86年度のヒットCM(ピップエレキバン、コックローチなど)は?〜テレビコマーシャルカルテVol.17〜
※本記事は1987年に発刊したVR Digestに掲載されたものです。
'86年度のテレビコマーシャルカルテ調査は下記に示すようにVol.14〜Vol.17の4回行われました。そこでそれらの調査結果から'86年に人気を博したTV-CMはどのようなCMかをご紹介いたします。
まずヒットCMの定義をつぎの項目についてみてみます。
1)多くの人が見て知っている(認知率)
2)多くの人が"好きだ"と答えている(好意度)
3)多くの人が"良い出来だ"と答えている(出来ばえ採点)
以上の3つの条件を満すCMを"ヒットCM(好評CM)"とします。本来であればそれらの条件に更にそのCMによって購買が増加したということが付加されれば理想的な条件となりますが、CMカルテ調査では購買量を調査していないことと、また購買量の増減とTV−CMの人気度との関係メカニズムが解明されていないこともあり、ここでは上記3つの条件を満しているヒットCMをとりあげてみます。
1)認知率からみたCM
まず、Vol.14〜Vol.17において認知率上位のCMをそれぞれあげると下記の通りです。
2)好意度からみたCM
次にVol.14〜Vol.17において好意度上位のCMをあげると下記の通りです。
3)出来ばえ採点からみたCM
同様に出来ばえ採点上位のCMをあげると下記の通りです。
4)総合評価ヒットCM
前述の3指標をすべて満す(但し、出来るだけ高いスコアで)CMを列記すると......
・KDD・国際ダイヤル通話 (Vol.14)
・ピップフジモト・ピップエレキバン(Vbl.14)
・東京ディズニーランド・3rdアニバーサリー(Vol.15)
・大日本除虫菊・ゴン (Vol.15)
・サントリー・レッドスペシャル(Vol.15)
・ピップフジモト・ピップエレキバン(Vol.16)
・マルコメみそ・マルコメみそ (Vol.16)
・キッコーマン・ぽん酢しょうゆ(Vol.17)
・武田薬品・ベンザエース (Vol.17)
の9CMがあげられます。つまり「テレビ・コマーシャルカルテ」調査結果から判断した'86年度"ヒットCM"と言えます。
各CMについて簡単に特徴を記すと、まずKDDは斉藤晴彦の早口歌のコミカルさが"新鮮であり、おもしろい"CMとなっており、ゴンは「亭主元気で留守がいい」のコピーが流行り、マルコメみそはマルコメみその"かわいらしさとおもしろさ"、そしてぽん酢しょうゆは人気絶頂の明石家さんまによるヒットと言えましょう。またVol.14のピップエレキバンは毎度毎度の会長と樹木希林の軽快なコミカルさであり、Vol.16では会長の亡くなった後の樹木希林1人によるCM。そしてレッドスペシャル、ベンザエースは大原麗子、小泉今日子の人気タレントによるヒットCM。さらに東京ディズニーランドCMは、広告対象そのものが誰もが嫌うことのない楽しさのあるヒットCMとなっています。
以上'86年のヒットCMをPick-upしてみましたが、その共通要因としてはやはり人気タレントが多いこととイメージとしては"おもしろさ、新鮮さ、親しみ"の要因をそれぞれ兼ねそなえているCMとなっています。
(テレビ・ラジオ調査部 小島裕二)