未成年にターゲティングしたくない広告は、本当に「当たっていない」のか~第三者計測によるオンターゲット率検証結果より~
- この記事はこんな方にオススメ!
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- バナー広告や動画広告などのディスプレイ広告を出稿することがある方
- 若年層へのデジタル広告ターゲティング精度に興味がある方
- オンターゲット率の向上を目指したい方
1. 未成年へのターゲティングは、「当てたくない」意味を持つ
多くの人々が考えるデジタル広告の強みは、何と言っても「ターゲティングができること」でしょう。
高級外車の宣伝は一定以上の年収がある成人に、インスタ映えするスイーツ店の宣伝は普段インスタでスイーツ系を検索していそうなZ世代に・・・など、宣伝したい商材のターゲットを狙い撃ちすることで、少額予算からでも効率的に宣伝ができますね。
上記の例は「宣伝商材を知ってもらったら、より反応しやすそうなのでターゲティングする」という意図で行われていますがその逆、「宣伝を見てほしくないから除外する」という意図でターゲティングが使われることもあります。
「ターゲティング除外」「除外オーディエンス」などと呼ばれるこの"ターゲティング"は例えばこんなシーン(【図1】)で使われています。その中でも皆さんがもっとも想像しやすいのは「未成年者をターゲティング対象から除外する」という点ではないでしょうか。
本記事では、デジタル広告のターゲティング状況を第三者計測できる「DAR(デジタル広告視聴率)」を使用し、未成年者をターゲティング対象から外して実際に配信した結果をご紹介します。
2.実験調査概要
今回の実験調査は以下のように行いました。
■配信媒体
...2つのADNW(アドネットワーク)を使用。(以降、「媒体A」「媒体B」)。
■ターゲティング設定
...広告を当てたくない"未成年"を「17歳以下(13歳以上)」と定義し、通常ターゲティングの年齢設定がどのように影響するかを検証するため、「18~44歳男性」「18~44歳女性」「45~64歳男性」「45~64歳女性」と4つのターゲットグループを設定。
■使用クリエイティブ
...バナー6種(1200×1200/1200×628/2400×1256)
■宣伝内容
...「DAR(デジタル広告視聴率)」の分析事例を紹介したウェブ記事(https://www.videor.co.jp/digestplus/article/79597.html)への誘導
■配信期間
...2024年11月11日~2024年12月13日
※記事中での特定を避けるため、一部スコアを実際値から変更して記事内に掲載しています。
3.若年層ターゲでも高年層ターゲでも、未成年には「当たっていない」
早速、調査結果を見ていきましょう。
DAR(デジタル広告視聴率)では、専用のタグを実装することで実際に広告がどの性年代にリーチしたかを客観的に計測することができます。
【図3】は、媒体A、Bそれぞれでのデジタル広告配信により、どのような性年代にリーチしたかをDARで計測し、構成比でまとめたものです。
結果としては、未成年により年齢が近い「18~44歳」のターゲットグループも、「45~64歳」のターゲットグループも、いずれも未成年のリーチはほぼゼロとしっかり未成年がターゲティング除外できていました。
男女による差もなく、この結果を見ると「デジタル広告の年齢ターゲティング精度はかなり高い」という印象を受けます。
未成年には当たっていないが、ターゲティングしていない「成年」には...
しかし、「18歳以上」の"成年"に限定して、ターゲティング精度を同じグラフで見てみると(【図4】)、赤枠で囲った「狙いたいターゲット」に実際にリーチできた割合=オンターゲット率は高くても5割以下、多くが2割前後という結果でした。
たとえば媒体Aにおける「18~44歳男性」ターゲティンググループで、実際に18~44歳男性にリーチできていた割合≒オンターゲット率はわずか11.3%にとどまります。性別違い(18~44歳女性)が45.3%と多いため、18~44歳という年齢だけで見ると11.3+45.3=56.6%と半数強は狙った年齢層にリーチできていますが、それでもオンターゲット率は低いと感じさせる結果となりました。
そして、この"成年"へのオンターゲット率は媒体やターゲットグループによりばらつきが多く見られました。広告を出す際には、自社がターゲットとする年齢層へのオンターゲット率が高められる媒体はどこなのか、DARを用いて検証を重ねることで広告主様ごとの最適解を出していく必要がありそうです。
4.PCとスマホではターゲティング精度に違いはあるのか
ターゲティング精度には3rd party Cookie規制も影響するとよく言われますが、デバイス別に見て未成年へのターゲティングにも影響はありうるのでしょうか。
【図5】は媒体Aを「PC」「スマホ・タブレット(モバイル)」に分けて、未成年へのオンターゲット率を確認したものです。これを見る限り、デバイスごとに分けてもオンターゲット率はほぼゼロに変わりなく、媒体Aでは特に違いはなさそうです。
一方媒体B(【図6】)では、ほんのわずかながらモバイルでは未成年へのオンターゲット率に違いが見られました。
といっても構成比でみると「1%」や「2%」という"ほぼゼロ"には変わりないのですが、これを%ではなく人数ベースで見ると、PCの場合は数十人というレベルがモバイルになると1500人~2000人で、数十倍~100倍近くあがっています。
今回は広告予算の少ない実験調査であるゆえこの程度の人数でしたが、数百万~数千万円規模の大規模キャンペーンを行う場合は、未成年への広告リーチがもっとあがる可能性も十分に考えられます。
5.オンターゲット率は第三者計測で定期的に"健診"を
本記事では、ターゲティング精度について中立的な検証を行った結果をご紹介しました。
今回は未成年へのターゲティング除外についてみていきましたが、
「自社のターゲットにしているZ世代へのオンターゲット率が高い媒体を調べたい」
「シニア層へのターゲティングがしっかりできているか確認したい」
など、オンターゲット率の検証は「DAR(デジタル広告視聴率)」にてタグ1本の実装で実施できますので、ご興味ございましたらお気軽に以下よりサービス案内資料をダウンロードいただくか、お問合せください。
【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「DAR(デジタル広告視聴率)」
※DARはNielsen/ニールセンデジタル社との協業によりビデオリサーチにて販売代理している商品です。