「態度変容」によるテレビCM出稿枠の最適化
テレビCMの出稿枠最適に関心が集まる中、リーチ以外の観点として「態度変容」による出稿枠最適の考え方への関心も高まっています。今回はその活用と展望を、具体事例を交えながらご紹介します。
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テレビCM出稿枠別効果を態度変容で可視化する
テレビCM出稿枠の最適化は以前から、ターゲット最適つまりターゲット「リーチ」を主軸にしてきました。しかし広告効果を考えた場合、リーチはその一要素にすぎず、接触したときの「態度変容」も効果を構成する要素です。
ここではテレビの局別×曜日時間区分別の視聴者でテレビCMによる態度変容の違いをみることで、枠の価値を可視化してみたいと思います。図表1ではある局の時間区分別視聴者における、テレビCMによる態度変容「イメージが浮かぶ」「ほしくなる・利用したくなる」に回答した人の割合を示しています。使用したデータはACR/ex東京50km圏19年10-12月データで、リーチは特定1週間リーチ(11月)、態度変容はACR/ex追加調査枠(Connect/ex)で実施した購買ファネル別メディア・エンゲージメント項目(詳細はこちら)です。この表は、例えば月曜5:00の視聴者のうち、テレビCMでそのブランド・サービスの「イメージが浮かぶ」と回答した人は42.7%存在する、というようにみていただきます。
【図表1:ある局の時間区分別視聴者における、テレビの態度変容】【クリックで拡大】
曜日×時間区分の視聴者のうち、スコアが高い上位10%の時間区分を赤字で示しました。興味深いことに、「イメージが浮かぶ」と「ほしくなる・利用したくなる」では、期待できる態度変容が高い時間帯が異なることがわかります。このように、テレビCMの効果は一様ではなく、時間区分や番組によって左右されることが分かります。
リーチ×態度変容によるテレビCM出稿枠の最適化
従来のリーチによる個人最適化と、今回の態度変容最適化はどちらが有用なのかと感じた方もいらっしゃると思います。これらはそれぞれが広告効果を構成する要素ですので、どちらも有用です。広告効果はリーチと態度変容の掛け合わせで生じますので、この概念に則り各時間区分でリーチ(ターゲットの接触率)と先ほどの時間区分別態度変容を掛け合わせて算出した時間区分別推計効果を算出しました。リーチに使用したデータはACR/ex東京50km圏19年10-12月のテレビCM特定1週間リーチ(11月)です。
【図表2:広告効果概念でみる時間区分別推計効果】【クリックで拡大】
図表2の右側、時間区分別推計効果が高い時間帯をみると、リーチ・態度変容それぞれで効率がよい時間帯ではない時間帯も高くなることがわかります。例えば火曜・水曜の8:00台がその例です。リーチではむしろ7:00台が高い結果ですが、態度変容では8:00台のほうが高いため、掛け合わせると逆転する結果になっています。リーチの個人最適概念だけではわからない態度変容の要素を加味して最適化を行うことができる例であると言えます。
さいごに
今回ご紹介した態度変容最適化は、生活者データベースACR/exを用いた分析です。そのため、この結果は次年度のデータ更新まで動きません。しかしテレビのコンテンツは日々変化しているため、その変化を捉えることができないという課題があります。これについて、視聴ログを用いた分析で日々変化する各時間区分や各番組視聴者の態度変容を描く分析を検討しています。ぜひご期待ください。
内容に関してご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお問い合わせください。詳しいご説明をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
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