『MAGASCENE』(雑誌メディア調査)データのご紹介
※本記事は2002年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。
Ⅰ.はじめに
2001年10月に実施された「雑誌メディア調査」の結果をもとにしたレポート『MAGASCENE』、およびパソコン版の『DIGITAL MAGASCENE』を今年2月から3月にかけてリリースしました。現在の雑誌の読まれ方や雑誌への関わり方はどのようになっているのでしょうか。いくつかデータをご紹介したいと思います。
Ⅱ.雑誌の読まれ方
まず、雑誌はどのくらいの人に、どのように読まれているのかをみていきましょう。
1.雑誌を1冊でも読む人の割合
そもそも雑誌を読む人の割合はどの程度なのでしょうか。
「雑誌メディア調査」では約500誌のビークルについて「過去6号中何号読んだか」を聞いています。対象者のうち、1ビークル・1号でも読んだ人の割合を示したのが次のグラフです[図表①]。
個人全体(男女12〜69才)の85%が何らかの形で雑誌を読んでおり、性別では男性に比べて女性の閲読経験者の方がやや多くなっています。男性は30代、40代の閲読経験が同レベルなのに対し、女性では7ポイント近い差がみられます。一方、60代では女性が男件を10ポイント以上上回っています。
【図表①】雑誌閲読経験者(6号中号以上)の割合
2.ジャンル別閲読率
次に、雑誌閲読率をみてみましょう[図表②−1〜4]。
全対象ビークルの閲読率平均は、個人全体・男性計・女性計ともに0.9%でした。ジャンル別にみると、男性では「週刊誌」系や「コミック誌」の閲読率が高く、上位5ジャンル以下は「ゴルフ誌」「ビジネス・マネー誌」といった趣味・実用系が続きます。女性では上位5つの中でも「女性週刊誌」が圧倒的トップ、ベスト5以下はティーンズ・ミセスなど各ライフステージ向けの女性誌が続きます。
【図表②】ジャンル別閲読率
【図表②−2】ジャンル別 個人全体閲読率上位5
【図表②−3】ジャンル別 男性計閲読率上位5
【図表②−4】ジャンル別 女性計閲読率上位5
3.雑誌の読まれ方
では、ジャンルによって雑誌の読まれ方に違いはあるのでしょうか[図表③]。
閲読率が高い「週刊誌」系は、買わずにお店の待合室などで読む人も多いことがパイを広げる要因となっているようです。「コミック誌」も含め繰り返し読まれることは多くありませんが、「コミック誌」は精読者比率(閲読者の内、その雑誌を「ほとんど全ページ読んだ人」の割合)や「毎号閲読者」の割合が比較的高く習慣性がうかがえます。
購読者比率(「買って読んだ人」の割合)が高いのは「TV・FM情報誌」「旅行・レジャー誌」「パソコン誌」など、趣味・実用のガイド・テキスト的要素の強いものや、「総合月刊誌」のような読み物です。これらは書店で賂入し自宅で読むパターンが多いようですが、ガイド的な雑誌は繰り返し利用する人が6割程度みられるのに対し、読み物は1回きりという読者の方がやや多めです。
一方、ファッション・カルチャーなどを中心とした10〜20代向けの雑誌や、スポーツ関連などの男性向け雑誌は、コンビニでの購入率および立ち読みの割合が高くなっています。
【図表③】雑誌の読まれ方
4.雑誌イメージ
読者はそれぞれの雑誌をどのようなイメージでとらえているのでしょうか。
イメージ語ごとに、回答者の割合が多かった5ジャンルを示したのが次の表です[図表④]。
情報性や実用性、娯楽性などジャンル特性が現れる結果となっていますが、特に「情報が豊かな」はコミック誌を除く全ジャンルで30%以上のスコアでした。また、閲読率上位のジャンルは総じて「気楽な」イメージが強いことが分かります。
こうしたイメージは裏を返せば雑誌に求められている「効き目」であり、さらに個別ビークルでみたときには、競合誌との差別化のカギとなるでしょう。
【図表④】雑誌のイメージ
Ⅲ.雑誌との関わり方
雑誌はほとんどの場合、生活者が選択的に接触する媒体です。では、そもそも生活者は雑誌とどのように関わっているのでしょうか。また、他メディアと比べたとき雑誌はどのような位置づけなのでしょうか。
1.雑誌を読む時間畳
まず、性・年代別に雑誌・テレビ・ラジオ・新聞・インターネットの1日あたりの接触時間量をみてみましょう[図表⑤]。
1日あたりの雑誌閲読時間は個人全体で22分ですム先のデータで閲読経験者は女性の方がやや多めでしたが、時間量では男性が女性を2分上回り、特に20代で差が大きくなっています。
雑誌と同様に能動的接触の多い新聞と比べると、若い年代では雑誌閲読時間の方が多く、30代を境目にこれが逆転しています。また、インターネットは男女20代や男性30〜40代で雑誌と同レベルもしくは雑誌を上回る接触時間となっています。
【図表⑤】性・年代別 メディア接触時間量
2.媒体・媒体広告に対する評価
では、生活者は各媒体・広告をどのように評価しているのでしょうか。
まず媒体評価ですが、各項目にあてはまる媒体を回答してもらった結果が次の表です[図表⑥−1]。
【図表⑥−1】媒体評価[個人全体】
雑誌は、タイムリーかつパーソナルな噂好や気分に合った情報を得られる媒体としての価スコアが高くなっていますが[図表⑥−2]、「他媒体では得られない情報が分かる」など、従来雑誌の特性として語られてきた詳報性・専門性といった部分の役割においてインターネットが重複・逆転してきました。一方、娯楽・情緒的な効き目は雑誌がトップもしくはテレビに次ぐスコアとなっています。
【図表⑥−2】雑誌評価上位5[個人全体]
同様に、各項目にあてはまる媒体広告を回答してもらった結果が次の表です[図表⑦-1]。
【図表⑦−1】広告評価[個人全体]
商品の印象づけといった点ではテレビCMとの差がみられますが、雑誌広告は商品に関する詳報性への評価が高く、商品へのアプローチのキッカケにもなるなど、商品理解・選択の一助として効果的であることが分かります[図表⑦−2]。
【図表⑦−2】雑誌広告評価上位5[個人全体]
さらに、雑誌広告を見て何らかの行動やレスポンスをしたことがある人は6割近くみられます[図表⑦-3]。男女別では「インターネットのホームページ参照」以外すべて女性の関与度の方が高く、「懸賞付きアンケート応募」「広告の切り抜き・取り置き」は10ポイント以上の差がついています。
【図表⑦-3】雑誌広告を見ての行動・レスポンス
3.雑誌閲読態度
もうひとつ雑誌に対する意識を示す指標として、今回調査より追加された「雑誌閲読態度」をみてみましょう[図表⑧]。
これによると、雑誌を読むときは関心のある記事をあらかじめチェックする人が圧倒的に多いことが分かります。ここでもほとんどの項目で女性のスコアが男性を上回っており、特に「気になる記事は切り抜き・メモする」「時間があるときにゆっくり読む」など、雑誌(記事・広告)を手元に置いて活用する傾向は女性で強いようです。
【図表⑧】雑誌閲読態度(よくある+時々ある)
4.雑誌でよく読む記事ジャンル
最後に雑誌でよく読まれる記事ジャンルをご紹介します[図表⑨]。
男性は女性に比べスポーツやニュース的なジャンルのスコアが高く、女性はおしやれ・料理・住まいなど日常生活向けの記事への関心が高いことが分かります。
【図表⑨】雑誌記事嗜好ジャンル
Ⅳ.おわりに
以上、雑誌の読まれ方や雑誌との関わり方を示すデータをいくつかご紹介してきました。ジャンルや性・年代という大きな括りでもそれぞれの特徴がみられましたが、当然ながら、雑誌の現場では個別ビークル間での差違や、さらに絞ったターゲットの雑誌関与など、より詳細なデータを必要とするでしょう。『MAGASCENE』『DIGITAL MAGASCENE』ではそれらの指標を客観的・横断的に比較分析することが可能です。
今後とも『MAGASCENE』『DIGITAL MAGASCENE』を雑誌のさまざまな局面でお役立てください。
(第一マーケティング局 メディアマーケティング部 山村麻紀)
2001年度『雑誌メディア調査』調査概要
●調査対象誌 週刊誌 ... 74誌
隔週刊・月2回刊誌 ... 103誌
月刊誌 ... 352誌
●調査方法 訪問による質問紙留置法
●標本抽出法 住民基本台帳をフレームにした無作為2段抽出
●調査対象者 調査時に満12才〜69才の男女個人
●調査期間 2001年10月18日(木)〜10月31日(水)
●調査エリアおよびサンプル数
東京30km圏2,000s
関西地区1,500s
名古屋地区1,000s
北部九州地区500s
札幌地区400s
仙台地区300s
広島地区300s
●有効回収 5,009s(回収率83.5%)