「SDGsに関心のある若者」にも"派閥"がある? 〜一括りでは語れないSDGsコミュニケーション〜

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「SDGsに関心のある若者」にも

【この記事はこんな方にオススメ!】
✅若者のSDGsに対する関心・向き合い方が知りたい方
✅SDGs広告の出稿を検討されている方
✅SDGsマーケティング関連業務に従事されている方

【1】SDGsの輪は若者にどう広がっている?

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、日本語で「持続可能な開発目標」と呼ばれる国際社会共通の目標です。
2015年9月に150か国以上の国連加盟国のリーダーが参加し開催された「国連持続可能な開発サミット」で採択され、2030年をゴールに「世界を変えるための17の目標」と「169のターゲット(具体目標)」が示されています。
(各目標の詳細は、外務省「SDGsとは?」をご参照ください。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html

この目標では、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。 大人だけでなく子供も若者も、年齢問わず老若男女が積極的に関わることが期待されている取り組みともいえますが、実際のところ若者の間ではSDGsへの思いや行動はどう受け取られ、実践されているのでしょうか。

ビデオリサーチのシンクタンク「ひと研究所」では、生活者インサイトを探求する研究活動を行っています。本記事では、若者の中でのSDGsの実態について調べてみました。なお、年齢や性別による嗜好の差をなるべく減らし、SDGsへの関心の違いを見やすくするため、本記事では"若者"の中でも「大学生の女性(以下、女子大生)」にフォーカスを当てて分析しました。

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【2】SDGs意識で高まったこと、変わっていないこと

まずはSDGsに関する女子大生の考え方の変化をのぞいてみます。
当社が保有する大規模アンケートデータベース「ACR/ex」で聴取しているSDGs関連の意識項目は多数ありますが、そのうち主要なものを抜粋し2019年と2021年で比較した結果が【図1】です。

【図1】
SDGs意識で高まったこと/変わっていないこと

この結果では、「マイバッグやエコバッグを使う」と「居住地の環境問題に強い関心」の2つが大きくスコアアップしている一方、他の項目ではほとんど変化がみられていません。
「マイバッグやエコバッグを使う」は2020年7月に開始されたプラスチック製買物袋の有料化が要因であることは容易に推察できますが、「居住地の環境問題に強い関心」がスコアアップした理由は何が考えられるでしょうか。

同じく、「ACR/ex」で聴取している「メディアに関する意識調査」の中の「自然に見聞きする情報」についての項目を見てみます。その中で「地域・近隣情報」を選んだ人の割合は

2019年 29.4% → 2021年 38.0%

と、こちらも大きくスコアアップしていることがわかります。コロナ禍で遠出する機会が減った分、自分が住んでいる地域でお気に入りスポットを見つけたり、近隣地域の情報収集量が増加したことなどから、自然と居住地の環境問題にも目を向けやすくなったのかもしれません。

【3】「SDGs関心層」を3つの派閥に分けてみると・・・

前章では2019年と2021年を比較してSDGsに関する意識の変化を見てみましたが、今度は視点を変えて「意識していること」の違いによる分布を見てみましょう。

ここではSDGsに関する意識のうち、実践しやすそうなものを3項目ピックアップし以下のように定義しました。

「環境保護を考えた商品を買う」と回答した人=環境商品派
「マイバッグやエコバッグを使う」と回答した人=エコバッグ派
「省エネに取り組んでいる」と回答した人=省エネ派

この3つの"派閥"の重なり具合をベン図で示したのが【図2】です。

【図2】
女子大生SDGs関心層の派閥分布

3つの中で "最大派閥"となっているのが「エコバッグ派」(青・81.4%)です。
次点が「省エネ派」(緑・65.1%)、そして一番少ないのが「環境商品派」(黄・31.0%)となりますが、

女子大生の中で、
・「全派閥に属している人」が3割いる
・「環境商品派」は他2派閥のいずれかに必ず属している
・「エコバッグ派」にしか属していない人が2割いる

といった分布の特色が確認できます。

【4】3派閥にはどんな意識の違いがある?

では、各派閥にはどのような特色があるのでしょうか。「ACR/ex」が保有するデモグラフィック・サイコグラフィック項目の中から特に差が大きい項目を抜粋したのが【図3】です。

【図3】
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エコバッグ派もしくは省エネ派の顔も併せ持ち、3つの派閥の中でもSDGsへの関心が特に高い「環境商品派」の特色は、消費に慎重な姿勢であることです。
衝動買いを抑え、必需品ではないモノ・コトへの消費にもあまりお金を使わない様子が見て取れました。

最大派閥である「エコバッグ派」の特色は、流行りに左右されない姿勢です。繰り返し使えるエコバッグを愛用するがゆえ、モノを大切にする気持ちが人一倍強いのかもしれません。

そして「省エネ派」の特色は、自分が使う"以外"のエネルギーも控えるという姿勢です。フードデリバリーサービス、カラオケ、携帯型ゲームなどのサービス利用が控えめであるということがわかります。省エネも利用料金を抑える、本人の出費を小さくする意識でもあると捉えることができますので、この派閥は金銭的な節約意識も持っているといえるかもしれません。

一括りでは語れないSDGsコミュニケーション

以上を踏まえると、仮に企業が女子大生をターゲットにしたSDGsコミュニケーションを企図する際には、コミュニケーション上訴求したいポイントと刺さる派閥の相性や規模を考慮する必要がありそうです。

例えばテレビCMやデジタル広告などを出稿しキャンペーンを実行したい場合、
そのキャンペーンのゴールが「より多くの人に自社のSDGs活動に共感してもらいたい」ということであれば、最大派閥であるエコバッグ派に刺さる仕掛け(商品購入時のノベルティにエコバッグをつけるなど)を取り入れてみる、訴求ポイントが「商品の材料が再生可能素材であること」であるなら、消費に慎重な環境商品派でも買いたくなるキャッチフレーズが何なのかを深掘りし、分析してみる・・・など、一括りに「SDGs関心層」とするのではなく、さらに一歩先の"派閥"まで見据えたキャンペーン設計を都度実施することで、より効果的な訴求ができると考えられます。

いかがでしたか?

当社では多様なメディアデータ、そして生活者データを通じた企業のSDGsコミュニケーション支援サービスを提供しています。
今回はターゲット像の理解という面から分析事例をご紹介しましたが、他にも様々な面で支援を行っておりますので、ご興味をお持ちの方はぜひ以下の特設サイトまたはサービス案内資料をご覧ください。

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【本記事で使用したデータ】
■データソース ビデオリサーチ「ACR/ex
■調査時期 2021年秋(10-12月調査回)、2019年秋(10-12月調査回)
■調査地区 東京50km圏
■集計対象 職業=「大学生」と回答した女性(n=129) *環境商品派=「環境保護を考えた商品を買う」と回答あり
/エコバッグ派=「マイバッグやエコバッグを使う」と回答あり
/省エネ派=「省エネに取り組んでいる」と回答あり の人と定義

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