「クロスデバイスとは?」今さら聞けない!基本の『キ』

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「クロスデバイスとは?」今さら聞けない!基本の『キ』

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日々急速な進化を遂げるデジタルマーケティング業界。
皆さんも、毎日のように各社から発信されるニュースで最新情報をキャッチアップしたり、実務上デジタルマーケティングに関わることも多いかと思います。
このコーナーでは、皆さんがニュースや業務で触れるデジタルマーケティングに関する多くのサービスで頻繁に目にする・・・けれども、"基本"であるがゆえ、詳しく説明されることが少ない「単語」や「仕組み」について、初心者にもわかりやすく説明していきます。

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【VR LINC】

「クロスデバイス」の言葉の意味

まず、はじめに、「クロスデバイス」という言葉の意味を説明します。

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つなげると「デジタル機器を横断する」が「クロスデバイス」の直訳となります。
では、「何が」「どこを」横断するのでしょうか?例えば、りさ子さんという女性が自宅で以下のイラストのように片手でスマホをいじりながらPCを触っているとします。このイラストで言うと、

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ことがクロスデバイスという技術により実現可能となります。そして、これにより、以下のイラストに登場するスマホとPCはりさ子さんという同じユーザーが利用しているデジタル機器であることが認識可能となります(※1)。

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つまり、まとめると「クロスデバイス」とは、複数のデジタル機器(デバイス)を横断(クロス)して" 同じヒト"が利用しているデジタル機器を認識・特定する技術や仕組みのことをさします。企業によっては「クロスデバイスマッチング」と呼び、その技術を売り出しているところもあります。

※1: クロスデバイスにより複数のデバイス機器を"同じユーザー"が利用していることが識別できるようになりますが、この"同じユーザー"が"りさ子さん"本人(特定の個人)であるかどうかまで識別することは通常できません。識別できるのは、あくまでりさ子さん(1人のユーザー)が利用しているデバイス機器そのものです。

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なぜクロスデバイスが必要なのか?

ーユーザー視点で見た場合ー

先ほどのイラストで考えてみましょう。
りさ子さんは、PCで利用しているブラウザ・Google Chromeの「お気に入り」にファッション通販サイト「VRファッション」やビデオリサーチのホームページなど、自分がよく見るウェブサイトを多数登録しています。また、「VRファッション」については会員登録もしているので、ログイン用のID・パスワードもGoogle Chrome上に保存しています。
これらの情報を自身のスマホにも入れているGoogle Chromeでも同じように利用できたら便利ですよね。
Google Chromeをはじめとした各種ブラウザには「同期」という機能があります。同期を実施することで、りさ子さんはPCブラウザに入れた「お気に入り」の登録情報やID・パスワードの保存情報をスマホのブラウザでも利用できるようになります(※2)。
Google Chromeの場合は、同期を行うためにGoogleアカウントが必要です。りさ子さんがPC、スマホの双方で自身のGoogleアカウントでログインし、同期機能をオンにすることで、PC⇔スマホ双方のGoogle Chromeが「同じGoogleアカウントでログインしているから、この2つのブラウザは同じユーザーが利用しているんだな」と認識できるようになります。
言い換えると、GoogleアカウントがPC⇔スマホのGoogle Chrome間を横断することでクロスデバイスが実現します。

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※2: 同期が可能なのはGoogle Chrome⇔Google Chrome間やInternet Explorer⇔ Internet Explorer 間など、同じ種類のブラウザ間のみに限ります。(一部のブラウザには他種類のブラウザに登録した情報を自社のブラウザに取り込む機能もあります)

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ー企業視点で見た場合ー

①インターネット広告を適切・効率的に配信する

次に、企業側の視点に立って考えてみましょう。まずはインターネット広告の配信についてです。
これはテレビ業界でのお話になりますが、「スリーヒッツセオリー」という有名なコトバがあります。テレビCMがりさ子さんのような一般消費者に「このCM 見たことあるな」と記憶に残させるためには少なくとも3回はその人にテレビCMを見せる必要があるという考え方です。
一方で、同じ広告を何度も見させられると消費者は不快に感じがちです。「3回」が適切なのかどうかはさておき、このような消費者の心理はインターネット広告の世界においても同様といえます。
そこで、多くの広告配信事業者では「広告を記憶に残しつつ、不快にさせない」回数で消費者に広告を配信するための取り組みを行っています。その代表例が「フリークエンシーキャップ」です。フリークエンシーキャップとは、頻度(フリークエンシー)にフタ(キャップ)をかける、言い換えると「これ以上広告の表示頻度が増えないように制限をかけること」をさします。
フリークエンシーキャップは、Cookieや広告IDなどある特定のユニークな1つのIDに対して「1日に1回まで」「1週間に5回まで」のように日/週単位で区切ったり、「キャンペーン期間全体で10回まで」のように広告の出稿期間全体での総回数を制限することが多いです。すなわち、フリークエンシーキャップを実現させるためには、なんらかのIDごとに広告の配信回数を管理する必要があります。

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ですが、たとえばりさ子さんは、前述のイラストのようにPCとスマホの両方を使用しています。
前述の「同期」を行っていない場合、広告配信事業者側では、PC・スマホ双方のGoogle Chromeには違うCookieIDが付与されるため、同じりさ子さんが利用しているブラウザであることを識別することはできません
また、りさ子さんはスマホではブラウザであるGoogle Chrome以外にもアプリを多数利用しています。アプリ内での広告の配信管理は広告IDを使うことが多いので、広告配信事業者側では、スマホのGoogle Chromeと各種アプリでの利用情報が同じりさ子さんが利用しているかどうか識別することはできません。図で表すと、次頁のようになっている可能性があります。

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「フリークエンシ--キャップ」「Cookie」「広告ID」については、当社公式コンテンツサイト「VR Digest Plus」内の別記事で詳しく紹介しています。

フリークエンシ--キャップとは?
Cookieとは?
広告IDとは?

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この状態の場合、フリークエンシーキャップは「5回まで」なのにすでにりさ子さんには「9回」広告が表示され、かつ、今後、最大であと6回追加されトータル15回の広告表示となる可能性があります。「5回まで」のつもりで配信したはずが「15回」になってしまうのでは、りさ子さんにとっても広告への不快感を醸成しかねませんし、広告主であるVRファッション社にとっても「不必要な広告配信により出稿費が余分にかかる」という不利益をもたらしかねません。
ここで登場するのが「クロスデバイス」です。たとえば前述のGoogleアカウントでりさ子さんがPC・スマホ双方のGoogleChromeにアクセスし、かつ、スマホアプリでもインストール時にGoogleアカウントでログインしていれば、3つすべてがGoogleアカウントという1つのIDにより横断することが可能となり、下記のように広告配信をコントロールすることができるようになります。
なので、企業によってはこのような取り組みを「クロスデバイス計測」「クロスデバイストラッキング」などと呼ぶこともあります。

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②DMP等の巨大データベース構築に活用する

企業にとってクロスデバイスの技術が役立つのは広告配信領域だけではありません。
ここ数年、自社の業務に必要な様々なデータを一括統合・管理し、自社顧客とのコミュニケーション活動や社内業務等を効果的・効率化にするためにDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)やCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)と呼ばれる巨大な"データベース"を構築する企業が増えています。
DMPやCDPには、自社が保有するデータだけでなく、ビデオリサーチのような第三者が保有するデータ=3rd partyデータを取り入れ、自社に足りない情報を補完することが多いです。
例えば以下の図では、人の好みに関するプロフィール情報を持っているA 社と、位置情報を持っているB社があります。「VRファッション」では、この2社から欲しい情報を購入し、広告IDをキーにして自社の会員情報に結び付けることで、自社の会員がどんな人なのかをより詳しく知ることができるようになり、今後の会員向け施策に活かすことができるようになります。

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そしてこのとき、ポイントとなるのが、A 社・B 社・そして「VRファッション」で共通するIDが存在することです。このIDがないと、お互いの情報を紐づけ、「ある1人の自社の会員」にA 社・B 社の情報をつなぐことができません。
上記のイラストでは、「広告ID」という共通のIDがあったのでお互いの情報をつなぐことができましたが、もし「VRファッション」が持っているI DがCookieIDだけだったら...どうすればよいのでしょうか?
ここで登場するのが「クロスデバイス」の考え方です。広告IDは、スマホなどのスマートデバイスに付与されるIDです。
そして、CookieIDは、PCやスマホのブラウザに付与されるIDです。ここに、広告IDでもCookieIDでもない"なんらかのID"があり、スマホブラウザ⇔PCブラウザ⇔スマホアプリを横断することができればクロスデバイスが可能となります。
そしてそれは言い換えると、広告ID⇔CookieIDの"横断"=両者の相互変換も同時に可能となるのです。

広告IDとCookieIDを"横断"する技術

そんな便利なIDなんてあるの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、Drawbridge 社・TAPAD 社・LiveRamp社など複数の企業でこれを実現するソリューションが開発・販売されており、日本でも広告配信事業者を中心に多くの企業が導入しています。その実現方法は企業により異なりますが、おおまかにいうと、位置情報やIPアドレス、URL等へのアクセス日時など多種多様な情報を組み合わせて独自のアルゴリズムを作り上げることにより、「広告ID:1234とCookieID:xyzはおそらく同じユーザーである。これを自社ID:PPPとする」といった"推定"を行い、各社独自のクロスデバイス用IDを作っているようです。
このようなソリューションは、限られたデータ量の中で最大限のデジタルマーケティング活動を行いたい企業側にとっては非常に有用なものといえます。
他方、ユーザー側から見ると、このようなソリューションで自分の情報がいろんなところで" 横断"していることに疑念をいただく人もいることでしょう。自社でこのようなソリューションを導入する際には、自社で保有しているユーザーにきちんと同意を得ていることをあらかじめ確認しておきましょう。

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いかがでしたか?

クロスデバイスは多様なシーン・目的で活用されている技術であり、皆様のデジタルマーケティング活動においても気づかないうちにどこかで力添えしてもらっている可能性が非常に高いもののひとつと言えます。その趣旨と使われ方をぜひモノにして、今後の業務に活かしていただければ幸いです。

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ビデオリサーチでは、テレビ」とスマホやPC等のデジタル機器をクロスデバイスし、皆様のデジタルマーケティング活動にご活用いただけるソリューションを各種ご用意しております。ご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

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