人々は景気を敏感に感じている?! 〜ひと研究所「きぶん調査」の経年変化を見る②〜
「きぶん調査」とは、「幸せ」「満足している」「憂鬱だ」「不安だ」といった生活者の"今の気分"を捉える調査で、ひと研究所が2013年7月から毎月月末に実施しています。その時々の話題になっている物事や人についても質問しており、生活者の今の気分を世の中の事象と重ねて分析することができます。
今回は、以前注目した「景気に関する気分」の経年変化と、実際の株価との関連についてご紹介したいと思います。
株価と連動する景気気分
きぶん調査の「景気に関する気分」と日経平均株価を比較すると、上下の動きに類似性があることが分かります。
左側の軸と青い折れ線が当社「きぶん調査」の"景気が上向いている感じがする"の合計スコア(%)。 右側の軸と赤い折れ線が日経平均株価の日別の終値を月ごとに平均した金額(円)。
特に、2015年の3~5月や、2017年10月~11月は、平均株価が2万円を越えるのと近いタイミングで、"景気が上向いている感じがする"が20%に近いスコアとなっています。また、2016年は比較的株価が近年では安い時期が続いていますが、景気気分も低い水準になっています。グラフを比較するだけでも、連動していることがよく分かります。
少し統計的な指標で見てみると...
少し見方を変えてみたいと思います。
横軸を平均株価、縦軸を景気気分にした散布図を見てみますと、やはり正の相関があることが分かります(相関係数R=0.59)。
また図の右下部分、「株価が比較的高く、景気気分が低い」というエリアには事例が出現しません。 つまり、株価が安くても景気気分が高めになることはありますが、株価が高い場合には"景気が上向いている感じがする"という回答割合が低くなることはない、ということになります。
このように、生活者の方が何気なく回答している「景気についての気分」も、実は株価や社会全体の雰囲気のようなものを敏感に感じ取っていることがうかがわれる結果でした。
調査概要
生活感情指標調査(ひと研究所「きぶん調査」)
エリア :日本全国 対象 :男女15歳~74歳(登録ウェブモニター)
手法 :インターネット調査 調査時期:毎月月末(2014年8月~2017年11月)
回答者数:各調査1150
執筆者
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2009年ビデオリサーチ入社。主に広告会社や広告主の調査企画・分析に従事する傍ら、若者研究や幸福研究などに携わり、2017年よりひと研究所 研究員として研究発信・セミナー登壇などを行う。2024年より現職。現在は生活行動とメディア利用の関係を中心に研究中。専門社会調査士。
※このプロフィールは、最新のものとは異なる場合があります。
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