【小西 未来のハリウッドのいま、日本のミライ】動画配信サービスの王者Netflixがゲームに進出する理由
Disney+やHBO Max、Apple TV+、Peacock、Paramount+など、アメリカでは動画配信サービスが群雄割拠の様相を呈しているが、その先駆者であるNetflixが新サービスを開始することが明らかになった。
かつてNetflixの人気ドラマ「ブラック・ミラー」は、特別編「ブラック・ミラー:バンダースナッチ」において、視聴者がストーリー展開を選択できる機能を搭載して話題を集めた。
同機能は他のいくつかのドラマでも採用されているが、このたびNetflixの動画にクイズやアンケートに答える機能が追加されることになるという。例えば、リアリティ番組「ラブ・イズ・ブラインド〜外見なんて関係ない?!〜」において、視聴者は好みの男性に投票できるようになる。
HBO MaxがDCコミックス原作のドラマ、Disney+がマーベルコミック原作や「スター・ウォーズ」のドラマなど、他の動画配信サービスが独自のオリジナル作品で会員増加を狙っているのに対し、Netflixはなぜ子供だましとも言える双方向性を追加しようとしているのだろうか?
世界で2億人以上の会員数を誇るNetflixだが、北米市場では過去3ヵ月で43万人減少しており、すでに飽和状態に近づいていると言われる。そんな中、Netflixのライバルとなるのは、他の動画配信サービスではなく、ゲームやSNSであるという。
実際、2019年、Netflixは株主向けの手紙で、ライバルは米有料チャンネルのHBOではなく、人気ゲームの「フォートナイト」であると綴っている。「フォートナイト」といえば、全世界3億5000万人以上のプレーヤー数を誇る大人気ゲームである。
人々の可処分時間には限りがある。これまで読書や映画、音楽、テレビ鑑賞といった従来のエンタメから、多くの時間を奪ってきたNetflixだが、実は若い世代ほど可処分時間におけるゲームやSNSが占める割合が高くなると言われている。
だからこそ、Netflixは「フォートナイト」を仮想敵にしていたのだ。実際にはファーストパーソン・シューティングゲームの「コール・オブ・デューティ」でもいいし、TikTokやYouTubeでもいい。ユーザーの可処分時間を奪うものすべてが、動画配信サービスの王者Netflixのライバルなのだ。
Netflixが双方向性を追加するのはユーザーの滞在時間を増やす施策の第一弾で、現在、さまざまなゲームを楽しめる新サービスのローンチが準備中だという。
例えば、Appleは「Apple Arcade」というゲームのサブスクリプションサービスを提供しているが、Netflixも近々、同様のサービスを開始する。モバイルアプリ専用で、利益を増やすためではなく、ユーザーのNetflix体験を拡充するためのものだという。
Netflixといえば、豊富な映画やドラマ、ドキュメンタリー、リアリティ番組を提供していることで知られているが、今後はゲームも加わることになる。
果たしてこの試みが成功するかどうか注目である。
(※)https://www.latimes.com/entertainment-arts/business/newsletter/2021-09-07/wide-shot-netflix-games-polls-podcasts-the-wide-shot
<了>