利用者急増!のフードデリバリーサービス、TVCMはその利用者増加に貢献しているのか?
世界中がコロナ禍を経験したこの1年は、生活者の消費行動に様々な変化があった1年でした。リモート勤務・オンライン授業など「仕事・授業の方法」、テレビ・インターネット動画など「メディアの利用状況」、飲み会・旅行の減少など「余暇時間の過ごし方」・・・などなど、皆さんの生活にも大きな変化があったのではないでしょうか。
そんな中から、今回はフードデリバリーサービスの利用状況に着目しました。街中で「Uber Eats」のバックを背負った配達員の方を目にする機会も増えていますし、ご自身でサービスを利用することが増えた方も多いと思います。筆者も1年前に初めて利用しましたが、その利便性の高さから現在も頻繁に利用をしています。そんな「フードデリバリーサービス」について、弊社のデータを使って分析をしてみたいと思います。
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【分析使用データ:es XMPについて】
分析結果に入る前に、使用したデータを簡単にご紹介いたします。今回は2020年7月よりご提供を開始したes XMP(イーエス クロスメディアパネル)を使用しています。このes XMPは、調査モニターひとりひとりのTV・インターネット利用状況を機械式で取得しており、豊富なプロフィール項目との掛け合わせや、アンケートでの深堀り分析(態度変容など)も可能なサービスです。TV・インターネットの統合プランニング・効果測定に活用していただくことで、広告コミュニケーション活動のPDCA支援を目指しています(図1)。
また、このes XMPはこれまでご提供していたVR CUBICの後継サービスとして位置付けています。変化した主なポイントは、①サンプル数の拡大(関東:サンプル数UP/関西エリアを追加)、②MOBILEの測定者数(アプリ)増加の2点で、VR CUBICからよりパワーアップしたサービスになっています。
それでは、フードデリバリーサービスの分析結果を見ていきます。
①フードデリバリーサービスの利用ってどのくらい増えているの?どんな人が利用しているの?
2020年7月〜2021年2月について、フードデリバリーサービス(アプリ)の月間利用率の推移を見たのが図2になります。
この半年で利用者は右肩上がりに上昇、2021年1月のリーチは22%に及んでおり(2020年7月比で140%!)、やはり、コロナ禍の期間を経て利用者が急増していることが分かる結果といえます。また、個別にどのサービスの利用者が多いかを確認したものが図3になりますが、「出前館」の強さが際立つ結果になっています。「出前館」は最も老舗のサービスで、加盟店舗数の多さ・対応エリアの広さが特徴のサービスですが、その点が影響しているのではないかといえます。
次に、どんな人が利用しているのか確認するため、利用の多い「出前館」と「Uber Eats」の利用者プロフィールをまとめました(図4)。
両サービスとも「新しいもの好き」で「情報意識」が高い人が利用しているのは共通しており、感度の高い人が利用していることが分かります。ただし、「出前館:30〜40代のファミリー」「Uber Eats:20〜30代の単身者」と基本属性に違いがあります。ファミリーレストラン、宅配ピザなどチェーン店系の対応店舗の多い「出前館」と、個人店・カフェなども対応店舗に含む「Uber Eats」といったサービスの特徴が利用者の違いにあらわれていると言えるでしょうか。
②出稿されたフードデリバリーサービスの広告の効果ってどの程度あったの?
利用が増えているフードデリバリーサービスですが、最近はTVCMを目にする機会も増えています。筆者もダウンタウンの浜田雅功さんが出演している「出前館」のTVCMや、阿部寛さん・山田孝之さんなどが出演している「Uber Eats」のTVCMが非常に印象に残っています。そんな両サービスのTVCMについて、出稿効果があったのかをここから分析したいと思います。
まずは、2つのサービスのTVCM出稿状況(GRP)と到達状況(リーチ&フリークエンシー)を確認します(図5)。
この半年は2サービスとも定期的にキャンペーンが展開されており、コロナ禍の状況を追い風に利用者の獲得を目指していることがうかがえる状況になっていると言えるでしょう。直近のキャンペーン(2021年2月)でも、両サービスとも一定量のGRPを投下し、高いリーチを獲得していることが分かります。
ちなみに今回分析に利用したes XMPでは、豊富なプロフィール情報を使ってTVCMの出稿・到達状況を分析することもできます。図6は、直近キャンペーンでTVCMに接触した人全体を100%にしたときに普段フードデリバリーサービスを利用している人がどのくらい含まれるかを示した数字=オンターゲット率ですが、2サービスとも8%台となり、ターゲット効率には差がないことが確認できます。
それでは「出前館」「Uber Eats」それぞれのTVCMの効果について、2021年2月のキャンペーンで確認します。効果測定にはアンケートで取得した「サービス認知・理解・興味」と、インターネット利用測定の「アプリ起動」の項目を用います。上記の4つをTVCM接触者・非接触者で比較してみると、出前館はいずれも接触者のスコアが高くなっています。
TVCMが、ブランドファネルのTOP(認知・理解)・Middle(興味)・Bottom(利用)まで、一貫して効果があったことが分かります。浜田雅功さんが印象的なBGMに乗ってサービス名をアピールするTVCMですが、耳に残りやすく、視聴者に対してうまく印象付けできたCMだったことが効果の高さにつながっていたと言えるでしょうか。
一方で、「Uber Eats」は「認知」「理解」まではTVCM接触者のスコアが高くなっていますが、「興味」「利用」はその傾向は見られず、Middleファネル以降の効果に課題を残す結果になっています。 今回使用しているes XMPは、出稿したCMの効果をフルファネルで確認できるようにサービスが設計されています。TOPファネル(認知)はアンケート、Middleファネル(興味)はアンケート&インターネット利用測定、Bottomファネル(利用・購買)はインターネット利用測定&外部データ連携(ADID/IDFA/cookieでのID連携など)によって把握でき、各ブランドで設定しているKPIに合わせて効果測定を行うことができます。
また、別視点の分析をもうひとつご紹介したいと思います。広告プランニング上の課題として「最適なフリークエンシーは一体何回なのか」という課題をお持ちの方も多いのではないでしょうか。「出前館」の2月キャンペーンを用いて、この視点の分析をしてみたいと思います。
図8はフリークエンシー別のアプリ利用率を比較したものになります。「3回以上」までは効果が高まりますが、「5回以上」は「3回以上」と差がなく、今回のキャンペーンからは「3回」が最適フリークエンシーだったということが確認できます。es XMPでは、広告の接触回数別での分析も可能になっており、KPI別に最適なフリークエンシーを導くことができます。
③どんなプランニングをすると、効率的な広告出稿ができるの?
それでは、フードデリバリーサービスを対象にした場合、どんなプランニングをするとよいのでしょうか。効果的な方法としては、利用のポテンシャルの高いターゲットに絞ってメディア利用状況を分析し、Web出稿メディアやTVCM出稿枠を探ることではないかと思います。
今回は「普段、フードデリバリーサービスを利用している人」をターゲットとして、テレビ番組のランキング(TVCMのタイム提供向け)(図9)、TV視聴状況の効率ヒートマップ(TVCMのスポット向け)(図10)、アプリ利用ランキング(Web広告向け)(図11)を算出しました。このように豊富なプロフィール項目を使って、ターゲットのテレビ番組視聴状況やインターネットサービス利用状況を分析することで、テレビ・インターネットの効果的な統合プランニングを実現することができます。
いかがだったでしょうか?
フードデリバリーサービスをテーマに、テレビ・インターネットをクロスメディアで測定しているes XMPを使って【サービスの基礎分析】【広告の効果測定】【広告のプランニング】の3視点で分析事例をご紹介させていただきました。TV・インターネットの統合プランニング、フルファネルでの広告効果測定にご興味がありましたら、ぜひ一度es XMPを活用してみてください。
※esXMPはサービスを終了しました。
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