広告効果指標の標準値一参考値(Norm値)データ集〜TV−CMカルテSpecial report 2001〜

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生活者データ
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※本記事は2001年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。

当社では、毎年一回テレビコマーシャルカルテや広告統計データを用いたテレビCM効果に関する分析事例集として「TV−CMカルテSpecial report」を発刊しております。

「Special report '97−'98」ではテレビCMとブランド評価の関係、「Special report '98−'99」ではテレビCM認知率予測モデルの研究、「Special report 2000」ではスポットCM出稿計画に関する考察などを行ってまいりました。

■今年の「Special report」は?

レポート内容についてあれこれ議論を重ねているときに出た意見として、「すべてのものごとがそうだと思うが、"評価する"には『ものさし』がなければどうしようもない。広告の効果もまた然り。」というものがありました。

なるほど、確かにそうです。大がかりな調査の末に「商品AのCM認知率は50%」ということが分かったとしても、それだけでは結果(事実)としてしか捉えることができず、"評価する"には何らかの比較対照がなければなりません。「商品BのCM認知率」というデータも必要となってくるのです。

その結果出来上がった今年の「TV−CMカルテSpecial report 2001」は、ずばり「テレビコマーシャルカルテや広告統計データをまとめた広告指標の標準値・参考値(Norm値)データ集」です。すべてのデータを商品ジャンソレ別に掲載し、より実務上利用しやすいデータハンドブックといたしました。広告効果分析の際の「ものさし」として、直接皆様の業務のお役に立てるような報告書になればと思っております。

掲載されている標準値・参考値(Norm値)データは以下の通りです。

1)テレビCM統計

2)商品ジャンル関心度

3)CMタイプ別CM投下量とCM認知率の関係

4)タレントタイプ別CM投下量とCM認知率の関係

5)ブランド評価別CM投下量とCM認知率の関係

6)企業評価別CM投下量とCM認知率の関係

7)テレビコマーシャルカルテ各指標の平均値

8)CM認知率と有効リーチの関係

9)2001年上半期好評テレビCMランキング

10)テレビコマーシャルカルテ各指標間の相関係数一覧

11)ブランド評価・企業評価とCM評価の相関係数一覧

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レポートでは上記内容がすべて15の商品ジャンル別(※)に掲載されていますが、ここではジャンル分けする前の「全業種」データについて、その結果の一部をご紹介させて頂きたいと思います。

※15の商品ジャンル=①全業種、②食品(一般)、③食品(菓子・アイス)、④ノンアルコール飲料、⑤アルコーリレ飲料⑥医薬品、⑦F化粧品・ヘアケア製品、⑧トイレタリー、⑨家電・AV機器、⑩OA・情報機器、⑳自動車、⑫流通、⑬金融・保険、⑯電話・通信サービス、⑯企業広告

■商品ジャンル関心度(新視点のNorm値)

ここでは、テレビコマーシャルカルテで調査されている「商品ジャンル関心度」データから、該当する商品ジャンルの商品(サービス)がどの程度関心を持たれ、購入・利用の際に何が重視されているのかを探ると共に、購入・利用時にTVCMがおおよそどのくらい参考にされているのかを把握することができます(※ここでの商品ジャンソレは22に分類されています)。

図1「商品ジャンル関心度(興味・関心度、購入時TV−CM参考程度)」から、購入・利用時に重視する点をみると、「品質」が58.5%に対し「価格」が53.4%とやや品質を重んじる傾向がうかがえます。それに対し「広告」は18.7%と「評判」の33.6%をも大きく下回っています。やはり、実際の商品購入・利用には"商品力""価格力"がものをいい、広告イメージだけで購入・利用まで結びつけるのは難しいということが分かります。その一方で、購入・利用時にTV−CMをどの程度参考にするのかという間に対しては「参考にすることが多い」と答えた人が33.4%と全体の1/3に達し、TV−CMの影響力の大きさを物語っていると言えます。

図1:商品ジャンル関心度(興味・関心度、購入時TV−CM参考程度)(個人全体)

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図2「商品・サービス興味・関心度とTV−CM参考程度の関係」から、本来の興味関心度合とTV−CMの影響度を商品ジャンル別にみると、低価格商品である「菓子」「清涼飲料・果汁」が両指標とも評価が高く、最もTV−CMの効果が期待できる商品群だということが分かります。その一方で「ガソリン・ガソリンスタンド」「不動産」「金融・保険・証券」「住宅設備関連」「鉄道・航空関連」は興味対象ターゲットが狭く、かつ購入・利用にはそれなりの考察を必要とされるか実際の購入・利用には大きな制限が加わってしまうものであり、TV−CMの効果があまり期待できない商品群だと言えます。そんな中、「自動車」は本来の興味関心度合もTV−CMの影響度も高く、高額商品の中では珍しくTV−CMの効果が期待できる商品群だと言えます。

図2:商品・サービス興味・関心度とTV−CM参考程度の関係(個人全体)

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※テレビコマーシャルカルテ関東地区VOL.135〜140(2001年1月〜6月)調査結果の平均値

■CMタイプ別CM投下量とCM認知率の関係(新視点のNorm値)

ここでは、日頃よく用いられていると思われる「CM投下量とCM認知率の関係」を「CMタイプ別」に探り、どの様なクリエイティブのCM認知効率が良いのかを把握することができます。

CMタイプの分類には、テレビコマーシャルカルテ指標の「印象に残ったクリエイティブ要素」を用いています。そしてそれらデータをクラスター分析という統計学手法を用い、見た目の映像や音楽の印象が強い「ビジュアル重視」CM、タレントの印象が特に強い「タレント中心」CM、商 晶やサービスに関する説明が中心の「商品説明型」CM、ストーリーで魅せるドラマ仕立ての「ドラマ風」CMの4つに分類いたしました(「CMタイプ分類基準」参照)。

CMタイプ分類基準→印象に残ったクリエイティブ要素を用いたサンプルクラスター分析による

ビジュアル重視:「音楽・BGM・効果乱「背景・画面」の印象が強いタイプのCM

タレント中心 :「タレント・キャラクター」の印象が特に強いタイプのCM(逆にビジュアルの印象は弱い)

商品説明型 :「商品・サービス名の出し方や呼び方/具体的な機能・特徴」の印象が強いタイプのCM

ドラマ風 :「話の流れ・ストリーリー」「セリフ・ナレーション」の印象が強いタイプのCM

図3「CM投下量(個人GRP)とCM認知率の関係グラフ」から、CMタイプの違いによる出稿量に対するCM認知効率をみると、1000GRPの辺りまでは「タレント中心」CM、1000GRP以上の出稿量では「ドラマ風」CMの認知効率が最も良くなっています。少ない出稿量では"タレントの知名度"を借りたCMの認知効率が良く、それ以上の出稿では"こころに浸透する"ドラマ仕立てのCMの認知効率が最も良いという結果となりました。その一方で、「商品説明型」や「ビジュアル重視」CMの認知効率は悪く、商品説明やビジュアルといったものに印象が偏りすぎたCMは覚えられづらいということが分かります。

図3: CM投下量(個人GRP)とCM認知率の関係グラフ(個人全体)

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※テレビコマーシャルカルテ関東地区VOL.l14〜140で調査を実施した3176素材で算出

■CM認知率と有効リーチの関係(新視点のNorm値)

ここでは、「CM投下量とCM認知率の関係」と「CM投下量と有効リーチの関係」を同一平面上で捉えることにより、CM認知率(=再認知率)をリーチという到達の指標と結びつけた「CM認知率と有効リーチの関係」を把握することができます。"認知"というレベルに達するまでには何回程度の接触(到達)が必要であるのかということが分かり、"有効フリークエンシー"論に一歩踏み込んだ結果が読みとれるかと思います。

「CM投下量とCM認知率の関係」はテレビコマーシャルカルテ調査結果から算出されたNorm曲線(推定モデル)、「CM投下量と有効リーチの関係」は出稿GRPと当社VSESによって算出された推定有効リーチのプロット図によって表されています。

図4「CM投下量(個人GRP)とCM認知率および有効リーチの関係グラフ」から、CM認知率と有効リーチの関係をみると、CM認知率Nom曲線は500GRPの辺りまでは1回(単純)から5回有効リーチ、1000GRPの辺りでは10回有効リーチ、2000GRP以上では15回有効リーチのプロットと近くなっています。これら結果から、たとえ認知率の調査結果がなくとも到達指標である有効リーチからおおよその認知率が推測できることになります。

図4: CM投下量(個人GRP)とCM認知率および有効リーチの関係グラフ(個人全体)

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※テレビコマーシャルカルテ関東地区VOL.l14〜140で調査を実施した3599素材で算出

※認知率Normは、「TV−CM KARTE Special report 2000」で算出された商品ジャンル別Norm値

※有効リーチは、当社VSESによる推定値

"CMを何回見せればよいのか?"といった間に対する答えにはなっていませんが、消費者全体に対するCM認知者の割合=CM認知率と同レベルの評価指標として接触回数を含んだ有効リーチを用いると、"何回以上見せた人をどれくらい確保すればよいのか?"といった答えになり、"有効フリークエンシー"論に一歩踏み込んだ回答になるかと思います。

■2001年上半期好評テレビCMランキング(成功事例紹介)

ここでは、テレビコマーシャルカルテで調査されている「CM認知率」「内容理解度」「CM好意度2」「商品興味関心度」各指標の評価が高かったCMはどの様なものだったのかを探り、調査結果からだけでは推し量れない評価の高かったCMの持つ"何か"を掴んで頂けるかと思います(下図5参照)。

図5: 2001年上半期 好評テレビCMランキング(個人全体)

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※各指標の平均値はTV−CM KARTE Special report 2000より

※ランキング対象は、個人全体のReachが50%以上のCM素材

「CM認知率」の最も高かった「リクルート:週刊住宅情報賃貸版」は、クレヨンしんちゃん(野原しんのすけ)がその特徴ある声で、その特徴を最大限に引き出したリズム・テンポをもった唄にのせて商品名を連呼するという、非常にシンプルで認知効率を追求した究極のCMクリエイティブだと言えるかと思います。

「内容理解度」の評価が最も高かった「東京電力:でんこの省エネ2000冬(カーペット+こたつ編)」は、長期に亘って出演タレント・CMクリエイティブが同一なシリーズCMであり、その伝えたいCM内容も"電気を大切に"という非常にシンプルなものです。加えて出稿時期・調査時期がCM内容に適した冬であるということも内容理解を高めた要因の一つであると思います。

「CM好意度2」の評価が2番目に高かった「味の素:ほんだし(秋・天才みそ汁編)」は、好感度の高いタレント2人を起用し、かつその2人が世代・性別に関係なく受け入れられているということ、そしてCMクリエイティブが家庭の食卓という誰しもが一番身近に感じる場面設定であるということがCM自体の好感度につながった大きな要因であると言えるでしょう。

「商品興味関心度」の評価が最も高かった「U即:ユニバーサルスタジオ・ジャパン」は、既にニュースで取り上げられるなど社会的に関心の高かった商品(サービス?)であり、加えて興奮・感動を期待する消費者には映像・音声を伴った広告ツール(TV−CM)が最も効果的に作用したということかも知れません。

■最後に...

以上「商品ジャンル関心度」「CMタイプ別CM投下量とCM認知率の関係」「CM認知率と有効リーチの関係」「2001年上半期好評テレビCMランキング」をご説明させて頂きましたが、レポートではこれらを含めた「標準値・参考値(Norm値)データ」が全11種類、15商品ジャンル別に掲載されています。広告効果分析のサポートデータとしてそれらの「ものさし」を活用して頂くことで、より具体的に広告の効果を"評価する"ことができるかと思います。

また、それらNom値算出の視点などからもう少し深く細かい分析テーマへと個別にお話が進み、様々なシーンにおける広告効果分析のサポートとして皆様のお役に立てれば幸いです。

消費者マーケティング局 調査一部 長島 英樹

<<<TV−CMカルテSpecial report 2001>>>

レポート体裁:A4縦型上製本268ページ

発行日 :2001年10月16日(火)

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TV−CMカルテSpecial reportについてのお問い合わせは、

当社営業担当または、調査一部(03−5541−6531)まで

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