プロ野球チーム 地元での人気はいかに!?地元別人気ランキング!
皆さんには応援しているプロ野球チームはありますか。そのチームを応援するようになったきっかけは何でしょうか。
「地元球団だから」「魅力的な選手がいるから」「強い球団だから」「家族・友人がファンだから」などファンになるきっかけは様ざまあるでしょう。
今回は地元のプロ野球チームがどれくらい支持されているのか、地元ファンはどれくらいいるのかにフォーカスし、12球団それぞれの本拠地に居住している人を対象に、彼らから地元チームはどの程度人気を得られているのか、地元チームの人気を「ACR/ex」(※1)のデータから紐解きます。
(※1)「ACR/ex」の調査エリアは以下の7地区と、そこを本拠地としているチーム
・札幌地区: 北海道日本ハムファイターズ(以下 日ハム)
・仙台地区: 東北楽天ゴールデンイーグルス(以下 楽天)
・関東地区: 読売ジャイアンツ(以下 巨人)
東京ヤクルトスワローズ(以下 ヤクルト)
横浜DeNAベイスターズ(以下 横浜ベイスターズ)
埼玉西武ライオンズ(以下 西武ライオンズ)
千葉ロッテマリーンズ(以下 ロッテ)
・名古屋地区:中日ドラゴンズ(以下 中日)
・関西地区: 阪神タイガース(以下 阪神)
オリックス・バファローズ(以下 オリックス)
・広島地区: 広島東洋カープ(以下 広島カープ)
・北部九州地区:福岡ソフトバンクホークス(以下 ソフトバンクホークス)
1.地元ファンが多いチームはどこ?ランキングTOP3
(図1)は、そのエリアに居住する人を対象に好きなプロ野球チームを挙げてもらいました。
そのスコアをランキングにし、その中から最も高い、つまり地元で最も人気のあるチーム(黄色部分)に着目しました。
ランキングをみると、地元の人たちの半数以上が支持するチームが4チームあることがわかります。最も地元人気が高かった広島カープを筆頭に、それぞれ地元民からの人気の要因に迫ります。
第1位 広島東洋カープ69.5%(広島 セ・リーグ)
12チーム中、最も地元人気が高いのが広島カープです。地元民の約7割がカープファンであり、その人気度は突出しています。
ここまで高い地元人気は他地区では見られず、広島カープほぼ一択という広島ならではの現象といえるでしょう。
広島カープは全球団の中で唯一、特定の親会社をもたない"市民球団"です。カープの本拠地球場(MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島)は"ズムスタ"の愛称でカープファンに親しまれています。
女性野球ファンの先駆けとして "カープ女子"という言葉が流行るなど、性別を問わず球場に足繁く通うファンがいることからも、地元人気は絶大であることがわかります。
第2位 北海道日本ハムファイターズ58.9%(北海道 パ・リーグ)
2番目に地元ファンが多いのは日ハムで、6割近くの人が支持しています。
他、仙台、関東、名古屋エリアにおいても3位にランクインしており、東日本を中心に人気があることが見受けられます。
2022年にBIGBOSSこと新庄剛志氏が監督に就任し、日ハムを生まれ変わらせることを誓いました。
新庄氏は現役時代、試合前にみせるド派手なパフォーマンス「新庄劇場」で球場を度々沸かせ、2003年に北海道移転直後の日ハム人気を盛り上げた立役者でした。
ムードメーカーが監督となり古巣は再建されるのか。地元ファンの中でも一層の期待が高まっているのではないでしょうか。
第3位 福岡ソフトバンクホークス57.4%(北部九州 パ・リーグ)
3番目に地元ファンが多いチームはソフトバンクホークスです。
日ハムと同レベルの6割近くの人気を獲得しています。他地区での人気をみると、広島エリアで2位にランクインしており、主に西日本エリアでの支持が高いことが見受けられます。
ソフトバンクホークスでは、2016年4月に発生した熊本・大分地震災害の復興支援プロジェクトとして「ファイト!九州」を発足して以降、九州を元気にする活動として毎年、様ざまな取り組みを行なっています。
例えば、 "九州の魅力"をモチーフとしたオリジナルユニフォームを入場者プレゼントとして配布したり、ソフトバンクホークスの8選手が「九州アンバサダー」に就任し、九州各県の伝統工芸品とコラボした商品のプロデュースや、九州の魅力をSNSで発信するなどの活動をしています。
地域に密着した活動を継続的に実施していることにより、地元ファンの人気を集めているのではないでしょうか。
第4位 東北楽天ゴールデンイーグルス55.0%(仙台 パ・リーグ)
第4位は楽天で、地元の人気度は5割を上回っています。
大阪近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブの合併によって 2004年に誕生した楽天ですが、12球団中、最も歴史が浅いにもかかわらず、ここまで高い支持を得るまでなっており、地域に根付いている様子がうかがえます。
地元人気の要因のひとつに、東日本大震災発生以降の支援活動が挙げられるでしょう。
震災以降、楽天の選手・球団関係者たちは復興に向けた活動を精力的に行なってきました。
「がんばろう東北」を合言葉に選手・球団の地元を想った活動が、東北の野球ファンを増やすきっかけのひとつになっているのではないかと考えられます。
全体を通してみると、スコア差はあれ、どの地区においても地元のプロ野球チームの人気が高いことがわかりました。
その中でも、広島カープ、日ハム、ソフトバンクホークス、楽天の4チームは、地元の熱烈な支持を得ていること、そして地域に根付いることを十分感じさせる結果となりました。
2.地元チーム以外に好きな球団はどこ?
続いて各エリアの人気チーム上位のうち、地元以外(黄色部分)で人気のあった3チームに着目し、その要因を探ります。
第1位 巨人(関東 セ・リーグ)本拠地以外の5地区でランクイン
本拠地以外の6地区中、5地区(札幌、仙台、名古屋、関西、北部九州)でランクインしたのが巨人です。巨人の人気は関東地区に集中しているというより、広島を除く他球団の本拠地においても人気があり、ファンが特定の地区に偏っていないことがわかります。
特に関西地区に注目すると、阪神の往年のライバルと目されている巨人が関西地区でも一定の人気があるという興味深い結果となりました。
巨人は12球団の中でも最も歴史の長い球団で、長嶋茂雄氏や王貞治氏など野球界のレジェンドが活躍し、プロ野球界の歴史を彩った選手たちが数多く在籍していました。
長い歴史と記録が刻まれた球団として、地元に限らず広くファンがいることが考えられます。
第2位 日本ハムファイターズ(北海道 パ・リーグ)4地区ランクイン
次に6地区中4地区にランクインしたのが、日ハムです。東日本を中心に、北部九州エリアでも一定数のファンがいることがわかりました。
要因のひとつに考えらえるのが、日ハムの応援ダンサーが踊る、通称"きつねダンス"。きつねダンスというコンテンツがSNSを通じて広まったことで、他エリアまで人気が広がったのではないでしょうか。
また、きつねダンスは「2022ユーキャン新語・流行語大賞」でトップ10に選ばれるなど、話題性に富んでいたことも、地元に留まらず全国でファンが増えている要因のひとつではないかと考えられます。
第3位 阪神タイガース(関西 セ・リーグ)2地区ランクイン
「阪神といえば関西」のイメージを強くもつ人が多いですが、地元以外の札幌、広島の2地区でも人気があることがわかります。
阪神ファンといえば、伝統的に球団に対する愛着やファン同士の連帯感が強いといわれてきましたが、この連帯感を作り出しているのはなんといっても"応援"ではないでしょうか。
阪神の応援団はNPB(日本野球機構)によって応援活動が許可された、NPB特別応援許可団体として「阪神タイガース応援団」の名で活動しており、なんと全国に11の団体が存在するといいますから、他地区でも人気があることは頷けます。
3.【関東エリア】一都三県の人気チームランキングTOP3
最後に、関東エリアを掘り下げてみます。 関東といっても、会社帰りなどでも車や電車で行ける範囲内に 巨人/ヤクルト(東京)、横浜ベイスターズ(神奈川)、ロッテ(千葉)、西武ライオンズ(埼玉)の5チームがひしめいています。
この一都三県それぞれに居住している人たちの人気チームを調べた結果が(図3)です。
圧倒的に人気なのは巨人です。
本拠地の東京に加えて千葉、埼玉でも最も人気が高く、そこを本拠地とするロッテ、西武ライオンズを抑えての結果です。
前述のとおり、長い歴史と記録が刻まれたチームとして、一都三県では確固たる人気を得ていることがわかります。
また、ヤクルトも一都三県いずれも3位内にランキングしており、広く人気が浸透している様子が見て取れます。
そんな中、神奈川県では地元 "横浜ベイスターズ"がトップとなりました。
地元ファンに支持される理由のひとつに、球場の位置づけを変えたことが考えられます。
「プロ野球球場=コアな野球好きが試合を観る場」から、野球好き以外の人でも一日中楽しめるエンターテイメント施設、通称"ハマスタ"へ進化させました。
さらに、横浜ベイスターズにはファンが球場内外それぞれで楽しめるイベントがあります。
一例をあげるなら、球場内イベントでは、観客が試合の合間にグラウンドに立って参加できる"オフィシャルパフォーマンスチームVS観客"のリレー競走イベントが開催され、観客側が勝利すると一部ドリンクの割引やグッズ抽選会に参加できるなどの特典があります。
球場外では、まちづくりの一環としてオフシーズンの施設・公園を利用し、ハマスタを起点に賑わいづくりを目的としたイベント『BALLPARK FANTASIA』を2020年から開催しています。
このように"ただ野球を観戦に来た"に留めず、"野球"というコンテンツを通して地元との距離を縮めるユニークな施策が、地元住民の支持につながっているのではないかと考えられます。
いかがでしたか。今回は「ACR/ex」のデータからプロ野球の地元人気ランキングを紹介しました。 ACR/exでは、プロ野球にかかわらず、個々のスポーツに対する市場動向やターゲット特性などをデータで明らかにすることが可能です。
他に詳しいデータや分析等の事例もございますので、ご要望の方はお気軽にお問合せください。
【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「ACR/ex」
・調査時期:2022年4〜6月
・対象地区:全7地区(※1)
・ターゲット:男女12〜69歳の個人