「withコロナ時代」Z世代のテレビ視聴・ネット利用行動の実態を探る
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新型コロナウイルス感染拡大から2年以上が経過し、私たちの生活スタイルは大きく変化しました。
学校や会社でオンライン授業やテレワークが推奨されたことで、在宅時間が増え、テレビの視聴時間やインターネットの利用時間が増えたと実感されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな「withコロナ時代」の今、ネットリテラシーの高いZ世代(※)が、テレビやインターネットといったメディアとどのように関わっているのか、ビデオリサーチの「ACR/ex(MCR/ex)」の最新データからみていきます。
※Z世代の定義は諸説ございますが、本レポートでは「男女12~26才」と定義し、分析を行いました。
記事の中でご紹介しているサービスはこちら ACR/ex MCR/ex 視聴率 |
【この記事はこんな方にオススメ!】
✅「withコロナ時代」のZ世代のテレビやインターネット利用状況を把握したい方
✅Z世代がどのような動画コンテンツに関心があるのかを知りたい方
✅Z世代にテレビを見てもらうためのヒントを求めている方
「withコロナ時代」のテレビ視聴・ネット利用行動
Z世代ではインターネット関連行動の存在感が増している
2022年6月調査の「MCR/ex」の生活行動データを用いて、Z世代の1日の中でのテレビ・インターネット接触状況をみていきます。
Z世代は、個人全体(男女12~69歳)に比べてテレビ視聴(リアルタイム)の行動率が低く、一方でネット動画を中心としたインターネット関連の行動率が高いことがわかります(図表1・2)。
特に10時~18時や21時以降の時間帯ではネット動画の利用がテレビ視聴を若干上回っており、コロナ禍での「巣ごもり需要」拡大などを経て、インターネット関連のサービス・コンテンツ利用が習慣化したのではと考えられます。
また、今回分析対象としたZ世代(男女12~26才)の中には、生まれた時からインターネット環境が充実していてネット動画視聴が当たり前になっているデジタルネイティブ世代も一定数含まれています。そういった世代がさらに分析対象に加わってくると、ますますインターネットの存在感が増してくるかもしれません。
【図表1】Z世代(男女12~26歳) テレビ・インターネット視聴行動率 (1日あたり/週平均)
出典:「MCR/ex」東京50km圏、Z世代(男女12~26歳)2022年6月調査 (n=997)
【図表2】個人全体(男女12~69歳) テレビ・インターネット視聴行動率 (1日あたり/週平均)
出典:「MCR/ex」東京50km圏、個人全体(男女12~69歳)2022年6月調査 (n=4820)
SNSや動画配信サービスの利用が拡大している
続いて、どのようなネットサービスを利用しているのか、日本最大級のマーケティングデータ「ACR/ex」を用いてZ世代の普段の利用アプリ(スマートフォン)を一例にみてみます。
Z世代のスマホアプリ利用率1位は「YouTube(74.8%)」で、個人全体を若干上回る結果でした。ただし、2位以下は個人全体の利用率の方が高いものも多く、Z世代はアプリ全般の利用率が高いということではなさそうです。
Z世代は「Instagram」や「Twitter」、「TikTok」といったSNSの利用率が高く、また「amazonプライム・ビデオ」など動画配信サービスの利用率もやや高い傾向がみられました(図表3)。
外出自粛などをきっかけに、"暇つぶし"や"娯楽"として便利なサービスの利用拡大と習慣化が、インターネット行動率の高さの一因になっていると考えます。
【図表3】Z世代がふだん利用しているアプリ(スマートフォン)(TOP15)
出典:「ACR/ex」東京50km圏、 2022年4~6月調査、個人全体(男女12~69歳:n=4820)、Z世代(男女12~26歳:n=997)
Z世代に支持されているテレビ番組・動画ジャンルは?
【テレビ】アニメ好きがうかがえる結果に
次に、Z世代が好きなテレビ番組のジャンルをみていきます。1位が「アニメ」で50.3%、2位が「国内ドラマ」で41.1%、3位が「娯楽バラエティ」で34.5%でした。
1位の「アニメ」や4位の「アニメ映画」は、近年『鬼滅の刃』など話題作のヒットが続いており、個人全体と比較しても好意度が高い結果になっています(図表4)。
【図表4】Z世代が好きなテレビ番組ジャンル(TOP5)
出典:「ACR/ex」東京50km圏、2022年4~6月調査、個人全体(男女12~69歳:n=4820)、Z世代(男女12~26歳:n=997)
では、具体的にどの番組がよく見られていたのでしょうか。
「視聴率」のデータを用いて、参考までにTeen層(男女13~19歳)の総合視聴率(※)の上位5番組をジャンル別にご紹介します(図表5)。
(※)総合視聴率はリアルタイム視聴、タイムシフト視聴いずれかでの視聴を捉えた番組視聴の拡がりを示す指標です。
「アニメ」は、話題の「SPY×FAMILY」が1位で、総合視聴率は2桁を超えました。
「映画」は、上位がいずれもアニメ関連の作品で、若年層のアニメ好きがうかがえます。
【図表5】Teen層のジャンル別総合視聴率ランキング TOP5(関東地区、2022年4月4日(月)~8月14日(日))
出典:「テレビ視聴率(総合視聴率)」関東地区、Teen層(男女13~19歳) 2022年4月4日(月)~8月14日(日)(※15分以上の番組を対象)
【YouTube】「アニメ」や「国内バラエティ・お笑い」などテレビ由来コンテンツも人気
続いて、Z世代はYouTubeではどんな動画を見ているのでしょうか?視聴した動画のジャンルを見ると1位が「おもしろ動画」で53.9%、2位が「ゲーム」で47.3%、3位が「音楽」で44.1%でした(図表6) 。
特に「おもしろ動画」や「ゲーム」は個人全体と比べても高く、YouTubeで人気のジャンルとなっています。
また、過去放送作品の無料配信が増えている「アニメ」や、「国内バラエティ・お笑い」も上位に位置しており、テレビ由来のコンテンツも人気があることがうかがえます。
【図表6】Z世代が視聴したYouTube動画ジャンル(TOP10)
出典:「ACR/ex」東京50km圏、2022年4~6月調査、個人全体(男女12~69歳:n=4820)、Z世代(男女12~26歳:n=997)
テレビを見逃して後悔するZ世代。SNSがテレビ視聴の鍵になる?
「テレビ番組」の情報源は「テレビ」が圧倒的
ここまでの調査結果からZ世代は個人全体に比べて、テレビ視聴(リアルタイム)の行動率が低くネット動画視聴が高い一方で、テレビ由来のコンテンツも人気があることが分かりました。
では、テレビ番組の情報はどこから得ているのでしょうか?
Z世代のテレビ番組/ラジオ番組の情報入手経路をみると、1位は「地上波民放テレビ(48.2%)」で情報源はテレビが圧倒的でした。
2位は「ブログやSNSの書き込み(22.4%)」で、3位の「家族・友人・知人などの口コミ(15.0%)」を上回っており、Z世代ではSNSがテレビに次ぐ情報源のようです(図表7)。
【図表7】Z世代のテレビ番組/ラジオ番組の情報入手経路 (TOP5)
出典:「ACR/ex」東京50km圏、2022年4~6月調査、Z世代(男女12~26歳:n=997)
Z世代はテレビ番組を見逃して後悔している
また、Z世代のテレビに関する意識について、個人全体と比較してみると、「見なかった番組の話を後から聞いたりすると、見逃したことを後悔することがよくある」が33.3%と、個人全体に比べて高く、見たい番組の情報を逃してしまっていることがあり、またその情報を後から知って後悔しているようです。テレビ番組に関する情報源が「テレビ」にやや偏ってしまっている結果、情報を逃してしまっているのではと考えます。
また「テレビ番組の内容についてSNS上に書き込みをする」や「SNS上でのテレビ番組についての書き込みがきっかけで、その番組を見る」も個人全体に比べて高く、テレビ視聴時のSNSの活用もZ世代の特徴としてみられました(図表8)。
Z世代にテレビを見てもらう、見逃さないようテレビ番組の情報を知ってもらうためには、SNSの活用が鍵になってくるのではないでしょうか。
【図表8】Z世代のテレビ意識 (個人全体との差分 TOP5)
出典:「ACR/ex」東京50km圏、2022年4~6月調査、個人全体(男女12~69歳:n=4820)、Z世代(男女12~26歳:n=997)
おわりに
「withコロナ時代」のZ世代は、ネット動画を中心にインターネット利用率の高さが際立ち、SNSや動画配信サービスなどの利用が活発化している様子がうかがえました。
一方で、YouTubeなどの動画配信サービスを通じて、「アニメ」や「バラエティ」といったテレビ由来のコンテンツも視聴されており、視聴する媒体が異なるだけでテレビ番組も視聴されているようです。
また、テレビ番組の情報源は「テレビ」が圧倒的な中、約3割が「テレビ番組を見逃して後悔することがよくある」と答えています。テレビに次ぐ「テレビ番組」に関する情報源となっているSNSを活用し、タイミングよく情報を提供することで見てもらえる可能性が高まるのではと考えます。
特に、テレビ視聴行動が増加する夜までの間のネット利用が高まっている日中に、よく利用されているSNSやウェブサイト・アプリなどで、自然とテレビ番組の情報や広告に接する機会を増やしていくことが、今後、Z世代のテレビ視聴のポイントになっていきそうです。
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およそ2010年~2020年代中盤までに生まれる世代を指しており、
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【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「ACR/ex」「MCR/ex」
・調査時期:2022年4~6月
・対象地区:関東
・ターゲット:Z世代(男女12~26歳)、個人全体(男女12~69歳)
・サービス名:ビデオリサーチ「視聴率」
・調査時期:2022年4月4日(月)~8月14日(日)
・対象地区:関東
・ターゲット:Teen層(男女13~19歳)