23年4月クール好感度1位!「ラストマン」は多様な視聴感で若者の心も掴んでいた 〜視聴質から考える、心を掴むコンテンツの秘訣とは〜

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23年4月クール好感度1位!「ラストマン」は多様な視聴感で若者の心も掴んでいた 〜視聴質から考える、心を掴むコンテンツの秘訣とは〜

【この記事はこんな方にオススメ!】
✅動画コンテンツの評価の把握方法を求めている方
✅視聴率以外のテレビCM出稿の参考材料を求めている方

1.視聴の「質」で番組を評価する

「良い」番組とはどういう番組を指すのでしょうか。番組を見た人数が多いことでしょうか?番組を見た人の満足度が高いことでしょうか?
近年、番組を評価する際、視聴率など、どれくらいの人が見たのかという視聴の「量」だけではなく、「面白かった」といった番組の視聴感、視聴の「質」を捉えることで、番組の価値を多面的に評価することが注目されています。

そんな動画コンテンツの総合的な"視聴質"評価がわかるデータサービスが「コンテンツカルテ」です。テレビ番組や配信オリジナルコンテンツを対象として、各コンテンツの認知度や視聴実態、またコンテンツごとの視聴者には、視聴頻度や視聴の仕方、好感度や「ハラハラした」「感動した」などの視聴感、クリエイティブの評価を調査しています。

今回は、4月クールのドラマを調査しているコンテンツカルテ2023年5月調査の結果をもとに、好感度の高い番組とその理由を分析してみたいと思います。

本記事で紹介しているサービス【コンテンツカルテ】
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2.番組の好感度ランキングトップは「ラストマン」(23年4月クール)

今回調査でQレイト(番組好感度)が高かった番組TOP5をみると、ドラマが上位を独占しています。なかでもTBSで放送されていた「日曜劇場・ラストマン・全盲の捜査官」がトップです。(図1)
コンテンツカルテでは、Qレイトは番組が「非常に好き」+「まあ好き」のスコア、Qレイトトップボックスは「非常に好き」の回答に絞ったスコアを表しています。Qレイトトップボックスに着目しても、「ラストマン」がトップの結果となっていて、春クールの番組において最も好感を得ていたことが分かります。

番組Qレイト(番組好感度)ランキング<男女13-69才>

3.「ラストマン」を好きなのは誰?

4月クールの番組で好感度1位の「ラストマン」ですが、どのターゲットから特に支持されていたのでしょうか。ターゲット属性別にQレイト(番組好感度)、Qレイトトップボックス(番組を「非常に好き」と回答)を見ていきます。(図2)
Qレイト(番組好感度)を見てみると、どの属性でも7割を超えており、「ラストマン」は性別・年代問わず、幅広い層から好感を得ていたことが分かります。特に男女50才以上(M3・F3層)では8割を超えています。

Qレイトトップボックス(番組を「非常に好き」と回答)に絞ってみると、男女共に20才以上のターゲットについては、Qレイト同様、年代が上がるにつれ高くなる傾向が見られます。一方で、男女13-19才(T層)はサンプル数が少なく参考値ではありますが、57.1%と視聴経験者の半数以上が「非常に好き」と回答しており、他の年代と比べて高いスコアです。10代に"刺さる"コンテンツであったことが推察されます。

今回は、T層をはじめとした若者に注目して、「ラストマン」のどの部分に魅力を感じていたのか深掘りします。

ターゲット別番組Qレイト(番組好感度)<「ラストマン」視聴経験者/男女13-69才>

4.若年層は「ラストマン」のどこが好き?

まず、若年層である、男女13-19才(T層)、男性20-34才(M1層)、女性20-34才(F1層)に絞って、「ラストマン」の番組視聴感を見てみます。(図3)
「ハラハラ・ドキドキする」「見応えのある」のスコアが高く、ドラマの平均スコアと比較しても高い結果となっています。世相を多く反映し骨太でありながら、予想のつかないストーリーに没頭していた人が多いことがうかがえます。

また「楽しい気分になる」のスコアも高く、主演2人のやり取りを中心にユーモアが混じる場面も多かったことが、そのような評価に繋がったと予想されます。
他にも「目新しさ・新鮮さを感じる」といった項目のスコアも、ドラマ平均より高い結果となっています。バディものの刑事ドラマが数多く放送されてきた中でも、今回のバディが新鮮な設定であること、また皆実(福山雅治)が視覚以外の感覚を駆使して事件を解決していくことがこれまでのドラマにはない新鮮な要素として受け取られたのではないでしょうか。

さらに、T層(参考値)・M1層では「感動を覚える」のスコアも高く、最終回で描かれていた"親子愛"を中心に、時には視聴者に感動を与えていたことがうかがえます。

「ハラハラ・ドキドキ」「楽しい」「感動」が1つのドラマに詰まっており、ショート動画に慣れている若年層を飽きさせない、多様な視聴感を与えていたことが「ラストマン」の大きな特徴だと考えられます。

番組視聴感<「ラストマン」視聴経験者/T層・M1層・F1層>

続いて、若年層の「ラストマン」に対するクリエイティブ評価も見てみます。(図4)
「主演俳優・タレントがよい」「その他の俳優・タレントがよい」のスコアが高く、「大泉洋」「福山雅治」をはじめとする今回の出演者を若年層が高く評価していることが分かります。また、「俳優・タレントとその役柄が合っている」のスコアも高く、役柄と出演者のイメージが重なり、違和感なく視聴していた人が多かったのではないでしょうか。ドラマの中で護道(大泉洋)が皆実(福山雅治)の話し方の真似をするなど、キャストの関係性がドラマの中で表現されていることも、タレントや役柄を高く評価するポイントになったかもしれません。

他にも「今後の展開が楽しみ」「ストーリー・脚本がよい」といった項目においてドラマ平均と比べてスコアが高く、出演者だけでなく、脚本家・黒岩勉氏によるオリジナルストーリーも評価されていることがうかがえます。ショート動画を好む若年層も少なくないですが、ストーリーが面白ければ作りこまれたドラマも評価されることが今回の結果から分かります。

加えて、「家族で見られる」というスコアがドラマ平均より高いことも特徴的です。「家族で一緒に楽しめる」という要素は、誰かが見ていれば一緒に見る、"共視聴"につながります。スマートフォンでの動画視聴が増えている現代において、この要素は重要な価値として捉えられるのではないでしょうか。

クリエイティブ評価<「ラストマン」視聴経験者/T層・M1層・F1層>

ちなみに...「ラストマン」出演者の、若年層からの人気は?

先述のクリエイティブ評価で出演者の評価が高かったので、当社で実施する「タレントイメージ調査」で主要な出演者「福山雅治」「大泉洋」「永瀬廉」「今田美桜」の人気度も見てみました。(図5)
どの出演者もタレント平均の人気度を概ね超えており、「ラストマン」の出演者は若年層にとっても魅力的なキャスティングであったことが分かります。その中でも「大泉洋」は男女共に20-34才の人気が非常に高く、番組の視聴や好感度にプラスの影響を与えたことが予想されます。

「ラストマン」出演者の人気度

5.若年層は「ラストマン」をどのように見ていた?

昨今、テレビ番組の視聴方法は多様化していますが、今回の「ラストマン」を若年層はどのように視聴していたのでしょうか。(図6)
「番組視聴経路」を見ると、「放送されている時間にテレビで見る」「録画したものを再生して見る」のスコアが高く、放送波でのリアルタイム視聴、タイムシフト視聴が多かったことがわかります。特に、放送波でのリアルタイム視聴は、男女13-19才(T層/参考値)、男性20-34才(M1層)でドラマ平均より高いスコアでした。クリエイティブ評価で「今後の展開が楽しみ」と評価されていたように、早く続きを見たい気持ちが、リアルタイム視聴へ繋がったのではないでしょうか。

その他の視聴経路として、見逃し配信による視聴は、男性20-34才(M1層)、女性20-34才(F1層)で3割程でした。

番組視聴経路(「ラストマン」視聴経験者/T層・M1層・F1層)

6.まとめ

① 「ラストマン」を好きなのは誰?
性別・年齢問わず、幅広い層から好感を得ていた。参考値ではあるが10代にも刺さっていた模様。

② 若年層は「ラストマン」のどこが好き?
キャスティング、ストーリーいずれも若者にとって魅力的であった。1つのドラマで「ハラハラ・ドキドキ」「感動」など複数の視聴感を与えていて、若者を飽きさせない作りになっていた。

③ 若年層は「ラストマン」をどのように見ていた?
放送波でのリアルタイム視聴・タイムシフト視聴が多かった。早く続きを見たい気持ちを醸成することで、リアルタイム視聴へ繋がると予想される。

今回は、動画コンテンツの質的評価の分析について、事例を交えてご紹介しました。好感度の高いコンテンツは1つの要素で評価されているのではなく、出演者&ストーリーといった、複合的な要素で評価されていることが分かりました。また、ストーリーの中では「感動」など単一の感情だけでなく、「感動」「ハラハラ・ドキドキ」「楽しい」など、多様な視聴感を与えることも、視聴者の心を掴むポイントであることが予想されます。

同じ視聴率であっても、コンテンツに対して視聴者が抱く感情は異なります。コンテンツに対して好感が持たれているのか、またどのような視聴感を抱いているのか、視聴者からの評価のポイントを押さえることが作品作りにおいて重要な要素となるのではないでしょうか。
また、地上波放送や配信など、視聴シーンが多様化する中で、視聴形態にあった視聴感やクリエイティブ評価がなされているかなどについても、今後は注目していくといいかもしれません。

コンテンツカルテ」では、このように視聴率だけではわからない、視聴者の質的評価を把握することができます。
また、2023年8月調査から、テレビ番組だけでなく、動画配信プラットフォームのオリジナルコンテンツも対象に加え、調査を実施します。
特定コンテンツの総合的な「視聴質」評価データをもとに、コンテンツ間での横並び比較による強みの把握、時系列での評価の確認など、様々な用途でご利用いただけます。
ご興味お持ちいただけましたら、お気軽に以下よりお問い合わせください。

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【本記事で紹介したサービス】
<「ラストマン」コンテンツ評価>
・サービス名:ビデオリサーチ「コンテンツカルテ
・調査時期:2023年5月
・対象地区:東京50km圏
・ターゲット:男女12−69才

<「ラストマン」出演タレント評価>
・サービス名:ビデオリサーチ「タレントイメージ調査by ACR/ex
・調査時期:2023年7月
・対象地区:東京50km圏
・ターゲット:男女12−69才

※図1のタイトルおよび順位の表記に一部誤りがありましたので訂正いたしました(更新日2023年09月05日19:30)

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