タブレット端末を海外の医療、教育現場へ【後編】ービデオリサーチが考え、取り組むSDGs

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タブレット端末を海外の医療、教育現場へ【後編】ービデオリサーチが考え、取り組むSDGs

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2015年にSDGs(持続可能な開発目標)*が採択され、最近では、様ざまな企業が持続可能な社会の実現に向けて積極的な取り組みを行っています。
当社ではSDGs17の目標の「3.すべての人に健康と福祉を」「4.質の高い教育をみんなに」に貢献すべく、ACR/ex調査で使用済みとなったタブレット端末の活用を電気通信大学とともに行っています。前編で紹介したインドでの弱視治療への利活用に続き、「スマイル・タブレットプロジェクト」を通して、アフリカ諸国やパプアニューギニアへタブレット端末を寄贈しており、現地で教育環境の整備などに利活用されています。前編に引き続き、そのいきさつや活動内容について同大学の石垣 陽准教授と、当社担当者のフィールドワーク統括部長 染谷保幸との対談を通してお届けします。
*2015年9月に国連サミットで採択され、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標(Sustainable Development Goals)



インドの弱視治療に引き続き、アフリカ、パプアニューギニアの教育支援に

「スマイル・タブレットプロジェクト」の立ち上げの背景と経緯は?

染谷 インドの弱視治療と同じく、「子どもの教育や医療での利活用を」と寄贈先を検討し、当初は日本国内の小中学校での活用を考えていましたが、2020年の新型コロナウイルス感染拡大による休校やオンライン授業の対策予算によりタブレット端末の寄付が不要に。諸外国でもアフターコロナを見据えたIT・ICT教育に注力する流れがあり、そのための環境整備が課題となっているアフリカ諸国などを寄贈先として考えました。

石垣 ICT・遠隔教育や衛生環境教育を向上させる世界規模の実証研究プロジェクト「スマイル・タブレットプロジェクト」を立ち上げ、その一環としてビデオリサーチさんのタブレット端末を、ルワンダ共和国やパプアニューギニア高等教育省に寄贈することになりました。JICA、総務省、私の所属する電気通信大学、ビデオリサーチさんと、各方面からご協力を得て活動しています。

染谷 2020年8月にはパプアニューギニアの教育省宛に4,000台、11月にはNTT系のNGOを介してルワンダ共和国に4,000台寄贈し、2021年以降も教育・医療・防災などに役立てる想定で、諸外国に1万台程を寄贈予定です。

45287-tabret.png出番を待つ調査用タブレット端末

ルワンダ共和国やパプアニューギニアではどのようにタブレットが活用されている?

石垣 近年ICT教育・人材育成は途上国において課題であったうえに、このコロナ禍での外出制限により、デジタル教育の重要性はますます高まっています。ルワンダでは主に小学生向けプログラミング教育やコロナ禍での家庭学習に、パプアニューギニアでもプログラミング教育、デジタル教科書に活用されています。

今後の「スマイル・タブレットプロジェクト」について

石垣 年内に総計1万5,000台を国内外の教育関係機関に提供する予定です。

一方、中古品を途上国に持ち込んで廃棄されることが問題となっており、中古タブレット端末の持ち込みを禁止する国が多く、寄贈要領も今後の課題といえます。また、タブレット端末の提供だけでなく、実際に活用を支援するためのソフト面やライセンス、現地での運用も含めた多角的な対応が必要です。

43072_ishigaki-someya.PNG(左)国立大学法人電気通信大学 特任准教授 石垣 陽氏/(右)ビデオリサーチフィールドワーク統括部長 染谷保幸



これまでの取り組みを振り返って

石垣 「スマイル・タブレットプロジェクト」によるタブレット端末の利活用に対して、2020年11月には、ルワンダ共和国への寄贈を記念した贈呈式が総務省で行われ、同省からはタブレットが有効に使われるための現地プロジェクトの人件費を支援していただきました。「オクルパッド」での弱視治療も含め、様ざまな形で取り組みの意義が評価され、協力の輪も広がってきています。

また、現地の使用者から、ビデオレターなどで感謝のメッセージが届くこともあり、研究室にいるだけでは得られない出会いや機会が、私の新しい研究に繋がっていると感じますね。今後も、ビデオリサーチさんには引き続きプロジェクトの牽引をお願いしたいです。

染谷 当社の根幹である調査事業を通じて、世界規模の医療や教育に貢献できていることは感慨深いです。また、この活動ができているのは当社だけでなく、調査に協力してくださった方々が大切に調査資材を使ってくださっているおかげでもあります。これからも、医療機器の普及や災害即応を究める石垣さんのお力もお借りして、SDGs実現に向けた当社なりの活動として進めていきたいと考えています。

当記事の【前編】はこちらでお読みいただけます。

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