同じCMでもエリアが違うと評価も変わる?関東・関西での違いを検証〜旅行比較サイトCM編
【この記事はこんな方にオススメ!】
✅ 地域の違いによる広告効果差に興味がある方
✅ テレビCMの出稿による効果・成果を知る方法を求めている方
✅ 動画クリエイティブにおける表現の仕方による広告効果への影響を知りたい方
ローカルエリアへのテレビCM出稿効果
大規模なキャンペーンを行う際には全国規模でテレビCMを打つこともあります。
そんなときに広告主の皆様がよく話題にするのが、「関東以外のエリアをどうするか」という点です。
人口も多く、トレンドの起点にもなりやすい関東にフォーカスが当たりがちですが、日本の総人口からみると、関東"以外"のほうが多いのが実状です。
そこで本記事では、ビデオリサーチが提供する動画クリエイティブのワンストップ評価パッケージ「クリエイティブカルテ」を活用し、あるテレビCMを関東、関西の2エリアで同時に調査しました。
その結果、どのような違いが見られたのかをみていきます。
ピックアップしたテレビCMは、旅行系の比較サイトを宣伝している内容のものです。以降、「テレビCM A」として紹介します。
本記事でご紹介しているサービス【クリエイティブカルテ】 案内資料をダウンロードする 問い合わせる |
関東 VS 関西 同一テレビCM比較
-テレビCMの認知効率はよかったか?テレビCMの認知効率はよかったか?
【図1】は、当社がこれまでに調査・蓄積してきた約2,500素材のテレビCM評価を基に作成したテレビCMの認知曲線です。
このかまぼこのような形をしたグラフは、「●●GRPを出稿すると平均して××%程度のCM認知を獲得できるであろう」というNorm(ノーム・ノルム)値を表しています。
Norm値よりも獲得できた値が大きかった場合「認知効率が良かった」、逆に値が低かった場合「認知効率が悪かった」という表現をすることが多いです。
旅行系比較サイト「テレビCM A」の場合、ターゲットGRPを「個人全体」としたときの認知効率は、関東、関西共に「Norm並み」という可もなく不可もない結果となりました。
関西の方がやや出稿量が多いですが、認知効率という面では出稿量との関連性は薄く、東西での大きな違いはみられません。
-テレビCMは視聴者にどのように受け止められたか?
広告効果を振り返る前に、今回の調査対象である「テレビCM A」のクリエイティブについて触れておきます。
「テレビCM A」はテレビでよく見る人気タレントを起用し、サービスの特徴をテンポよくはっきりと言葉にして視聴者に届けながら、お得な旅行系比較サイトであることをアピールしています。
その「テレビCM A」が属しているジャンル(業種)のNorm値とスコアを比較してみました。
スコアが高い順にアルファベットS〜Dでランク付けした結果を【図2】〜【図4】に掲載しています。
【図2】では「テレビCM A」から視聴者はどんな印象を抱いたのかという<広告表現の受容性>と、どのようにメッセージを受け取ったのかという<メッセージの受容性>の2つの項目からみていきます。
まず、関東、関西を通した全体評価として、Norm値と比較してみると、「おもしろく・親しみやすく・インパクトのある」ゆえ、「わかりやすい・独自性のある」CMと受け取られている様子が窺えます。
そのためか、記憶に残りやすいクリエイティブの裏返しでもある「しつこさ・あきる」といったネガティブ評価も、一定以上発生している結果となりました。
「テレビCM A」では、旅行系比較サイトを利用することによるお得さをカジュアルな表現で訴求していることから、「親しみやすさ」のスコアが関東、関西共にNorm値を上回り、狙い通りの結果になっていると窺えました。
その中で、「高級感がある」のスコアがNorm値よりやや低めなのは、「親しみやすさ」の裏返しとして捉えることができそうです。
また、訴求したいポイントを率直にセリフに込めて視聴者へ届けているクリエイティブであることから、<メッセージの受容性>の中で「わかりやすい」の項目が最も高いスコアになったと考えられます。
次に、関東、関西の比較をしてみると、
関西では「インパクトのある」「独自性を感じる」「わかりやすい」の3項目が関東に5pt以上の差をつけて上回っており、A判定の高評価を得ています。
「テレビCM A」は、ポップでテンポよく移り変わる映像であり、伝えたいポイントもわかりやすいクリエイティブですが、地域によってその受け取られ方に差がみられました。関西では「良い点は良い」とはっきり評価する特性が傾向として出やすいのかもしれません。
-テレビCMは視聴者にどのような印象を与えたか?
次に、印象に残ったクリエイティブ内の要素を【図3】にまとめました。
関東、関西ともに「テレビCM A」はNorm値とほぼ同じ傾向を示しており、 "平均並み"の結果であることがわかります。
そのなかで、「出演者やキャラクター」の項目はNorm値を15pt以上上回り、視聴者の印象により強く残ったことが現れています。
この要因として、「テレビCM A」では知名度、好感度がいずれも高いタレントを起用していることが挙げられます。その出演者のチカラが存分に反映された結果と言えそうです。
さらに、「出演者の印象が強いクリエイティブ」が、前項で触れた「おもしろさ」の高スコアにも結びついていると考えられます。
エリア別にみると、全体を通して関東の方が相対的にスコアが高めです。その中で、関西では「音楽、BGM、効果音」の評価が高く、逆に「映像表現」のスコアが低いのが特徴的です。それは出稿量に関連した評価であると推察できます。
-テレビCMはどう評価され、商品・サービス利用にどう貢献したか?
最後に、テレビCM 全体を通してどのように評価されたのかという<広告>としての総合評価と、サイトの利用促進にどの程度貢献したのかという<商品・サービスへの貢献>としての総合評価の二軸でまとめました【図4】。
関東、関西かかわらず、全体的にNorm値より高く、大きな課題は見当たらない"優等生"的なCMであると言えます。しかし、ほとんどの項目で「B」判定が目立っているので伸び代はまだまだあり、"特待生"を目指せるチカラのあるCMであるとも言えそうです。
一方、関東、関西の評価をみると、ともに総合評価9項目中5項目において評価(判定)が同じでしたが、残りの4項目のうち、関東では「商品・サービスの印象」「広告好意」「継続視聴意向」の3つの項目において、関西では「話題拡散性」の項目において、他方より高い評価を得ています。
もう少し細かくみていくと、関西は「話題拡散性」においてA評価を得ているものの、「広告好意度」においてはNorm値を下回り、総合評価の項目のなかでは最も低い「C」判定となっています。
それも影響してか、<商品・サービスの貢献>の全4項目において、関東よりスコアが低くなっています。
このことから、「広告好意度」の評価は<商品・サービスへの貢献>に影響を与えるひとつの要因だと考えられます。
【図2】〜【図4】の評価をまとめてみると、
◆(高評価である)A評価は関東が3項目に対し、関西は5項目
◆(低評価である)D評価は関東が1項目に対し、関西は4項目
この結果から、本クリエイティブにおいては、関東よりも関西のほうが評価の濃淡が強いことが分かります。
同じクリエイティブでも、エリアが違うと評価も変わる可能性があるため、エリアをまたいで同じクリエイティブで訴求する際には、反応の違いを加味したメディアプランニングが必要ともいえそうです。
今回の分析ではエリアごとに比較をしましたが、性年代別や競合他社など、様ざまな視点での比較分析を行い、算出することも可能です。
動画クリエイティブの広告効果を手軽に確認するには
本記事ではテレビCMがどのように生活者に受け止められ、そして気持ちや行動の変化を促進させたのかを2エリア間で比較しながらまとめました。
こちらの内容は、分析レポートとしてPDFでもダウンロードいただけます。
また、本分析に使用した動画クリエイティブの広告効果測定ができるワンストップ調査パッケージ「クリエイティブカルテ」では、これまでに5,000素材以上のテレビCMや動画広告を調査し、データベース化しています。
気になるクリエイティブを新しく調査することも、過去に実施したクリエイティブ調査レポートをデータベース内から抽出し、ご購入いただくことも可能です。
ご興味お持ちいただけましたら、お気軽に以下よりサービス案内資料をダウンロードいただくか、お問い合わせください。
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【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「クリエイティブカルテ」
・調査時期:2023年9月29日〜10月2日
・対象地区:関東/関西
・ターゲット:15~69歳男女(各地区N=540)