだろう」的なニュースになってしまったりすることもある。とても怖いことだなと思う。
今回のコロナにまつわるニュースは、見る人の、情報をチョイスする能力が試されている気がする。あくまでも「一つの選択肢」としてとらえなければいけない。でも、それって難しいよなー。
そして、テレビを見ていると、子供や若い人は重篤化しにくいということを結構言っている(この先どうなるか分からないが)。僕は逆に高齢者がかかると重篤化しやすいことももっと伝えるべきだと思う。
先日、僕の知り合いのS君(20代)と話をしていた時の事。S君は週末だけお父さんの仕事を手伝って、車のディーラー業をやっている。東京から移動して、茨城、栃木を中心に回っているのだが、3月に入ってから、その仕事がないのだという。
というのも、S君は栃木や茨城まで東京から電車で行くのだが、相手は高齢者の方が多く、口を揃えて「東京から電車で来るのなら、やめてほしい」と言うらしい。つまり、S君が電車に乗ってコロナの菌を持ってきて、自分にかかったら大変だと思うのだろう。
大事なのは、若い世代も、知らないうちにコロナの菌を保有して、それを高齢者などにうつす可能性が高い事。それを高齢者の方たちは気にしているのだ。そりゃそうですよね。もし自分が70代だったら、コロナのニュースを聞いたとき、自分がかかったら死ぬ可能性があると思って聞くわけだから。
年齢によってニュースの受け止め方は違う。今回のコロナに関しては、年代によってその「危機感」が違うのだ。人類が初めて経験していることを伝えているということを自負することってかなり大事だなー。
<了>