「自分の意志でCMのプランニングを」事業会社がデータ分析からCM出稿まで実施するための秘訣
【この記事はこんな方にオススメ!】
✅テレビCMプランニングやクロスメディアでの効果検証等を自社で取り組みたいと思っている方
✅プランニングや効果検証等を通したPDCAサイクルを効率的に回すノウハウをお探しの方
✅BtoC、BtoB問わず、プロモーションや販促業務に従事している事業会社の方
デジタルの登場で複雑化・分散化が進むメディアコミュニケーション。
事業会社が自社商品(サービス)をプロモーションするための企画立案〜実行〜そして効果検証し、次へと活かす一連のPDCAサイクルの構築にあたっては、適切なターゲット選定から仮説立て、各種マーケティング分析を踏まえたメディアプランニング、そしてプロモーション後の効果を適切に把握するレポーティングなど、専門的な知識と能力が問われます。
ですが、このような取り組みはある程度以上の経験値のある人間が一定数社内にいないとうまく運用していくことは難しいようです。経験が不足している中、自社として、自分自身の思いとしてやるべきこと、向かいたいゴールをぶれなく目指すことに難しさを感じていらっしゃる方も多いとお聞きします。
当社では、そんな事業会社のプロモーション担当者様向けの支援プラン「広告主向けデータ活用コンサルティング」を提供しています。
本記事では、同サービスで日ごろから事業会社様と二人三脚でPDCAサイクルの構築を目指すコンサルタントの寺出に話を聞きました。
「自社でプロモーションのPDCAを回したい」という事業会社様は多い
寺出さんは、普段どんな企業(部門)のお仕事を担当しているのですか?
寺出
テレビCMをはじめとするマス広告や、デジタル広告、SNS等を通じたメディアコミュニケーションを担当されている事業会社の宣伝担当者様とお仕事をさせていただくことが多いです。
会社によっては、メディア周りだけではなく店頭や流通営業などのいわゆる販促・MD領域も同じ部門で担当されている場合もありますね。
では、事業会社の宣伝担当の方に向けた業務内容を一言であらわすと?
寺出
一言!?難しい質問ですね(笑)
単発で調査や分析の依頼を受けるのではなく、広告コミュニケーション全般においてお悩みのある事業会社様からお話を伺い、適切なマーケティングプロセスを一緒に考えていくという業務をしています。一言で言うと、マーケティングの"道筋"を一緒に立てていく、そんな業務です。
「道筋を立てる」、かっこいいですね!
寺出
言葉はかっこいいかもしれませんが、実際はとても地道な作業も多いです。
当たり前ですが、会社によって組織構造や利害関係者はまったく異なります。広告会社やコンサルティング会社との関係性もありますし、当該商品やサービスを扱う流通や店舗との関係もあります。どこまでが経営層への上申が必要なことで、どこまでが現場レベルで決められることなのか、など社内事情もありますよね。
そういったいろんな事情を考慮しながら、クライアントの事業会社様にとって必要なことを実現させるために、利害関係者の説得をどのようにしたらよいのか、どのくらいスケジュールや費用を見積もればよいのか、などを一緒に洗い出していくこともとても大事な取り組みだと思っています。
なるほど、クライアントである事業会社の方から見ると寺出さんは「発注先」というより「仲間」みたいな立ち位置なのですね。
寺出
そのように思っていただけたら嬉しいなと思い、日々業務に励んでいます!
事業会社の皆様は、日々、さまざまなデータから適切に商品・サービスの状況を判断してマーケティングのPDCAを回していきたいという想いを持っていらっしゃいます。ですので、「データ分析の結果をマーケティングに上手く取り入れていきたい」、「自社でPDCAサイクルを回す体制を確立したい」という思いをよく聞かせていただきます。一方で、データのハンドリングや分析の考察にはやはりスキルと経験値が必要で、「どのように始めたらよいのかわからない」というお声もよく耳にします。上層部からインハウス化を目指せと言われているものの、目指すための環境がない、というパターンも多いです。
私たちと一緒に「仲間」になって業務を進めていただくことで、いずれは私たちのことを"もう、必要ない"と思っていただけるようになることがゴールです。
私「たち」ということは、寺出さん以外にも「仲間」がつくということですか?
寺出
はい、事業会社様がより安心してPDCAサイクルの運用安定化を推進できるように、我々も複数名のチーム体制でのご支援をご提案しています。
具体的には、業務全体を推進する私のようなコンサルタントのほか、リサーチャーやデータサイエンティスト、アナリストなどの中から最適な「仲間」であるメンバーをピックアップするイメージです。
例えば、課題解決のために高度なデータ解析が必要になってくる場合はデータサイエンティストもチームメンバーに加えますし、事業会社様の業界ならではの特性を加味した分析を行う際には、その領域に長けたアナリストを招集します。
チーム編成も、ずっと固定ではなくシーンによって入れ替えるなど、柔軟な対応を心がけています。
チーム体制にすることで、それぞれのメンバーの得意領域を最大限に引き出せそうですね。
寺出 その通りです。専門性が高くなるほど得意領域の幅も狭くなるので、チームメンバーは複数名いたほうが事業会社様の抱える課題解決のスピードも早まると考えています。
言いたいことをデータで可視化することの難しさ
ここからは、もう少し具体的な話をお聞きしたいと思います。「PDCAサイクルを回す方法」だけで言えばセミナーやノウハウ本なども世の中に多数出回っていますよね。にもかかわらず、事業会社の宣伝担当者の方がつまずいたり、悩んでしまうのはたとえばどんなことが多いのでしょうか?
寺出
やはり、急速なメディア環境の変化が非常に大きいと思います。そして、その変化のとらえ方が経営層や上司と現場担当者間で異なっているという話をよく耳にします。
例えば、現場ではテレビCMの効果を強く感じているものの、上司からはデジタル広告をもっと増やすように言われている、といったケースです。
この場合、現場担当者の方が「テレビCMの効果を感じている」とおっしゃるのはご本人の肌感覚であることも多いため、その肌感覚をビデオリサーチで保有するテレビCMデータを用いて検証することで可視化し、社内の検討材料に使っていただく・・・といった解決策をご提案しています。
肌感覚をデータ化すると、一気に説得力が増しますね。
寺出
そうなんです。私は普段からテレビCMなどの広告に絡んだ分析を多数担当しているのであまり感じないのですが、お客様の中には、ビデオリサーチにあるデータをほぼそのままポンとお出しするだけでも「こんなことがデータで見せられるのですね!」と驚かれることもあります。
ビッグデータという単語が登場して久しいですが、データはたくさんあっても、それを適切なタイミングで、適切な用途で使うことは、実は難しいことなんだなぁと日々感じますね。
それは、ビデオリサーチにあるデータが皆様にあまり知られていないということでもあるような・・・
寺出 そうだと思います(笑)"事業会社ビデオリサーチ"のプロモーションも、もっと頑張ってください!
すみません!寺出さんの取り組みは特設ページを作ってしっかり紹介しています!
寺出 ちゃっかり宣伝ですね!?ありがとうございます。
【広告主向けデータ活用コンサルティング 紹介特設ページ】
https://www.videor.co.jp/service/communication/tvcm-planning-inhouse.html
「テレビとデジタルの最適配分」は永遠の課題?
先ほどテレビとデジタルのお話が出ましたが、多数のメディアを横断したクロスメディアでのプランニングにお悩みの方も多いのではないでしょうか?
寺出
そうですね。先ほど、メディア環境の変化のとらえ方が経営層や上司と現場担当者間で異なっている例をご説明しましたが、社内での意向もありますし、「昔から出稿しているから」と慣習的に出稿を続けている場合もあります。
ビデオリサーチでは主要6メディア(テレビ・デジタル・ラジオ・新聞・雑誌・交通)すべてのデータを保有していますので、これらを活用してその商品にあったベストな出稿プランを検討しています。
もちろんプロモーション対象となる商品・サービスやターゲットが誰なのかによって大きく変わるとは思いますが、最近のトレンドではどんな傾向がありますか?
寺出
やはり「テレビ×デジタル」、いわゆるオンオフ統合プランニングの領域に関心のある方が多いですね。
テレビCMとインターネット広告、SNS発信、オウンドメディア運用をそれぞれ別の会社に発注しているシーンも多々あり、各社からあがってくる出稿結果を見ただけでは総合的な評価ができないことに悩みを感じていらっしゃいます。
そのような場合には、テレビ×デジタルのトータルリーチをシミュレーションしたり、実際のリーチを精緻に測定した結果を用いることでお悩みの解消ができないかを模索していますね。
いわゆる「広告出稿の最適配分」ですね。実際、そういったデータを用いることでお悩みは解消されるのですか?
寺出
ある程度の解消はできるのですが、やはり広告の成果はクリエイティブやタイミングにも大きく左右されます。そして、デジタルプラットフォームは仕様変更が多く、プライバシー規制の強化など外圧による変化もあるので「もうこれで絶対に解消できます!」という状態に持っていくのは、実態を知っていると、現実的でないと考えています。ある意味、永遠の課題とも言えますね。
はっきりした解消を目指すというよりかは、きちんと毎回"そのときにおいてベストなプラン"を立てて、その結果もきちんと検証できる体制づくりのほうが大事ではないでしょうか。
なるほど。自社にフィットするPDCAサイクルを確立させることの重要性がよくわかりました。ちなみに、テレビCMとデジタル広告以外のメディアではいかがですか?
寺出
ここ1~2年、ラジオをはじめとする音声メディアの盛り上がりを感じますね。実際、データで見てもラジオは特にZ世代において利用者数・利用頻度ともに年々伸びています。
(参考:注目の音声メディア市場!今、ラジオが若者に熱い理由とは?)
また、これは言わずもがなですが、SNSはやはり外せませんね。いわゆる広告、ではなく、一般生活者によって作られたUGC(User Generated Content)による波及効果は、Z世代でも顕著にみられます。
UGC、そしてSNSを考慮した購買プロセスの理解は、プロモーション面においても重要な知識だと思います。
(参考:【リサーチ会社のプロが分析!】Z世代のファン化には、「ファン」による発信がキーポイント ── データで見るZ世代とSNS、そしてUGC)
テレビCM分析に必要なのは、取引指標とマーケティング指標の"W"活用
ビデオリサーチはビジネス上の取引指標となっているテレビ視聴率を扱う日本唯一の企業であるゆえ、テレビCMに関するお悩み相談も多いとお聞きします。
寺出
そうですね、やはり最初のご相談はテレビCMに関するお悩みがとても多いです。
お悩みの中身としては、大きく分けると「CM出稿枠の選定」と「CMのクリエイティブ」に大別されます。
特にCM出稿枠の選定に関しては、関連サービスが各社から提供されていますが、分析結果の解釈の仕方や、実際の出稿プランへの活かし方でまたさらに悩んでしまうというお話もお聞きします。
例えば、出てきた分析結果が自分の肌感覚に見合わなかった場合、どうするか?といったことです。
肌感覚ではなくデータでの可視化が大事、と言いつつも、やっぱり自分の感覚も大事ということなのでしょうか。
寺出 そこが非常に悩ましいところで・・・もちろん、データで可視化することで自分では思いつかなかったような示唆が得られることも多々あることに違いはないのですが、あまりにも肌感覚にあわない場合、その示唆が本当に正しいのか?データの特性や集計方法の違いによるものなのでは?といった疑念も生まれますよね。
「データの特性」、というと、具体的には?
寺出
例えば、「TikTokを毎日使っている人は70%」というデータがあったとします。
これが「女子高生の中で、TikTokを毎日使っている人は70%」なのか、「受験を控えた高3女子の中で、TikTokを毎日使っている人は70%」なのか、「70代男性の中で、TikTokを毎日使っている人が70%」なのかで、データに対する感じ方はだいぶ変わってきますよね?
女子高生だったら、70%・・・もしかしたらありえるかもしれませんが、同じ女子高生でも、受験を控えた子が毎日TikTokはどうでしょうか。さらに、70代男性であれば・・・70%という数字は、全然肌感覚にあわないのではないでしょうか。
このように、そのデータを取得する元となっているサンプル(ログデータの場合は機器)によって、得られるスコアは大きく変わってきます。データを見る際には、その特性を加味することが非常に大切なのです。
なるほど。そうすると、どうやったらデータの特性を加味したテレビCM分析ができるのでしょうか?
寺出
まずはデータの特性そのものをきちんと理解することが大前提です。そして、やりたいテレビCM分析の「目的」や「ターゲット」「予算」等も含めてトータルで見たときにベストなデータソースをチョイスし、分析を行うことが大切です。
ビデオリサーチでは取引指標として使われているテレビ視聴率だけでなく、様々なターゲットや市場特性を考慮した分析ができるマーケティング視聴データも複数保有しています。これらのデータソースの中から、そのときそのときで最適なデータを選び出しています。
お客様のニーズにあわせた最適解のチョイス、まるで図書館の司書さんみたいです。
寺出 確かに似ていますね!
おわりに
最後に、読者の皆様に一言お願いします。
寺出
効率的なメディアプランニングを実施するためには、広告の出稿前後で複数の検証・把握ステップを踏んでいくことが大切です。
ビデオリサーチにご相談いただく事業会社様からは、こうしたステップを自社だけで進めていくことに苦労されているというお声をよくいただきます。分析のプロが、適切な道筋を立てて、効果的な分析の中からメディアコンサルティングを実施いたします。ぜひお気軽にお声がけください。
ありがとうございました。
【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「広告主向けデータ活用コンサルティング」
・ご利用対象企業:何らかのペイド広告を出稿する業務に携わる事業会社(広告会社)様
・ご利用料金:個別見積もりいたします。お気軽にお問合せください。
【話し手】
- 株式会社ビデオリサーチ
統括・ソリューションユニット ビジネスソリューショングループ
コンサルタント 寺出 朋子
2019年、株式会社ビデオリサーチ入社。メーカー等広告主や広告会社をクライアントに、広告効果測定やブランディングに関するリサーチに従事。同時にビデオリサーチのシンクタンク"ひと研究所®"の若者研究チームメンバーとして、若者のコンテンツ受容に関する研究に携わる。分析得意領域はZ世代のメディア・コンテンツ研究、CMクリエイティブ評価、広告出稿の最適化、戦略的なターゲット策定に資するコンサルティングなど。