【 鈴木おさむ の WHAT'S ON TV ? 】テレビのプロが作るYouTube
【 鈴木おさむ の WHAT'S ON TV ? 】第32回
今回は、とあるディレクターの話。彼と出会ったのは「笑っていいとも!」でした。その時はADさんだった彼は、三谷三四郎って言います。
ADさんの頃からなんかおもしろい雰囲気を纏ってる人っていますよね。なんか自分に自信がある。そんな人。
そういう人ってディレクターになってから2タイプに分かれる。ずっと変わらないタイプと、牙を抜かれて丸くなってしまうタイプ。
三谷は、変わらないタイプ。
そのあと、彼とはフジテレビの「さまぁ~ずの神ギ問」という番組で一緒でした。その時もちょっと変なものを作ろうとする。そういうタイプ。
イタさと才能って紙一重。こういうやつって叩かれがちだけど、でもこういうやつじゃないと、登れない山がある。
で、その番組が終わってから、彼とは会っていませんでしたが、とある芸人さんが「YouTubeの街録ch(がいろくチャンネル)って知ってます?元いいとものADさんで、三谷って人がやってるんですけど、おもしろいんですよ」と言っていて、「あの三谷?」と思い、さっそく見てみました。
彼が、いろんな人に街録インタビューして、面白かった人を紹介する。
毎回、一人。ただ、それだけ。ただ、そこで喋っているのは、激しい人生を生きている人。
「こんな人いるの?」って人が三谷のインタビューを受けながら、喋っている。かなり、かなり、おもしろい。
チャンネルの開設は2020年の3月。現在のチャンネル登録者はなんと13.8万人(2021年1月28日時点)。このスピードだったら、今年中に50万人とかいくだろう。
タイトルがとても激しく、「元女受刑者、33歳当時、 覚醒剤で逮捕/母はストリッパー、父はヤクザ/元風俗嬢バツ3」というタイトルで女性が話している動画は75万回近くの再生数。
僕が好きなのは、「妻がホスト狂いで1700万円の借金/借金返済し娘を育てるためゲイの道へ」というタイトルの動画。眼鏡をかけた男性が話しているこの動画は90万回以上の再生数。
どれも凄い人生を聞くことが出来る。テレビ番組と違って、ただ、ただ話している。そして、さすがテレビ番組の経験値が高いディレクターなので、編集はとてもうまく、聞きやすい。言葉に全部字幕スーパーを入れている。
シンプルだが、その作りは他のYouTuberの作ったものとは、また違う、テレビのプロが作った感じがある。それが僕としては嬉しい。
最初はラジオ感覚で「聞こう」と思っていたが、そんな生半可な気持ちでは聞けない。
フジテレビ日曜お昼の「ザ・ノンフィクション」のファンって多いが、そのYouTube版だと僕は思う。そしてエンタメである。しっかりと。
これを見て、僕もそうだが、嫉妬したテレビ人は多いと思う。だけど、やはり、テレビでおもしろいものを作ってきた人は面白いものを作れるのだ。踏み出す勇気と気合があれば。
三谷は結婚している。これを作るにはかなりの時間を食うはずだから、おそらくテレビの仕事をほとんどやめて、これと格闘しているはずである。それをOKした奥さんもまた素敵だが。
こうやってカメラ一個持って、YouTubeで勝負するディレクター、増えてくるんじゃないかと思うし、そうであってほしいと思う。
そして、このチャンネルにノーギャラで出ている東野幸治さん、千原ジュニアさん、他の芸人さんも、格好いい。みんなおもしろいものに参加したいのだ。お金じゃなく。
<了>