他社のデジタル広告出稿を調べてみて分かったこと―デジタル広告事前調査「マッチングアプリ篇」
- この記事はこんな方にオススメ!
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- デジタル広告の戦略/分析/マーケティングに携わる方
- デジタル広告セールスに携わる方
- デジタル広告の効果について関心のある方
1.デジタル広告出稿前に欠かせない「事前調査」とは?
「デジタル広告」は大企業だけでなく中小企業でも多く用いられており、大きな費用をかけずに手軽に利用できる印象がありますが、その出稿を"成功"に導くために欠かせないのが「事前調査」です。
「事前調査」は、主に競合となる企業について調べるため、「競合調査」とも呼ばれます。
なぜ競合を事前に調べることが重要なのでしょうか。それは、デジタル広告の場合、『競合がどんな戦略で出稿しているか』によって自社の出稿状況が大きく左右されるからです。
極端な例ですが、ターゲットを同じにする企業が広告配信していなかったら、広告単価を抑えた状態で効率的に自社の広告だけをそのターゲットに訴求することができます。
これが2社、3社と増えていくと、少ない広告配信チャンスをモノにするために複数企業が競り合うことになるため、広告単価があがったり、他企業で先に購入・申込などの成果をとられてしまうリスクがあがるのは明らかです。
そのため、広告市場において競合のコンディションを把握することが重要となります。
競合調査には大きく2種類あります。
1.媒体調査 ・・・競合がいつ・どこで・どのくらい出稿しているかを調査
2.広告調査 ・・・競合がどんなクリエイティブで出稿しているかを調査
本記事では、ビデオリサーチグループが保有するディスプレイ広告検索ツール「digiads(デジアズ)」を使用し、マッチングアプリを例に、前者の「媒体調査」とその分析を行いました。
これから行う分析では、「マッチングアプリA社」を自社、「マッチングアプリB社」を競合社と仮定。
「推定出稿インプレッション」と「推定出稿費」の2つを指標に、「広告主」や「商品銘柄」「メディア」「トレンド」を切り口とした出稿状況を競合企業と比較していきます。
2.[媒体調査事例1] 推定出稿費から競合の戦略を予想する
競合社がどの程度の予算を広告費に割いているのか、多くの担当者が気になる点ではないでしょうか。
1つ目は推定出稿費から自社と競合の出稿量やボリューム感に着目する分析を行ってみました。
【図2】の2023年11月における推定出稿費をみると、自社の「マッチングアプリA社」の推定出稿費は22万円ほどですが、競合の「マッチングアプリB社」は空白=0円と全く出稿していませんでした。
一方で翌月の12月の推定出稿費をみると、「マッチングアプリA社」は0円と全く出稿していないことに対して「マッチングアプリB社」の推定出稿費は8万円ほどで、前月と出稿有無が逆転していることがわかります。
これを過去のデータも踏まえて比較したときに例年この傾向があることがわかれば、対抗して「12月」に出稿を検討したり、12月の予算確保が難しい場合には11月に出稿量(ボリューム)を増やして差をつけるなどの検討ができるようになります。
推定出稿費から競合の戦略を予想することで、自社にとって適切な出稿時期やボリュームなどの出稿計画の参考にすることができるのではないでしょうか。
3.[媒体調査事例2] 出稿実績のある媒体から狙うユーザーを決める
次に「特定のサイト・媒体に注力して出稿」しているのか、それとも「複数のサイト・媒体に横断的に出稿」しているのか、両社が出稿している媒体に着目して分析してみます。
【図3】では、3ヶ月の間に自社である「マッチングアプリA社」はFacebookとInstagramに、競合の「マッチングアプリB社」はYouTubeのみに出稿していることがわかります。
この結果から、競合の「マッチングアプリB社」は「特定のサイト・媒体に注力して出稿」していることがうかがえます。「マッチングアプリA社」が出稿媒体の追加を検討していれば、競合社が利用している媒体を把握することで出稿先の検討材料となります。
また、あえて競合社が出稿している媒体を避けて「複数のサイト・媒体に横断的に出稿」し、別媒体のユーザーを狙うといった作戦を立てることもできるでしょう。
このように、分析の角度によって媒体検討の際に攻めるべきポイントが明確となるため、自社の媒体戦略の差別化もしやすくなるのではないでしょうか。
4.まとめ
自社の出稿状況が大きく左右される競合調査におけるポイントをおさらいします。
競合他社の推定出稿金額がわかることで、戦略を予想することができるため、予算配分の調整に活かしたり、社内の予算増額などの説得材料としても活用できます。
さらには出稿実績のある媒体を横並びで比較することで、狙うユーザーを決めて攻めるべき媒体を明確にすることができるため、媒体戦略のさらなる差別化につながります。
今回の分析に用いたサービス「digiads」は、約500の主要サイト・アプリを日々クローリングし、掲出されている広告を収集しています。
また、「どの広告主の」「どんな素材、クリエイティブが」「いつ」「どの媒体で」「どのくらい」出稿されたのかを様ざまな切り口から分析できる点も特徴的です。
もしご興味お持ちいただけましたら、お気軽に以下よりサービス資料をダウンロードいただくか、お問合せください。
【本記事で紹介したサービス】
サービス名:ビデオリサーチ「digiads」(デジタル広告統計)