【 鈴木おさむ の WHAT'S ON TV ? 】ヒット曲の新たな生まれ方
【 鈴木おさむ の WHAT'S ON TV ? 】第28回
日本のテレビで有名な音楽番組と言えば「ミュージックステーション」だろう。様々な音楽番組が撤退する中、ゴールデンで頑張り続けている。
そしてTBSで、この春から月曜夜22時台で始まった「CDTV ライブ! ライブ!」。この番組、僕はとても気概を感じる。
先日、この番組の4時間SPの中で「Official髭男dism」が一時間ほど、一組だけでパフォーマンスをしていた。「ヒゲダンフェス」と名付けて、ヒット曲を連発。一組のアーティストが一つの音楽番組内で、ここまで長尺でパフォーマンスしたことってあっただろうか?あの思い切った内容が、視聴率も含めて、いい結果が出ていたのは素敵だなと思った。
今のテレビでは、制作者の思い切った決断で新しいことをやっていかないといけないと思う。
この春から、僕は、Spotifyの急上昇チャートを週単位で集計してランキングで発表するラジオ番組をやっている。4月から番組は始まり、4月中旬くらいからだろうか?ある現象が出てきた。チャートに入ってくる理由で、「TikTokで流行り~」と言う回数が増えた。TikTokで使われているだけではなく、TikTokで弾き語りを発表してヒットする。その代表は瑛人の「香水」だろう。もはや「TikTok」は音楽を発信する巨大な基地となった。
そしてもう一つ、YouTubeの「THE FIRST TAKE」チャンネルだ。これは目の前に置かれたマイクの前でアーティストが一発録りで歌唱に臨むものである。音楽好きな人たちからは「おもしろい」と聞いていたが、今では大人気チャンネルだ。この「THE FIRST TAKE」をきっかけに、DISH//(北村匠海)の「猫」が大ブレイクをした。コロナ禍で「THE FIRST TAKE」は家で録る「THE HOME TAKE」シリーズも生み出し、そこで歌われたYOASOBIの「夜に駆ける」など、ヒットしていた曲がさらなるヒットになっている。
この「THE FIRST TAKE」で歌われたことによって、ヒットチャートを駆け上がることが増えた。この4か月で、それが出来上がってしまったのだ。
この「THE FIRST TAKE」、テレビの人がどう思っているかわからないが、僕はとんでもないYouTubeチャンネルが誕生したと思っている。「ミュージックステーション」や「CDTV」など、テレビ番組に出てブレイクした歌や歌手は沢山いる。が、YouTubeの1チャンネルの中で、テレビ番組並みの影響力を持つ歌番組が出来てしまったことって、すごいことだ。「ミュージックステーション」や「CDTV」と並び、この「THE FIRST TAKE」に出たいアーティストは激増しているはずだ。
この「THE FIRST TAKE」を見ていると、YouTubeの中で、これのお笑い版、役者版なんかが出てくるんじゃないかと思っている。
やっぱり企画って凄いなと思う。企画がしっかりしてると、YouTubeの中で、短い時間でも、一時間のテレビ番組と同様の影響力を持つものが出来るからだ。
正直言うと、脅威だと思う。でも、こういうものが出来るからこそ、テレビでも「ヒゲダンフェス」のように、今までやらなかったものが映し出されていくと思っている。もっともがこう。きっともっと面白くなる。
<了>