可処分時間をテレビに向けてもらうには(1)メディアポテンシャル時間は平日1日10時間〜生活者と「映像コンテンツ」の"いま・これから"第八回〜

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#MCR/ex #テレビ #メディア利用動向 #メディア接触 #行動実態 #視聴実態
可処分時間をテレビに向けてもらうには(1)メディアポテンシャル時間は平日1日10時間〜生活者と「映像コンテンツ」の

前回(連載第七回)はデジタルデバイスの進化・拡充などメディア環境変化に伴い、生活者が細切れの時間でもメディアやコンテンツに触れられる機会が増え、あらゆる生活シーンに、あらゆるメディアが入り込んでいる現状と、それを踏まえ、生活者の可処分時間をテレビを含めた映像コンテンツに接触する可能性のある時間=「メディアポテンシャル時間」と定義したことをお伝えしました。

今回は「可処分時間をテレビに向けてもらうには」をテーマとして2回に分けてお伝えします。第八回ではテーマのベースとなる「メディアポテンシャル時間」がどのくらい、どの時間帯にあり、その時の生活行動を分析した結果を紹介します。次いで、第九回は「テレビコンテンツが入り込めそうな生活時間」に視点を向け、メディアやコンテンツにどう接触しているのかを捉えながら、その届け方について考察していきます。

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<第八回のポイント>

■メディアポテンシャル時間は、1日当たり平日10時間、土日12時間
■若年層は限られた時間に、より多くのメディア情報を消費。その消費量は実際のメディア接触時間量比の1.13~1.14倍
■若年層のメディア接触状況は、朝はテレビ中心、昼間自宅外で非映像メディア、夜は深くなるにつれテレビからテレビ以外メディアに移行する



生活者は1日24時間をどういう行動にどのくらい使っているのか、メディア接触を基点に当社のシンジケートデータ「MCR/ex」を使って算出してみました。
MCR/ex」は特定の1週間、自身の生活行動を15分単位で記録してもらう日記式行動調査のデータベースです。
このデータを使って、生活行動時間を自宅内外問わず、以下の5つに分類しました。

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注)今回の分類における「テレビ」とは、固定のテレビ受像機で放送された番組の視聴であり、テレビ受像機でインターネット経由で配信番組を見ているケースやスマホなどデジタルデバイスで配信されたテレビ番組を見ているケース(見逃し配信など)は「動画」として②映像メディア視聴 に分類されています。
また、生活行動は複数の同時行動が起きていますが、今回は1日のメディア接触可能時間の算出が目的のため、例えば、テレビを見ながら食事をしている場合は①テレビ視聴時間、ネット動画を見ながらSNSをしている場合は②映像メディア視聴時間、というように、同一時間内の複数行動については番号が若いほうを優先して算出しています。

この定義でいうと、①〜④が、テレビを含めたあらゆるメディアに接触する可能性のある時間=「メディアポテンシャル時間」となります。

「メディアポテンシャル時間」は平日1日10時間、土日は12時間

では、メディアポテンシャル時間量は1日当たりどのくらいあるのでしょうか。
2019年時点、全体(12〜69歳)平均の「メディアポテンシャル時間」は、平日は1日当たり10時間22分、土日は12時間以上あることがわかりました(図1)。


(図1)メディアポテンシャル時間量
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ビデオリサーチ「MCR/ex」2019年6月調査 東京50Km圏 12~69才男女 n=4800


平日を例にとると、10時間22分のうち、①テレビを見ている時間は3時間、テレビ以外のメディアを見ている時間は②映像③非映像合わせて2時間弱、④それ以外メディアに接触可能と考えられる生活行動時間は約5時間半でした。1日の中の時間を足し上げると、生活者がテレビを含むメディアに接触できる時間量は思った以上にあるのではないでしょうか。
では、テレビを基点として、この3時間を維持しつつ、テレビが見られていない7時間強をどうやって取り込んでいくか、そのヒントを探ってみましょう。

F1は実際の接触時間量の1.14倍の情報を消費

前述の平日3時間のテレビ視聴は12〜69歳の全体平均です。年齢別にみると、若年層ほどテレビが少なく、映像・非映像問わず他のメディアへの接触時間が多くなっています(図2)。


(図2)メディアポテンシャル時間量(平日・年齢別)

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ビデオリサーチ「MCR/ex」2019年6月調査 東京50Km圏 12~69才男女:n=4800
10代男:n=234、10代女:n=218 M1:n=568 F1:n=570


10代男女とM1(20〜34歳男性)は、①テレビ視聴時間よりも②+③のテレビ以外のメディアに接触している時間が多くなっています。また、学校や仕事などの制限によりメディア利用が不可能な時間も多く、より限られた時間の中で選んでいるのはテレビではなく他メディアという現状にあります。
F1(20〜34歳女性)は①テレビ視聴時間のほうがかろうじて多いものの、②+③の他メディア接触時間もほぼ拮抗しています。また、④"ながら"でのメディア接触が可能なはずだけれど現状メディアの未利用時間が多いのも特徴です。

この(図2)のグラフを、違う視点から見てみます。
若年層のメディアポテンシャル時間中、現在①テレビ視聴している時間と②映像メディア③非映像メディアを合わせたメディア利用時間量の合計は、それぞれ3時間強〜4時間台です(図3)。

(図3)メディア利用時間量(平日・年齢別)
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ビデオリサーチ「MCR/ex」2019年6月調査 東京50Km圏 12~69才男女:n=4800
10代男:n=234、10代女:n=218 M1:n=568 F1:n=570

前述した通り、上記のグラフでは24時間の時間内訳を見るため、複数メディア利用による重複分は番号が若いほうの定義に寄せて算出しています。

では、実際にはどのくらいの情報を消費しているのか、「正味の情報消費時間量」を把握するため、メディア利用時間をすべて足しあげた総量(のべ時間量)を出してみました。
すると、M1は4時間4分のメディア利用時間中に正味4時間37分、F1は4時間41分中に正味5時間20分の情報量を消費していることがわかりました。実際の接触時間量に比して1.13〜1.14倍の情報量を消費しているということになります(図4)。


(図4)メディア消費総時間量(のべ)/メディア接触時間量との比較(平日・年齢別)
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ビデオリサーチ「MCR/ex」2019年6月調査 東京50Km圏 12~69才男女:n=4800
10代男:n=234、10代女:n=218 M1:n=568 F1:n=570


これだけの情報量を消費している生活者、特に限られた時間に詰め込む情報量がより多い若年層にとっては、起きている時間を最大限有効活用できるようなメディアが、今後ますます存在感を増していくでしょう。

若年層も朝はテレビ。だが夜はテレビ以外。メディア接触可能だが未利用時間も多い

次に、若年層はどの時間帯をどのように使っているでしょうか。若年層のメディアポテンシャル時間の内訳を詳しく把握するため、時間帯別で見てみました(図5)。グラフの横軸は15分毎の時間帯、縦軸は15分を100%に換算し、時間帯ごとの各行動のシェアを表しています。下から5分類は自宅内での行動、上から5分類は自宅外での行動になります。


(図5)時間帯別生活行動シェア(平日・年齢別)

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ビデオリサーチ「MCR/ex」2019年6月調査 東京50Km圏 12~69才男女:n=4800
10代男:n=234、10代女:n=218 M1:n=568 F1:n=570



1日の合計では、テレビよりも他メディア接触時間の方が多いか拮抗する10代〜MF1層ですが、朝は自宅でテレビを見る時間が多くなっています。朝食や身支度など、何かと手が埋まりがちでスマホが触りにくいタイミングであることや、時計代わりの習慣視聴が根付いているためと考えられます。
自宅内テレビ視聴のピークが終わると、自宅外の非映像メディア接触の山がみられます。通勤・通学の時間を利用したスマホ視聴が主と推察されます。
昼にも自宅外で非映像メディアの山が見られます。午前中の授業や仕事が終わってお昼休みにスマホを触るチャンスがあるのでしょう。
夕方以降の帰宅時間と思しき時間帯、10代は16時台、M1・F1は18時台を中心に自宅外で非映像メディア接触がみられますが、朝ほどの山はなく、帰宅時間が分散化していると考えられます。
また、自宅外では1日を通して非映像メディアへの接触は見られるものの、映像メディア(≒動画)への接触はほとんど表れません。
映像メディアが目立って現れてくるのは自宅内で、10代は16時ごろから、M1・F1は19時ごろからです。非映像メディアの利用も多く、F1以外は夜19時台〜20時台にテレビのピークを迎えた後は、テレビよりも他メディアへの接触率が高くなっていきます。テレビ視聴が比較的多いF1も、22時以降は他メディアと拮抗、23時以降は他メディアの方が大きくなっていきます。
また、どの年代も自宅内の朝と夜、自宅外で移動中と思われる朝と夕方、休憩時間である昼に、メディア接触可能な生活行動時間の山があります。

この傾向を踏まえて、メディアポテンシャル時間をよりテレビに振り分けてもらうにはどうしたらよいかを考えてみます。
その前提として、ここで今一度、メディアポテンシャル時間の定義に立ち返ります。ここで言う
①テレビ視聴時間とは、リアルタイム・タイムシフト問わずあくまで「固定のテレビ受像機で放送された番組の視聴」であり、見逃し配信などは入っていません。
しかし、前回ご紹介した通り、視聴形態の多様化で、若年層を中心に「テレビを見る」=デバイス・伝送路に関係なく「コンテンツを見る」意識が形成されつつあります。(連載第七回目
このような生活者側の意識変化を鑑みると、これから考えていく「可処分時間をテレビに向けてもらう」における「テレビ」とは「テレビコンテンツ」と定義し、タイムテーブルに合わせて固定のテレビ受像機に向き合ってもらうことだけではなく、もっと広く生活時間に入り込むことを前提とするべきでしょう。
そのため、①テレビ視聴時間の3時間を、②③④のテレビ受像機を見ていない合計7時間強から持ってきて増やす、のではなく、①〜④までのメディアポテンシャル時間合計10時間強を、デバイスや伝送路に関係なくトータルで「テレビコンテンツ」に向けてもらうという視点で、生活文脈から方向性を考えていきたいと思います。


後半:可処分時間をテレビに向けてもらうには 「(2)テレビコンテンツ視聴時間の市場開発」〜生活者と「映像コンテンツ」の"いま・これから"第九回〜はこちら

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