【VR FORUM2021】Session1:テレビ×デジタルに求められる指標とデータ活用の可能性について
▲[ 登壇者 ]株式会社リクルート マーケティング室ブランドプランニングユニット長 熊切 淳氏
株式会社フジテレビジョン 営業局局長職兼デジタル営業部長スポット営業部管掌 戸津川 隆元氏
株式会社ビデオリサーチ 営業局営業企画部長 河辺 昌之
一部の放送局におけるリアルタイム配信の開始など、テレビのサービス拡充が進むなか、広告主から見てテレビCMに期待するもの、現状抱えているマーケティング上の課題は何か。これに対し、放送局ではどのような取り組みを進めているのか。「テレビ×デジタル」に求められる指標をテーマに、ディスカッションしました。
テレビCMに期待するのは「広い認知の獲得と中長期的な集客」
広告効果を測定する数字としてKPIの存在が挙げられますが、ひとくちにKPIと言っても、その指標は広告主ごとに様ざまです。商材の種類や事業ステージ、ブランドによっても変化するものですし、ファネルごとに、使うメディアやコミュニケーション活動も変化します。
商材の領域がほぼデジタルであるリクルートでは「ファネルにおける『検索』の意味合いが非常に大きく、クリティカルな顧客行動になりえる」と熊切氏。広告効果を測る上で「CPA(顧客獲得単価)が大きな指標」といい、特にテレビは「1人あたりのリーチにかかるコストを重要な指標として見ている」といいます。
「顕在層のみにアプローチし続けるマーケティングではマーケット自体が広がっていかないため、潜在顧客に対してテレビを中心としたマスマーケティングで認知をどれだけ広げられるか(Reach)が重要」(熊切氏)
テレビCMに対しては、短期的なコンバージョンの面から「CMを見てすぐサービスを検索していただくことを期待している」と熊切氏。加えて、リクルートはウェディングや旅行などのライフイベントに応じたサービスを提供しているため、「直近にライフイベントがない方にも将来的に自社のサービスを選んでいただけるよう、中長期的な集客基盤としての効果も期待している」といいます。
また、リクルートのマーケティング課題を「到達指標」「効果指標」「オペレーション技術課題」の視点からお話されました。
動画配信のユーザー拡大に伴い、テレビCMのターゲティングに新たな変化が
デジタルの分野ではターゲティング広告が主流となり、テレビCMにおいても特定属性に向けたプログラマティック広告が注目されています。
2021年秋より一部の放送局を皮切りにリアルタイム配信がスタート。そのプラットフォームであるTVerは「デジタル技術を駆使して全国に流れるうえ、プログラマティックなCMを流せるといった点がワンセグとは異なる」と戸津川氏はメリットを挙げ、「テレビ放送を見ない『ノンテレ層』まで視聴者リーチを広げ、新たなターゲットを獲得することでテレビの価値向上やステークホルダーの利益に寄与するビジネスを目指す」と説明しました。
さらに戸津川氏は、「TVer ID」について紹介。「TVer ID」により、端末を跨いだ視聴がしやすくなるなどユーザーの利便性向上に加え、提供側は「TVer IDの登場によって、ユーザーごとの視聴履歴やキャッチアップへの流れが可視化される」とし、「これらを1stパーティデータとして活用し、Cookieレス時代においても、さらなるターゲティング精度の向上につなげていきたい」と語りました。
テレビ×デジタルで「到達指標」を共通化
後半では、ふたたび広告主目線のマーケティング課題に立ち返り、「到達指標」「効果指標」、さらに「オペレーション技術課題」についてディスカッションをしました。
先ず、テレビCMのターゲティング方法として、戸津川氏は民放各局共同の取り組みの「Smart Ad Sales」を紹介しました。「Smart Ad Sales」は、「ECサイトで商品を購入するような感覚」でタイム・スポット以外にCM枠を1本から購入できるほか、ビデオリサーチが提供する「枠ファインダ」を通じ、様ざまなサプライヤーから供給されるデータをもとに、CM枠の視聴者属性をあらかじめ把握し、出稿の参考とすることができます。
また、戸津川氏より、フジテレビが取り組む「C×M(シーバイエム)(テレビとスマホが連動する視聴者参加型CM)」、BSフジと電通が共同で実施する「CONNECTED VIEW(テレビ局視聴データを活用した新たな広告サービス)」がテレビ×デジタルの事例として紹介されました。
これらの事例に対し、熊切氏は、マーケティングにおいてメディアが同じ単位(例えば、人ベースやUUベース等)で比較できるようになると、アロケーションが変わってくるだろうと語りました。
テレビ×デジタルを同じ単位(人ベース)で示した事例として、全国同一基準の「新視聴率」を運用するビデオリサーチは、東京2020オリンピックの競技中継の「テレビ」と「ライブ配信」それぞれの平均推計視聴者数、推計到達数を算出しました (電通との共同研究)。当社も、テレビ・配信それぞれ単体の視聴数はもとより、テレビ×デジタルの重複Reachも可視化し、人ベースで表現(指標の統一化)する取り組みを行っています。
メディアログ×アンケートでミドルファネルの効果を可視化
テレビメディアの価値が、リーチの圧倒的な強さにあるという点は既に述べたとおりですが、リーチ以外のミドルファネル(興味・検討)に対する効果を可視化した事例をビデオリサーチのグループ会社every syncが保持する大規模シングルソースパネル「es XMP(esクロスメディアパネル)」による分析で紹介しました。
中長期的なテレビCMの効果としてテレビCM接触ログ1年分とアンケート結果の組み合わせでファネルを描き、ミドルファネルの効果差をCMの接触/非接触別に確認。さらに、ファネル段階別におけるリード獲得のヒートマップから潜在顧客の獲得が見込める出稿プランを作成し、広告出稿効率化の提案事例として説明しました。
テレビ×デジタルに求められる指標とは
ビデオリサーチは「横のテレビ×デジタル(到達指標の拡張)」として、人ベースでプラットフォーム間の重複を明確にし、メディアのトータルリーチ測定を目指しています。また、「縦のテレビ×デジタル(効果指標の拡充)」としては、メディアとしてのテレビのパワーをミドルファネルにも活かすため、その効果の可視化に取り組んでいます。
最後に「様ざまなデータが揃った状態なので、広告主としては知る段階から実現するフェーズに。ターゲティングなどの効率化と広告の量(グロス)のバランスをどうとっていくのかが、マーケターには肝要。」と熊切氏。
「クッキーレス時代においては『コンテクストマーケティング』が主流となる可能性があるだろう」と戸津川氏。「番組内容をメタデータ化して映像コンテンツに紐付けることで、ドラマの主人公がビールを飲むシーンの直後にビールのCMを流したり、恋愛シーンの後にライフイベント関連のCMを流せるように進化しなければならない」とし、「数十年後もテレビが広告主様に喜んでいただけるメディアであり続けるための取り組みが必要」と語りました。
ビデオリサーチは、広告主各社様のKPI設定、マーケティング課題に有益なご提案をし、メディアのDX化に対応する次世代型メジャメント企業としての使命を果たしてまいります。
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「VR FORUM 2021」レポート記事一覧
◆主催者挨拶
株式会社ビデオリサーチ 代表取締役社長執行役員 望月 渡
◆Keynote 『これからの視聴率』について考える。2021
株式会社ビデオリサーチ 取締役常務執行役員 尾関 光司
◆Session1 テレビ×デジタルに求められる指標とデータ活用の可能性について
株式会社リクルート マーケティング室ブランドプランニングユニット長 熊切 淳氏
株式会社フジテレビジョン 営業局局長職兼デジタル営業部長スポット営業部管掌 戸津川 隆元氏
株式会社ビデオリサーチ 営業局営業企画部長 河辺 昌之
◆Session2 視聴質指標の開発について
サントリーコミュニケーションズ株式会社 宣伝部長 牧野 清克氏
株式会社電通 ソリューション・クリエーション・センターSP 谷内 宏行氏
株式会社ビデオリサーチ 執行役員兼テレビ事業局長 橋本 和彦