令和の子どもたちの将来の夢〜今人気の職業とは〜

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#Kids/ex #ライフスタイル #子ども
令和の子どもたちの将来の夢〜今人気の職業とは〜

【この記事はこんな方にオススメ!】
✅令和の子どもたちの将来の夢を知りたい方
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1.はじめに

皆さんは子どもの頃、大きくなったら何になりたいと考えていましたか?
平成生まれの私が小学生の頃は、サッカー選手になりたいという友人が多かったように思います。特に4年生の時にはワールドカップが開催され、試合の翌日はサッカーの話題でクラス中の男子生徒が盛り上がりました。この時期から、「将来はサッカー選手になりたい」と言う友人が増えたことをよく覚えています。私的には、今の子どもたちにもサッカー選手が人気なのか気になるところです。

今回は、令和の子どもたちに人気の将来の夢について、性別によって違いがあるのか、また年齢が上がっていくことで変化があるのかという観点で、男女「未就学児」「小学低学年」「小学高学年」に分類してみていきます。

本記事では、子どもの生活者調査「Kids/ex」の最新データと、SNSや動画配信サービスがまだ流行していなかった10年前(平成)の子どものそれと比較することで、令和の子どもたちの"将来の夢"にフォーカスしていきます。

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2.令和の子どもたちに人気の職業

最新(2022年10月)の調査では、以下のような結果となりました。(図1)
まずは、未就学児(3歳から6歳)の将来なりたい職業からみていきましょう。

【図1】子どもたちに人気の将来の夢子どもたちに人気の将来の夢

出典:Kids/ex 2022年10月、東京50㎞圏、男女3-12才

トラディショナルな職業に憧れを抱く未就学児

未就学男児は「警察官」「運転手」「消防士」などのトラディショナルな職業が人気です。女児は「パン・ケーキ・お菓子屋」に人気が集中しているのが特徴で、それに「医師」「幼稚園・保育園の先生」「看護師」といった小さな子どもが生活の中で触れる身近な職業が続いています。

これら人気の職業は、平成※の未就学児とほとんど変わりません。その中で、平成の男児は「プロサッカー選手」、女児は「タレント・モデル」にも人気が集まっており、令和との違いを感じさせます。令和の子どもたちにも(コロナ禍で減少した)スポーツ大会やタレント等によるイベントなどの機会が多くあれば、これらの職業もランクインしていたかもしれません。
※2012年12月調査データ

次に、小学生に進級するとどう変化していくのでしょうか。

小学低学年:男子はユーチューバー、女子はお菓子屋さん

小学生の人気職業をみると、未就学児とは異なる業種の職業が多数ランクインしており、夢に変化が表れていることが読み取れます。

男子は、デジタルコンテンツの作成に関わる「動画投稿者(ユーチューバーなど)」「ゲームクリエイター」が双璧をなしています。小学生ともなると、デジタル機器を操作するスキルを持ち始め、自ら動画やゲームを選び、観たり遊んだりするようになり、友達と情報交換する機会も増えます。それゆえ、子どもたちの世界が変化することは容易に想像できるでしょう。未就学児とは違った視点で、将来の夢が形成されているのがみて取れます。それに対して、女子は「パン・ケーキ・お菓子屋」に人気が集中し、未就学児よりさらにその傾向が強くなっています。その一方で、未就学児では見られなかった「タレント・モデル」や「マンガ家・イラストレーター」がランクインしており、自分の趣味趣向に関わる人たちへのあこがれが反映しているとみられます。

平成の男子は「プロサッカー選手」、女子は「パン・ケーキ・お菓子屋」が他を寄せ付けないほどの人気を集めていましたが、令和の子どもは多くの職業に人気が分散する結果となっています。ネットを中心とした多くの情報に触れる環境の中で、自分の好きなことを見つける機会が平成時代より増えていることが、多少なりとも影響しているのではないでしょうか。

小学高学年:子どもたちの夢にクリエイティブ思考の色合いが強まる

続いて、高学年の子どもたちの将来の夢です。中学生になる前の職業観やその変化についてみてみます。

男子は、低学年と変わらず「動画投稿者(ユーチューバーなど)」と「ゲームクリエイター」が人気を集めています。それに「プロゲーマー・eスポーツ選手」と「プログラマー」が続き、上位にはネットやデジタルに関わる具体的な職業があがってきています。
一方、女子は、「マンガ家・イラストレーター」と「デザイナー」が上位を占め、低学年までダントツの人気だった「パン・ケーキ・お菓子屋」を上回りました。とはいえ「パン・ケーキ・お菓子屋」「幼稚園・保育園の先生」は高学年になっても根強い人気の職業となっています。

男女とも高学年になると、作品やモノを創造するクリエーターへのあこがれが強くなっているように見受けられます。その中でも男子は、ネットを通じた職業への意識が高まっている様子がうかがわれます。
平成の高学年男子は「プロサッカー選手」、女子は「パン・ケーキ・お菓子屋」に人気が集まっていたことからも、平成時代にくらべ、加速したネット社会やメディア接触の変化が、より子どもの職業観に大きく影響しているといえそうです。

3. 子どもたちに人気のYouTubeチャンネルとは

男女・学年ごとに分けて人気の職業をみてみましたが、10年前からの変化という点で考えてみると、最も大きな変化が見られたのは男子小学生ではないでしょうか。「動画投稿者(ユーチューバーなど)」や「ゲームクリエイター」など、10年前にはあまり一般的ではなかった職業に人気が集まっています。

なぜ男子小学生には人気の職業となっているのでしょうか?ここでは、各YouTubeチャンネルの利用率を比較しながら、その理由について紐解いていきます。(図2)

【図2】子どもたちのYouTubeチャンネル利用子どもたちのYouTubeチャンネル利用

出典:Kids/ex 2022年10月、東京50㎞圏、男女3-12才

子どもたちのYouTubeチャンネル利用率をみると、未就学児は男女ともに、自分と近しい年代の出演者がいるチャンネルの利用率が高くなっています。利用率は男女ともに20%を下回っており、YouTubeの利用方法は男女間で大きな差はありませんでした。

小学生になると男女間で違いが表れます。男子は各チャンネルの利用率が上がり、特に「まいぜんシスターズ」と「HikakinTV(ヒカキンTV)」が強い人気を集めています。また、子どもの出演者がいるチャンネルではなく「はじめしゃちょー(hajime)」や「SeikinTV(セイキンTV)」といった、成人男性の個人チャンネルの利用が増えていることも特徴的です。女子も各チャンネルの利用率が高まっていますが、男子ほどの上昇ではありませんでした。

高学年になると男女ともに、各チャンネルの利用率が分散する結果となりました。特定のチャンネルのみ利用率が高くなるということはなく、学年が上がるにつれてそれぞれ自分の好きなチャンネルを利用するようになっていることが予測されます。

将来の夢「動画投稿者(ユーチューバーなど)」が1位だった男子小学生では、登録者が多く、記憶に残りやすい派手な企画動画や各種イベントを行っているチャンネルに人気が集まりました。個人で運用しているチャンネルが多く、自分事として考えやすいのかもしれません。女子と比較して各チャンネルの利用率も高く、1つのエンタメとしてYouTubeを楽しんでいるようです。楽しいと思えるコンテンツだからこそ、動画投稿者になりたいという思いを持つようになるのも納得できます。

4.子どもになってほしい職業

ここまでは、子どもたち自身の夢についてみてきましたが、最後に親が「自分の子どもの職業」についてどのように考えているのかみてみましょう(図3)。

【図3】自分の子どもになってほしい職業(上位5)自分の子どもになってほしい職業(上位5)

出典:Kids/ex 2022年10月、東京50㎞圏、男女3-12才

親が子どもたちにどんな職業に就いてほしいのかのデータをみると、どの層の親にとっても「公務員」がランクインしていることに注目です。親は、一般的にいわれている「堅実で、現実的な職業」を望んでいるのかもしれません。その一方で、「ゲームクリエイター」や「プログラマー」(男子の親)、「パン・ケーキ・お菓子屋」「マンガ家・イラストレーター」「デザイナー」(女子の親)なども上位に入っており、子どもの希望や夢を後押しするような親心も垣間見られます。

その中で「看護師」は、昭和※、平成の調査から、常に上位にランクインしていることから、時代に関わらず、常に女子の親が支持する職業といえます。
※1987年10月調査データ

5.まとめ

今回は、子どもたちの将来の職業について分析し、年齢が上がるにつれ、生活に身近な職業から、クリエイティブな職業に人気が移っていく様子や、平成の子どもたちとの違いなど、以下の4点にまとめました。

◎令和の未就学児は、「警察官」「運転手」「消防士」(男児)、「パン・ケーキ・お菓子屋」「医師」「幼稚園の先生」(女児)などオーソドックスな職業が人気。平成の未就学児と大きく変わらない。

◎小学校低学年になると、男子は「動画投稿者(ユーチューバーなど)」「ゲームクリエイター」など、ネットが生活に入り込んだことで、平成ではみられなかった新しい職業が加わった。平成で人気のあった「プロサッカー選手」は相対的にやや下火。一方、女子は、「パン・ケーキ・お菓子屋」の人気が依然高く、男子ほどネットの影響は受けていないようにみられる。

◎高学年の男子では「動画投稿者(ユーチューバーなど)」「ゲームクリエイター」と低学年と変わらないものの、「プロゲーマー・eスポーツ選手」「プログラマー」といったネットやデジタルに関わる具体的な職業がランクイン。女子は「マンガ家・イラストレーター」と「デザイナー」が台頭。「パン・ケーキ・お菓子屋」「幼稚園・保育園の先生」は高学年になっても根強い人気。

◎親の子どもの職業観として「公務員」推しが依然強い。ただ、その中でも子どもの夢とリンクする職業も散見される。

今回の分析に使用した「Kids/ex」は、子どもや親の意識についてだけでなく、キャラクターの浸透度及び、生活行動、メディア接触、商品利用など、子どものライフスタイルを幅広く捉えることができるサービスです。
目まぐるしく変化し、多様化する子どもたちの生活は、子どもたち自身の価値観や親の考えにどのような影響を及ぼすのか、今後もKids/ex調査ではこのような社会的変化を明らかにしていきます。

本サービスでは、皆さまのご要望にあわせた分析や、ASPサービスによる提供なども行っております。お気軽にお問い合わせください。

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【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「Kids/ex
・調査時期:2022年10月(秋調査回)
・対象地区:東京50km圏(東京駅を中心として半径50km圏に含まれる市区町村全域)
・ターゲット:男女3-12歳(父母または父母代行者の代理回答)

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