「個人視聴率と世帯視聴率」 ビデオリサーチが解説 視聴率基本の『キ』
「世帯視聴率と個人視聴率って何が違うの?」
「世帯視聴率と個人視聴率、どっちが高いの?」
など、よく耳にする「世帯視聴率」と「個人視聴率」、ふたつの視聴率の違いについて、気になりますよね。
「世帯視聴率」はその名の通り、テレビ所有世帯のうち、どのくらいの世帯でテレビが見られていたかを表す割合です。
一方、「個人視聴率」は、世帯内の4才以上家族全員の中で誰がどのくらいテレビを視聴したかを示す割合で、視聴者を性年齢、職業などに分けて個人の視聴を捉えます。
視聴率データを計測・提供する株式会社ビデオリサーチが、今回は世帯視聴率・個人視聴率に関する基礎知識を以下の手順で解説します。
以下の記事を読めば、「世帯視聴率」と「個人視聴率」の違いが理解できるだけでなく、最新の視聴率調査でどんなことがわかるのかの知識も得られます。
※本連載は今後も不定期で更新予定です。
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世帯視聴率と個人視聴率とは?2つの視聴率の違いについて解説
「世帯視聴率」はその名の通り、テレビ所有世帯のうちどのくらいの世帯でテレビが見られていたかを表す割合です。
一方、「個人視聴率」は、世帯内の4才以上家族全員の中で誰がどのくらいテレビを視聴したかを示す割合で、視聴者を性年齢、職業などに分けて個人の視聴を捉えることもできます。
以下では、2つの視聴率について、それぞれ詳しく説明していきます。
世帯視聴率とは
世帯視聴率は、テレビを所有している世帯のうち、どのくらいの世帯がテレビをつけていたかを示す割合です。
図1では、A局の世帯視聴率は5世帯のうち3世帯が見ているため、3÷5=60%となります。
個人視聴率とは
個人視聴率は、世帯内の4才以上の家族全員の中で、誰がどのくらいテレビを視聴したかを示す割合です。
図1のA局の個人視聴率は、12人中4人が見ているので、4÷12=33.3%となります。
個人視聴率の「区分」とは
個人視聴率は、4歳以上の個人について、性別、年齢、職業などで「区分」して視聴率を見ることができます。
代表的な区分は、以下のような性年代による8区分です。
みなさんも「M1」(エムワン)、「F1」(エフワン)というような呼び方をきいたことがあるかもしれません。男女(Male、Female)を示すアルファベットと、年齢層を20才から15歳単位で1~3に区分して示したものです。
「C(Child)」=男女4~12才、
「T(Teen)」=男女13~19才、
「M1」=男性20~34才、
「M2」=男性35~49才、
「M3」=男性50才以上、
「F1」=女性20~34才、
「F2」=女性35~49才、
「F3」=女性50才以上
なお、性別などで分けずに、個人すべてを対象にする区分を「個人全体」と呼びます。
また「個人視聴率」として性年代などの記載がない場合も「個人全体」を指して使われています。
コア視聴率とは
「コア視聴率」とは、各放送局の重点ターゲットを指して用いられる言葉です。※
※放送局によっては、重点ターゲットの呼び方が「コア視聴率」でない場合もある
多くの場合、特に購買意欲が高く、広告を届けたいファミリー層から構成されており、CM出稿の際は重要となる指標です。
また、ネットニュースなどで「コア視聴率は13歳~49歳の個人視聴率」として紹介されていることが多いですが、実はこのコア視聴率の定義(年齢層)は放送局によって異なり、普遍的なものでもありません。
そのため、どの性年代区分を示しているのかを確認して数字を見ることが大切です。
~ちなみに~ 週間高視聴番組の視聴率を確認するには?
ビデオリサーチの公式HPでは、週ごとの高視聴率番組を掲載しています。
「ドラマ」「スポーツ」「報道」などのジャンルごとに、視聴率の高かった番組を紹介しており、関東地区の個人視聴率と世帯視聴率をどちらも知ることができます。
毎週木曜日に更新しているので、以下よりチェックしてみてください。
世帯視聴率・個人視聴率の計測方法
世帯視聴率と個人視聴率は、同時に同じ調査パネルで測定しています。
つまり、調査をお願いしている世帯と、その中にお住まいの個人の視聴状況を同時に計測しているのです。
測定には「PM(ピープルメータ)」というシステムを用います。
テレビを見ている人が「PM」のリモコンのボタンのうち、自分の番号のボタンを押すことで、誰が、どの放送局の番組を、いつ見ていたかを判定します。
取得した視聴データと組み合わせて、個人視聴率を計算しています。
世帯視聴率と個人視聴率はどちらが高いのか
世帯視聴率と個人視聴率(ここでは個人全体視聴率について言及)はどちらが高いのか?という疑問を持つ人も多いと思いますが、これは場合によって異なるというのが答えです。
世帯視聴率は、世帯内の1人が視聴していても、全員が視聴していても、「視聴あり」とカウントするのに対し、個人視聴率は世帯内の何人が見ていたかも数値に反映されるため、ほとんどの場合、世帯視聴率が高くなります。
5世帯、世帯内人数20人を対象に視聴率測定をしたと仮定して、世帯視聴率を個人視聴率の値を確認してみます。
図2の例では、世帯視聴率は60%、個人視聴率は45%です。この場合は、世帯視聴率>個人視聴率となります。
一方、次の図3の例では、世帯視聴率は60%、個人視聴率は75%で、世帯視聴率<個人視聴率となります。
視聴率の5つの活用事例
世帯視聴率・個人視聴率は以下の5つの用途で活用されています。
- 世の中の動向をあらわすデータとして
- 放送局の制作・編成に活用するデータとして
- テレビ広告取引の共通指標として
- どんな人が見ていたのかを知るデータとして
- 全国で何人が視聴していたかを知るデータとして
それぞれ詳しく解説します。
視聴率の活用事例①世の中の動向をあらわすデータとして
視聴率は、世の中の動向を表すデータとして使われています。
例えば、ビデオリサーチの公式HPでは、視聴率の高かったスポーツ大会の中継を公表しています。
1964年の第1回東京オリンピック開会式は、世帯視聴率が61.2%で、歴代のオリンピックの中で最も多くの世帯に見られた大会でした。
そして2021年の第2回東京オリンピック開会式は、それに次ぐ歴代第2位の56.4%の世帯が見ていた大会で、こちらも世間の注目を集めた大会でした。
→夏季オリンピック開会式 | スポーツ | 夏季オリンピック | 過去の視聴率 | 週間高世帯視聴率番組10
(https://www.videor.co.jp/tvrating/past_tvrating/sport/olympic-summer/01/post.html)
視聴率の活用事例②放送局の制作・編成に活用するデータとして
視聴率はテレビ番組の制作編成の参考データとしても使われています。
各放送回の視聴率を確認して、より多くの世帯、人に見られる番組になるよう改善する際の参考にしたり、どの時間帯にどのような番組を編成すれば視聴の流れが良くなるかなどの検討をする際にも使われています。
視聴率の活用事例③テレビ広告取引の共通指標として
ビデオリサーチの視聴率は上記以外にも、広告取引をする際の共通指標として利用されています。
また、広告効果を測る指標としても活用されています。
例えば、あるテレビ番組にCMを入れた場合、どれくらいの世帯や人に届けることができたかを視聴率から把握することができます。
また、個人視聴率も測定することでさらにデータの活用範囲が広がっています。
個人視聴率の活用事例④どんな人が見ていたのかを知るデータとして
個人視聴率は性別や年齢などの区分ごとにも視聴率を出せるため、番組がどんな人に多く見られていたのかを知ることができます。
個人全体視聴率が同じ番組でも、視聴者に若い女性が多い番組、高めの年齢の男性が多い番組など、番組ごとに視聴者が異なっていることがわかります。(図4)
個人視聴率により、番組を制作・編成するテレビ局では、番組の視聴者がどんな人なのか詳細に把握することができます。
また、広告主は、ターゲットとしたい層がよく見ている枠に広告を打つなどの施策ができるようになります。
個人視聴率の活用事例⑤全国で何人が視聴していたかを知るデータとして
ビデオリサーチでは2023年4月現在、全国32地区で調査設計と提供指標を統一しており、各地区の視聴データを束ねた全国視聴率も提供しています。
全国視聴率を用いて、人口データを掛け合わせることで、ある番組を日本全国で何人視聴したか、また平均でどれだけの人が視聴したかを推計することができます。
ビデオリサーチの公式HPでは、平均視聴人数の多い番組の一覧を公開しています。
視聴率の歴史
視聴率は「世帯視聴率」の測定からスタートし、後から「個人視聴率」の測定も開始しました。
「個人視聴率」調査は関東、関西、名古屋などの大都市圏からスタートしましたが、2020年4月にビデオリサーチは視聴率調査を大幅にリニューアルしました。
内容は以下の通りです。
①全調査対象地区で世帯視聴率だけでなく、個人視聴率も毎日調査
②個人視聴率調査の拡充で誰がテレビを見ているかを、より詳細に把握
全地区で個人視聴率を確認できるようになったことに加え、調査仕様を統一したことで全国視聴率を用い、日本全国での視聴規模を推計できるようになりました。
まとめ
①世帯視聴率は、テレビを所有している世帯のうち、どのくらいの世帯がテレビをつけていたかを示す割合
②世帯内の4才以上の家族全員の中で、誰がどのくらいテレビを視聴したかを示す割合
③個人視聴率は、C,T,M1など、性別、年齢、職業などで区分して見ることができる
④視聴率は、テレビ広告取引の共通指標として活用されている
⑤2020年4月の視聴率調査のリニューアル以降、個人視聴率をより重視する傾向にある
本連載は今後も不定期で更新予定です。視聴率に関する様々な基礎知識を発信して参りますので、ぜひお役立ていただけましたら幸いです。
記事の中でご紹介しているサービスはこちら【視聴率】 サービスページ 資料ダウンロード |
【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「視聴率」
・調査時期:常時(発行形態 日報/週報)
・対象地区:全国32地区