定量調査と定性調査の違い、使い分けやメリット・デメリットまとめ
【この記事はこんな方にオススメ!】
✅定量調査と定性調査について勉強したい方
✅リサーチの基礎を学びたいリサーチャーの方
✅マーケティングリサーチ関連業務にこれから従事される予定の方
マーケティングリサーチの手法は大きく「定量調査」と「定性調査」の2つに分かれます。
本記事では、リサーチを学び始めた方、これからリサーチについて詳しく知りたいとお考えの方に、初心者でも分かる言葉のみを用いて解説します。
1.そもそも、定量調査・定性調査とは
「定量調査」とは、人数や規模、割合など数字で表すことができるものを調べる調査手法です。
文字通り、"量"を知るための調査とも言えます。
一方、「定性調査」はその逆で、"質"を知るための調査です。
特定のヒトやモノ、事象などから得られる数字では表しづらい情報をまとめる調査手法となります。
量を知る定量調査・質を知る定性調査、と覚えていただくとわかりやすいでしょう。
2.定量調査と定性調査の違い
定量調査と定性調査の違いは大きく分けると3つあります。
- アウトプットとして得られる情報
- 見えているものについて調査するのか、見えていないものについて調査するのか
- 調査対象となるサンプル数
それぞれ解説します。
①アウトプットとして得られる情報
前述のとおり、定量調査は数字で得られる情報がアウトプットとなるのに対し、定性調査は数字ではない情報がアウトプットとなります。
代表的なものはユーザーにインタビューをした際の「感想」や「意見」などで、時には「絵」や「写真」といった文字以外のものもアウトプットとして使用されます。
②見えているものについて調査するのか、見えていないものについて調査するのか
例えば、大ヒット中の「映画A」について、なぜヒットしたのかを調査したいとします。
以下のように調査する定量調査の方法は、すでに「見えている」選択肢から一般の人にアンケートを取る形となります。
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Q.「映画A」で面白かったポイントをいくつでも選んでください。
選択肢1:派手なアクション
選択肢2:主人公の演技力
選択肢3:美しい風景を映した映像美
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他方、以下のように調査する定性調査の方法では、質問する段階では「見えていない」状態から一般の人にアンケートを取る形となります。
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Q.あなたが「映画A」が面白いと思った理由を教えてください。
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③調査対象となるサンプル数
定量調査は"量"を示す必要があるため、調査に答えてくれる人(サンプル/モニター/ユーザーなどと呼びます)の数も数十〜数百、場合によっては万単位でのボリュームが必要となります。
一方、定性調査は"質"を示す調査なので、数人のみで済ませる場合もあり、定量調査とではサンプル数に大きな違いが見られます。
3.定量調査と定性調査のメリット・デメリット比較
ここまでの流れを踏まえて、定量調査と定性調査のメリット・デメリットを比較してみましょう。
定量調査
【メリット】
- 数字で表すことにより、傾向を分かりやすく単純化することができる
- 数字を用いて単純化されることで、客観的な説明がしやすくなる
- 四則演算ができるので、他の定量調査結果と掛け合わせた分析も容易に実現できる
【デメリット】
- 数字でしか表せないので、細かいディテールを描くのには向いていない
- 一定以上のサンプル数が必要になるので、知りたい情報によってはサンプルが集められないケースがある
- 事前に決めたり、設定した質問や調査項目のことしか分からない
定性調査
【メリット】
- 自分では考えつかないような新たな発見や、人々の深い心理の理解ができる
- 「なぜ」への答えを具体的に把握できる
【デメリット】
- 深いことがわかる分、具体策の抽出には向くが、大きな意思決定には向いていない
- コアなターゲットに話を聞きたい場合、インタビュー相手を探すのに苦労することがある
- インタビュアーのトークスキルや、結果を解釈してまとめる人の分析スキルにアウトプットのクオリティが大きく左右される
4.こんなとき、定量調査と定性調査のどちらを利用すればいい?使い分け比較
リサーチ経験の浅い方が悩みがちなことが、「調査はしたいけれど定量調査と定性調査のどちらを選べばいいのか迷ってしまうという・・・」という点です。
どちらの調査手法を選ぶべきかは、そのリサーチによって解き明かすべき「課題」が何なのかによって変わってきます。
このような調査「課題」があるときは、定量調査
・規模や割合、人数など量を把握したいとき
例)商品Aが好きな人の割合が知りたい/商品Aのユーザーが何人いるか知りたい
・数字を用いて、客観的な証明がしたいとき
例)CMを打つ前と後では、商品Aの認知度がどのくらい変化したか知りたい
・仮説を検証したいとき
例)商品Aのパッケージを赤色基調から青色基調に変えたほうが売上が伸びそうだと思っているので、本当かどうか検証したい
・全体を俯瞰して、傾向を把握したいとき
例)世間一般的には、「食器洗い洗剤」で人気があるのはどの商品なのかが知りたい
・2つ以上のものごとを対等に比較したいとき
例)商品Aと商品Bでは、どちらが主婦に人気なのかが知りたい
・量的な推計がしたいとき
例)既にデータとしてある、商品A、B、C、、、Nの商品認知率から商品Xの商品認知率を推計したい
このような調査「課題」があるときは、定性調査
・ターゲット像を具体的に把握したいとき
例)商品Aのユーザーがどんな人なのかを調べて、商品Aのプロモーションに活かしたい
・仮説を構築したいとき
例)商品Aのユーザーが普段どういうときに、どんな理由で商品Aを使っているのかを教えてもらい、新しい商品Aの活用方法がありえそうか考えたい
・具体的な改善案の抽出がしたいとき
例)最近商品Aの売上が落ちているので、商品Aユーザーにインタビューして要因を探りたい
・意識の細かい特徴を深掘りしたいとき
例)ライバル商品Bのユーザーが、なぜ商品Aを選んでくれないのか質問したい
・生活者言語の収集がしたいとき
例)流行をおさえたいので、Z世代の中で最近はやっているコトバを教えて欲しい
5.定量調査&定性調査を併用するケースもある
調査結果を活かし、次のアクションにつなげやすくするために定量調査と定性調査を組み合わせて使用するケースも多くあります。
定性調査で仮説を構築→定量調査で仮説検証するケース
非常に多いケースです。以下2つの例を紹介します。
例1)商品の開発業務でよく行われるケース
自社商品Aの売れ行きが芳しくない。ライバル社の商品Bが売れている理由は「値段の安さ」だと思っていたが、商品Bのユーザー10名にインタビューした結果、安さだけでなく「パッケージがオシャレであること」も大きく影響していそうだという仮説を持った。
そこで、改めて商品Bユーザー1000人に定量調査をかけたところ70%が「パッケージがオシャレであること」をBの購入理由にあげていた。
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この結果を踏まえ、自社商品Aもパッケージをリニューアルすることにした。
例2)ウェブサイトの運用業務でよく行われるケース
とあるユーザーの導線(サイト内で閲覧したページ遷移を確認すること)を追っていたところ、担当者が全く想定していなかった動き方をしていたことを発見した。
このことから、同じような動き方をしている人は意外と多いのではないかと仮説を立て、Google Analytics(Googleが提供するwebサイトのアクセス解析ツール)を用いて経路探索分析を行うことで検証することにした。
結果、当該ページ来訪者のうち30%が同じ動き方をしていることが分かった。
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この結果を踏まえ、上記の動き方を想定したページ改修を行うこととした。
定量調査で大枠を把握→定性調査で深掘りしたいとき
デジタル技術の普及により、定量データを常時収集し、ダッシュボードや管理画面等で簡単に見られるサービスも多数提供されています。
これらのデータに定性調査を組み合わせることでさらに深く分析するケースも考えられます。
例)商品Aの販売担当者が商品A、B、Cそれぞれのユーザーがよく利用しているメディアを調べたところ、商品Cのユーザーだけ「雑誌X」の閲読率が非常に高かった。
そこで商品Cのユーザー5人にインタビューしたところ、雑誌Xはサステナブルな商品を多く取り上げており、SDGs意識の強いユーザーに商品Cがウケていることが垣間見えた。
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商品Aも最近パッケージを改良し、再生紙を100%使用した素材に変更しているため、雑誌Xに広告を出すことで商品Cユーザーにも商品Aを訴求し、シェアを取りに行くこととした。
6.定量調査や定性調査を効率的に実施するには?
本記事では、定量調査と定性調査について、どんなときにどう活用すべきかをその違いやメリット・デメリット等の観点からまとめました。
実際に調査を実施するにあたっては、定量調査、定性調査ともにアンケートやインタビューに回答してくれる人=モニターを確保する必要があります。
モニターを一定数以上囲って「調査パネル」を作っている調査会社に依頼するという選択肢もありますが、ビデオリサーチでは調査会社に依頼せずとも、その場ですぐに定量調査・定性調査ができる方法も提供しています。
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ビデオリサーチの「その場ですぐに調査ができる」サービス
【定量調査】
予め調査済みの15,000項目にも及ぶアンケート結果を自由に使用することができる「ACR/ex」
【定性調査】
ウェブサイト上で作りだしたデジタルクローンにその場でインタビューができる「Asclone」
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上記でご紹介したサービスは、定量調査や定性調査を効率的に実施していきたい方におススメです。
ご興味お持ちいただいた方はお気軽に以下よりサービス資料をダウンロードいただくか、お問合せ下さい。
「ACR/ex」「Asclone」の詳細はこちら サービス資料ダウンロード お問合せ |