【第2回】番組とCMを"マッチング"させる「マッチスコア」とは?
前回は、テレビCMの広告効果を高めるために番組とCMにおいて内容の共通性の確認(マッチング)をすることの必要性と、それを実現する新サービス「TVCMマッチメーカーズ」をご紹介しました。今回は、「TVCMマッチメーカーズ」において算出される指標である「マッチスコア」についてより具体的に説明していきたいと思います。
まずあらためて、番組とCMを"マッチング"させること、それによる効果性をおさらいします。
番組とCMの内容を構成する要素には、出演者、出てくるモノや事柄、さらには場面設定(シチュエーション)や、番組やCMといったコンテンツを視聴した際に感じる印象(視聴感)などが挙げられます。"マッチング"とはこの構成要素同士がどのくらい共通しているのかということを確認することです。
番組とCMはそれぞれ「構成要素」がある
※この番組・CMの構成要素の関係性をビデオリサーチでは「コンテキスト(文脈)」と呼んでいます。
そして、共通性とはまさに番組とCMとの間で、「共通する要素が多い状態」のことを指します。共通する要素が多い状態だと、前のコンテンツ(番組)から後ろのコンテンツ(CM)に「引き継ぎ効果」が生じやすくなるため(※詳細は第1回)、テレビ番組への「高評価」がCMにも引き継がれやすくなります。そして最終的に商品・サービスまで好影響を与えることで、広告効果が高まるわけです。
この際に「共通する要素が多い状態」かどうかを客観的に示すための指標が「マッチスコア」になります。
共通する要素が多い状態(=マッチスコアが高い)
引き継ぎ効果
※番組・CMの構成要素間で共通性の確認をすることを、ビデオリサーチでは「コンテキストマッチング」と呼んでいます。
では、「マッチスコア」とは具体的にはどのようなものか説明したいと思います。
「マッチスコア」とは、簡単に言えばテストの"偏差値"と同じような数値です。平均が50で60を超えると高い、70を超えると非常に高いスコアと解釈できます。このスコアが高いほど、番組とCMとに共通する要素が多い状態を意味します。当然ながら共通する要素が少ないと50よりも低く、40台、30台といったスコアも算出される可能性があります。
マッチスコアの算出には、番組・CMといったコンテンツの「構成要素」を用います。
具体的には、コンテンツのメタ情報から読み取れる「出演者」「出てくるモノや事柄」「シチュエーション」の3つと、ビデオリサーチの独自調査から算出される「視聴感」の合計4つを「構成要素」としています。これらの一致数や類似性を自然言語処理や統計的分析手法を用いて数値化したうえで、マッチスコア算出ロジックに投入することで、マッチスコアが算出されます。この仕組み全体が、新サービス「TVCMマッチメーカーズ」のエンジンとして組み込まれています。
マッチスコア算出イメージ
ここで実際に、マッチスコアの高い例と低い例を紹介したいと思います。
とある商品のテレビCMで、クリエイティブは「日本製(MADE IN JAPAN)」を強調したものとなっています。このテレビCMについてTVCMマッチメーカーズでマッチスコアを算出すると、次のような例が見られました。
【マッチスコア62(高い)の番組】
日本の文化や技術などについてその特徴や評価の高さを紹介している番組A。まさに「MADE IN JAPAN」がマッチしていることもあり、マッチスコアが高くなっています。
【マッチスコア44(低い)の事例】
タレントが街歩きをして、何気ない人々の日常の中で交流したりする番組B。CMとは内容やシチュエーションで異なる部分が多く、マッチスコアが低い結果となっています。
マッチスコアの高い番組と低い番組の例
ここまで説明したように、「TVCMマッチメーカーズ」を使って「マッチスコア」を算出すれば、番組とCMを"マッチング"させることができ、テレビCMの広告効果をより一層高められるような番組を選ぶことができるようになります。
では、マッチスコアの違いで、具体的にどのように広告効果が異なるのでしょうか。
次回、実証研究の結果をご紹介します。
第1回目の記事はこちら