ペルソナから無限に「壁打ち相手」を作成できる! 新世代マーケティングツール「Asclone(アスクロン)」の魅力を開発担当者が語る!

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#ACR/ex #AI #Asclone #デジタルクローン
ペルソナから無限に「壁打ち相手」を作成できる! 新世代マーケティングツール「Asclone(アスクロン)」の魅力を開発担当者が語る!

5月にサービス開始した新世代マーケティングツール「Asclone(アスクロン)」は、2021年よりP.A.I.(パーソナル人工知能)の開発を手掛ける株式会社オルツと当社が共同開発を続けてきた"個人の思考を再現する"AI技術「デジタルクローン」が活用されています。足かけ3年の時を経て築き上げられたこの技術はこれまでのAIとどう違うのか、ビジネスシーンにおいて、このツールがどのような力を発揮するのか──。株式会社オルツ 執行役員 技術本部 本部長 Chief Technology Officer (CTO) の西川仁氏、当社の企画推進グループマネージャー藤森省吾に話を聞きました。

【話し手】

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株式会社オルツ 執行役員 技術本部 本部長 Chief Technology Officer (CTO)
西川 仁氏
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株式会社ビデオリサーチ 企画推進ユニット 企画推進グループマネージャー
藤森省吾
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1.特定の1人の思考を再現する

──Ascloneのべースとなっている「デジタルクローン」とはどのような仕組みですか?

藤森:デジタルクローンはAIによって特定の人間の思考を再現する仕組みです。これまで当社が展開してきた視聴率やACR/exなどのパネルデータは「世の中の縮図」を表現することが目的でしたが、デジタルクローンはこれと対を成し、「特定の1人の思考を再現する」ことに特化しています。

──どのような経緯から「特定の個人を再現する」というユニークなアプローチに至ったのでしょうか?

藤森:当初はこれまでのACR/exなどと同様、世の中の縮図を表現する「アンケートの代替手段」として開発を始めました。しかし開発を進めていく中で、デジタルクローンが好みや考え方といった"個人ごとの偏り"をリアルに再現できることに気づいたわけです。そこから発想を180度転換し、「たとえばこういう人ならどんな意見を持つのか」という、独立した人格、思考パターンをシミュレーションするアプローチを目指すことになりました。

2.アイディア出しの"壁打ち相手"

──たとえばどのようなシーンでAscloneは役に立ちますか?

藤森:ずばり、アイディア出しに有効です。例えば商品の開発や番組制作など、世に出す一歩手前の時点で「これはどうだろう」と感触を確かめたくなる時がありますよね。同じメンバーだけで考えていると、考えが一定の枠を出ずに凝り固まってしまいがちという経験、ありませんか。こうした時にAscloneは、「あなたならどう思う?」と気軽に尋ねられる"壁打ち相手"として機能します。たとえば「Twitterが好きな30代女性」といったペルソナを自由にその場で定義し、かつ、そのペルソナに直接"質問"することができ、これまでになかった角度からのアイディアを得るきっかけをつくるのがAscloneなんです。

3.自然会話で話しかけることができる

──Ascloneはどのようなインターフェースで使うことができますか? 具体的な操作方法を教えてください。

藤森:AscloneはWEB上のインターフェースで提供され、誰でも直感的な操作が可能です。まず、フォーム上にて対象地区※と年齢層、性別、趣味嗜好などを入力して、「名古屋在住、34歳の手芸好き女性」といった具体的なペルソナを持つモデルを十数秒程度で生成します。さらに、特定のトピックに対する賛成か反対かといったスタンスの設定することも可能で、このような"個性"を持たせることもAscloneの特長のひとつです。次にそのモデルに対する質問フォームが表示され、チャットのような自然会話で話しかけることができます。

※関東・関西・名古屋・北部九州・札幌・仙台・広島

──人に話しかけるのと変わらない感覚でデジタルクローンに"質問"できるのですね。

藤森:そうです。例えば、番組の企画会議の席で、「手芸好き女子に向けた番組を作ろうと思うのだけれど、こういう内容についてどう思う?」と質問を入力すると、それに対する回答が十数秒ほどで返ってきます。他のチャットボットAIのように「手芸好きの人だから手芸に関する質問しか受け付けない」ということはないし、「ケーキは好き?」といった"脱線質問"にも対応します。「チーズケーキが好き」「行列のできる店に並んで買うのが好き」といった、個人ならではの拘りを持つ返答を行います。その結果を参考にして、「なるほど、こういう考えもあるのか!」と、ぜひインスパイアを得ていただけたらと思います。

4.ペルソナに基づいた思考パターンを再現

──チャット感覚でAIに質問できるツールとして流行している「ChatGPT」とはどんな点が違うのでしょうか?

西川氏:ChatGPTの場合、例えば政治的な意見を尋ねると、ノーコメントか、客観的な説明を返す仕様となっていて、「自分の意見」は返ってきません。しかし、人の数だけ思考は存在します。好きなものは好きだし、嫌いなものは嫌いですよね。Ascloneの場合、個人としての好き嫌いやスタンスを明確に反映した"意見"が返ってきます。いわば、率直に聞きたい「個人の本音」をシミュレートして返してくれる、その点において、ChatGPTとは大きく違います。

藤森:もっというと、「どのドラマが好きか」「ケーキは好きか」といった"好み"を問う質問にChatGPTは対応できません。一方、Ascloneは「好き嫌いを持つ個人」として振る舞うので、こうした質問にも明確に「好き」「嫌い」と意見を述べます。もちろんその基準はペルソナによって異なりますし、同じ属性を持つ人同士でも考えが異なるように、モデルを生成するたびに同じペルソナでも違う"意見"を持っています。ChatGPTにはChatGPTという単一の"人格"のみが存在するのに対し、Ascloneは条件次第でいくつもの"人格"を再現し、「特定のペルソナに基づいた思考パターン」を再現することができる、それがストロングポイントです。

──従来のAIではできなかった課題を、Ascloneではどのようにして解決しているのでしょうか?

藤森:従来のAIには、事実の確認は得意とする一方で、個性や一貫性がないといった課題がありました。そこで活かされたのが、当社が長年に渡って蓄積し続けてきたACR/exのデータです。地域、年齢、性別、職業といった属性情報に加え、個人ごとの趣味嗜好やスタンスまでを網羅したデータをもとに、ベースとなる学習データに対して"重み付け"を行うことで、個人ごとの思考の偏りを再現することに成功しました。

西川氏:Ascloneの開発にあたってはインターネット上で発信された様ざまな個人の「受け答え」のテキストを学習データの一部として用いましたが、ネット上にすべての人の正直な気持ちが表明されているわけではなく、そのままでは回答の内容が紋切り型となってしまう懸念がありました。その点、ACR/exのデータは高齢の方など普段積極的にインターネットへ情報を出さない属性の方々の思考も網羅されており、われわれ開発陣を正しい方向へと導き続けてくれました。

──ACR/exの幅広いデータの網羅性がここで活きたのですね。

西川氏:違和感のない受け答えをする学習モデルはすでに沢山ありますが、それだけでは何を尋ねても紋切り型の回答しか得られません。でも、現実の世の中にはちょっと風変わりな回答をする人もいますよね。それこそが新たな気づきを与えてくれると思うのです。「◯◯が好き」だけではなく「◯◯が嫌い」といった要素も含めて個人の思考が現れたデータがACR/exには豊富にあり、「個人の思考を再現する」というAscloneならではの強みを作り出す基となっています。

5.時勢に対応していく

──人間の場合、環境や時間の変化を経て考えが変わることも少なくありませんが、Ascloneを構成するデータは今後もアップデートされていくのでしょうか?

藤森:もちろん、その点も考慮しています。コロナ前とコロナ後で考え方が変わった人もいるでしょう。今後はある程度のスパンでデータを入れ替え、時勢に対応する形でモデルを作り替えていくことを考えています。

6.「あなたならどうする?」対話を瞬時に、無限に

──開発担当者として「こんな使い方がおすすめ」という例があれば教えてください。

藤森:冒頭、新たなアイディアを得るのにAscloneが適しているとお話ししましたが、クリエイティブそのものを作る段階よりも、ある程度出来上がった後に精査していくタイミング、例えば10本作成した企画案を1本に絞るような場面で大きな力を発揮します。いくつもの案に対していちいち大規模な調査をかけたり、何ヶ月と企画会議を繰り返すのはコスト的にも現実的ではないでしょう。そこにAscloneがあれば、様ざまなペルソナをもとに無数の壁打ち相手を瞬時に作り出すことができ、企画に磨きをかける気づきを即時に(その場で)得ることができます。これまでの調査の代替ではなく、「あなたならどうする?」という個人との対話を瞬時、且つ無限に生み出せる装置として、ぜひご活用いただければと思います。

──最後に読者のみなさまへメッセージをお願いします。

藤森:きれいな日本語をそれっぽく返すのではなく、「予定調和でない答え」を返すAscloneの特長は、実際にお使いいただくことで実感していただけるので、何よりまずは触ってお試しいただきたいです。

西川氏:"気づき"を得る装置として、Ascloneは大きな力を発揮します。さまざまな状況において「これは好きだ、これは嫌いだ」とAIがはっきり意見を述べるデジタルクローンという仕組みを面白がっていただき、皆さまのビジネスシーンにおいて新たな視座を生み出すきっかけへとつながれば幸いです。

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※この記事はVR Digestで紹介した内容を編集したものです。

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