「入門 マーケティングファネルとは?」 今さら聞けない!基本の『キ』

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広告・マーケティング
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「入門 マーケティングファネルとは?」 今さら聞けない!基本の『キ』

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日々急速な進化を遂げるデジタルマーケティング業界。 このコーナーでは、頻繁に見聞きする・・・けれども、"基本"であるがゆえ、詳しく説明されることが少ないデジタルマーケティングに関する「単語」や「仕組み」について、初心者にもわかりやすく説明していきます。今回は「マーケティングファネル」をテーマにお届けします。

この記事はこんな方にオススメ!
  • 新しくマーケティング担当になる方
  • マーケティングの基礎を学びたい方

はじめに

初めてマーケティングを学ぶ際に、様々なフレームワークの名前を目にすると思います。
本記事では、その中でも基本的なものとして扱われることが多い「マーケティングファネル」はどのような考え方なのか解説してきます。

マーケティングファネル=顧客の購買プロセスを表す考えかた

マーケティングファネルとは、消費者の購買プロセスを容器に液体をそそぐのに使う器具の漏斗のような形で表したもので、漏斗のことを英語でファネル(Funnel)というためこのように呼ばれています。

ファネルはいくつかの段階で示され、基本的には段階が進むにつれて数が少なくなり図は小さくなります。(図1)

一般的なマーケティングファネルの例

例を挙げて考えてみると(図2)、
ヘアカラーしている人をターゲットとしたカラーケアシャンプーの新商品Aの広告を見て商品を知った人(商品認知者)が100人いたとします。
その商品に魅力を感じ興味を持った人はうち80人、実際に商品について調べ、今使っている商品と比較・検討したのは40人、最終的にシャンプーAを購入したのは20人でした。
このように段階が進むにつれて「知ってはいるが興味がない人」、「興味はあるが検討しない人」「検討した結果買わなかった人」が離脱していくため逆三角形(漏斗)のような形で数を表すことができるのです。

シャンプーAに関するファネルの例

ここで重要なのは、多く離脱したことが必ずしも問題ではないということです。
この商品はカラーケアシャンプーであり、ターゲットはヘアカラーをする人向けとなります。
認知から興味へ進む際に、多く離脱していたとしても、離脱した人がそもそもヘアカラーをしない層(=ターゲットではない層)である場合、その層を獲得しようとする必要はありません。
よりターゲットに届きやすいプロモーションを検討することも必要かもしれませんが、ファネルの下の方の検討した末に買わなかった層を知ることがより売上に貢献できる場合もあります。
このようにファネルごとに分割して見るだけではなく、その層はどういった特徴があるのか、なぜ離脱しているのかを考えることが大切なステップとなります。

また別の例を挙げると、ECサイトのデジタル広告をたくさん出稿して、サイトのアクセス自体が増えているものの、商品の売上数自体にはあまり変化がない場合はどの段階に課題があるのでしょうか。
この場合、「広告を見る=認知」「サイトアクセス・商品ページ閲覧=興味」「商品をお気に入りやカートに入れる=検討」「商品購入」としてファネルに当てはめると、どこで離脱されているのかを確認しやすくなります。
ここから回遊のしやすいサイトづくりや魅力的な商品ページなど改善点を見つけて実際に動くことができます。
また、商品購入者や検討者のペルソナを考える際にも役立ちます。
それぞれの段階にどのような人がいるのか、段階ごとに差はあるのかどうかを見つけることによってよりターゲットに狙いを定めた施策をしやすくなることがあります。

①認知~購入を表した「パーチェスファネル」

まず、「パーチェスファネル」をご紹介します。
これは先ほど例に挙げた認知~購入までのプロセスを表し、(図1)で示されます。
消費者の購買決定のモデルである「AIDMA」と近い考え方で整理できます。
「AIDMA」はその商品・ブランドを知り(Attention)、興味を持って(Interest)、欲しいと思い(Desire)、記憶し(Memory)、実際に購入する(Action)までのプロセスの頭文字を合わせたものです。
まずは商品の購入までを可視化し、買ってもらう・使ってもらうまでのプロセスの施策の検討やボトルネック検証などで活用できます。

②購入後のプロセスを表す「インフルエンスファネル」

次に、「インフルエンスファネル」を見ていきます。
これは「パーチェスファネル」の先、購入後の行動を整理する場合に用いられます。(図3)

購入後のプロセスを表す「インフルエンスファネル」

近年SNSや口コミサイトなど実際の利用者の声を購入検討の材料に活用しやすい環境になっています。
このことから、商品購入後に「継続しているか(リピーターになっているか)」、「使った商品を周囲に紹介しているか(勧めているか)」、「商品についての口コミを発信しているか」という段階を可視化したのが「インフルエンスファネル」です。
「パーチェスファネル」では逆三角形で表していましたが、「インフルエンスファネル」では継続→紹介→発信と段階が進むにつれて獲得できる数が増えるため三角形になっています。
ある程度商品の購入者が増えた後、リピーターの獲得や口コミ等消費者からの評判について確認・検討する際などに活用できます。

①×②の一気通貫「ダブルファネル」

最後に、「パーチェスファネル」と「インフルエンスファネル」を合わせて認知~発信まで一気通貫で考える「ダブルファネル」を紹介します。
2つのファネルを合わせることにより「ダブルファネル」は砂時計のような形で表します。(図4)

認知~発信まで一気通貫で考える「ダブルファネル」

購入までのプロセスと購入後のプロセスを合わせることでそれぞれのマーケティング施策の分断を防ぎ、一貫した施策を検討しやすくなります。

ファネルを業務で使うときの注意点

ここまでファネルの解説をしてきましたが、実際に使うときにはいくつか注意が必要です。
まず一つ目は「必ずしも段階が進むにつれて数が減るわけではない」と言うことです。
各段階に何を当てはめるのかにもよりますが、認知~検討を飛ばしてたまたま手に取ったから購入する場合もありますし、継続していなくても紹介や発信をすることも可能です。
また、認知から必ず考えなければならないわけではなく、検討フェーズから始まっても問題はありません。
ここで重要なのは、自分が考えている商品・サービスでは、どのようなプロセスがありどのような順番で起こっているのかきちんと理解し、整理することです。
きちんと整理することにより、自分以外の関係者との会話・認識合わせがしやすくなります。
例えば施策検討の際に他社であっても「ファネルに当てはめるとこの部分を多く獲得したい」という認識を合わせれば、早い段階でその部分を獲得するにはどうすればよいのかを考えやすくなります。
マーケティングファネルはこういった共通言語として活用できるのです。

二つ目としては、近年では様々なメディアが増えていることから、複数媒体を複合した「クロスメディア」という見方をし、それぞれのメディアの特性や役割も意識しながらファネルに当てはめる必要があります。
弊社で着目している「メディア・エンゲージメント」(=各メディアの広告に生活者が一般的にどのような印象を持つか)という考え方も各メディアの理解に役に立ちます。
詳しいメディア・エンゲージメントの解説は以下の記事をご覧ください。

広告効果におけるメディア別の役割〜メディア・エンゲージメントの観点から〜

広告効果を考える上で、メディア・エンゲージメントの考えをどのように用いることができるでしょうか。広告メディアの特徴を描写しメディア・エンゲージメントを数値化することで、各メディアの広告プランニング上の役割を明確にします。

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さいごに

いかがでしたか。
昨今では、マーケティングファネルは古いという意見も見られますがマーケティングの基礎を学ぶ人にとっては分かりやすい考え方の一つです。マーケティングファネルを活用することで、どういった人を増やしたいのかを整理し適切なアプローチを行うことでより効率的に行うことができます。
また、施策がうまくいっているのか確かめる手段として購買データなど自社で所有しているもののほかに、アンケートで消費者の声を確認することで、段階ごとの状況を可視化することも可能です。

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