タレント起用によるCM認知押し上げ効果はどのくらい?~広告出稿における認知度アップの必要要素を考える~
- この記事はこんな方にオススメ!
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- テレビCMや動画広告のクリエイティブ制作業務に携わっている方
- テレビCMや動画広告の出稿量と認知率の関係性が知りたい方
- テレビCM効果の現状を把握したい方
ビデオリサーチ「24年CM露出タレントランキング(確定版)」によると、2024年に最もテレビCMでの露出が多かったタレントは綾瀬はるかさん(約34万秒)、そしてテレビCMタレントとして起用された社数が最も多かったのは川口春奈さん(29社)でした。
綾瀬さん、川口さんともに言わずと知れた人気タレントですが、テレビCMに1社起用されるにあたり、相応の出演料が払われているものと想像されます。それはきっと、一般市民にとっては途方もない大金であることでしょう。
これから(もしくは今後も)タレントを起用したテレビCMの制作を検討されている方にとっては、出演料と引き換えに得られる広告効果がどのくらいあるのか?というのも気になるところなのではないでしょうか。
そこで本記事では、2,500素材以上のテレビCMを統一フレームで調査し、蓄積した知見を1冊の"辞書"としてまとめたビデオリサーチ「クリエイティブカルテスペシャルレポート」より、代表的な広告効果指標の1つである「認知」効果にフォーカスを当て、
・CM出稿における認知度アップの必要要素は何か?そして
・タレント起用によりどの程度CM認知の押し上げ効果があるのか?
を探っていきたいと思います。
1.認知との相関が高いのは「タレント」と「強い好意」
まず、テレビCMの出稿における認知度アップのための必要要素は何か調べてみます。
【図1】は、「クリエイティブカルテスペシャルレポート」で取得しているテレビCMの評価項目:全36要素(認知や好意、購入意向などの総合評価指標12+出演者や音楽、舞台などの構成評価指標6+親しみやすい、しつこいなどのイメージ指標18)のうち、CM認知率との関係性が強いものを相関係数を用いてランキング形式で示したものです。
正の相関が見られた項目は、
・テレビCMに出演しているタレントが印象に残った、と答えた人の割合を示す「出演者やキャラクター」
・テレビCMを見て「このCMがとても好き」と答えた人の割合を示す「CM好意度(とても好き)」
の2つでした。
15秒程度の動画であるテレビCMを見て「とても好き!」と視聴者に感じさせることは結構ハードルが高いと感じる方も多いと思われる一方、「出演者やキャラクター」であれば、ビジネス上の交渉で担保できる部分が大きいと考えられます。
やはり、テレビCMの出稿により認知をとりたい、と考える企業にとっては「出演者やキャラクター」をしっかり吟味して、狙いたいターゲットへの知名度があるタレントを選ぶことが肝要と言えそうです。
ちなみに1:相関係数とは?
2つの要素の関連性がどのくらい高いかを「-1.0~1.0」の間で示すスコアを「相関係数」と言い、より「1.0」に近いスコアであることを「正の相関がある」と表現します。正の相関は、1つの要素がプラスにスコアアップするほど、もう一方の要素もプラスにスコアアップすることを意味します。
おおよその目安ではありますが、一般的に相関係数が0.4以上ある場合「正の相関がある」と判断されることが多いです。【図1】にある通り、相関係数が0.4以上あるのは「出演者やキャラクター」と「CM好意度(とても好き)」の2つなので、この2要素がスコアアップすると、比例してCM認知率のスコアアップにもつながりやすい、と言えます。
ちなみに2:狙いたいターゲットへの知名度があるタレントを調べるには?
ビデオリサーチでは、タレントの知名度(認知度)や人気度、イメージを定点調査している「タレントイメージ調査」を実施しています。特定のタレントをピックアップしたターゲット別認知度調査結果を最短2営業日でご提供できますので、詳細はこちらをご参照ください。
2.人気タレントVSノンタレ、CM認知はどのくらい変わる?
ここからが本題です。
多くの人に知られ、愛される"人気タレント"とそうではない人では、起用されたテレビCMの認知率にどう影響を及ぼすのでしょうか。
【図2】は、出稿量(個人GPR)とCM認知率の関係性を人気タレントか/ノンタレか、で比べたものです。
ここで言う「人気タレント」は、ビデオリサーチがタレントの人気度や知名度を定点的に調査している「タレントイメージ調査」にて人気度30%以上を獲得した方、「タレントイメージ調査」掲載対象外の方(広くは知られていない方)を「ノンタレ」と定義します。
例えば1,000GRP出稿した場合、CM出演者が人気タレントか/ノンタレかでは認知率に平均15ポイントの差がつきます。出稿量が多いほど、その差は少しずつ増えていく傾向にありました。
3.人気タレントを起用したほうが、認知獲得のコスパが良い?
前章で述べた「15ポイント」という認知率の差は、CM出稿においてどのくらいのインパクトがあるのでしょうか。効率を見るべくコスト換算してみたのが【図3】です。
仮に、とあるキャンペーンにおける人気タレント起用コストが<5,000万円>、それ以外のコストが<1.5億円>だったとします。ノンタレ起用時はタレントにかかるコストを<0円>とした場合、単純計算ではノンタレ起用のほうが5,000万円お得、ということになります。
ただ、「出稿後の認知をとる」という広告効果観点で見た場合、人気タレントを起用すれば1,000GRPの出稿で平均39%の認知(【図2】)が獲得できます。一方、ノンタレだと24%(【図2】)なので、総コストを獲得認知で割った「認知率1%獲得あたりのコスト」は人気タレントを起用したほうが100万円以上安くなりました。
上記は考え方をご紹介するための単純化させた事例です。実際のCM出稿にかかるコストは皆さんのお手元で計算していただければと思いますが、人気タレントの起用と総コストの兼ね合いでうまくバランスをとった貴社に合うプランを作成するための参考になれば幸いです。
4.認知以外のKPI指標との相関を調べるには
いかがでしたか?
「クリエイティブカルテ スペシャルレポート」では、多くのテレビCM素材を調査してきた結果を活かし、Norm値という形で目安になるスコアを作り出すことでこれからのCM制作やキャンペーンプランニングにお役立ていただけるよう"辞書"のように様ざまな情報をまとめております。
ご興味お持ちいただいた方は、お問合せいただくか、以下よりサービス案内資料をダウンロードください。
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【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「クリエイティブカルテ スペシャルレポート」
・対象地区:関東
・調査対象者:関東在住15~69歳男女(中学生除く)
・対象素材:2021年~2024年に実施した約2,500本分のテレビCMクリエイティブ調査対象となったCM素材