インフォマーシャル視聴による来店効果を可視化、そしてテレビ×リテールメディアのクロスメディア効果に迫る
【事例】福島テレビ株式会社
テレビCMよりも時間が長く地元ならではの情報を伝えるインフォマーシャル。この視聴をきっかけに取り上げられた施設・店舗を訪れたことがある方も多いのではないでしょうか?
今回は、福島テレビ株式会社(以下、福島テレビ)にご協力いただき、インフォマーシャル視聴による来店効果をログデータで可視化しました。
店舗紹介インフォマーシャルで店舗にやってくるのか??
福島テレビでは2024年11月の1か月間に、大手飲料メーカーと県内流通店舗のインフォマーシャルを合計50本OAしました。今回はその店舗への来店を、インフォマーシャルの視聴者と非視聴者で比較して、来店送客効果を検証します。
テレビ視聴と来店・来場の関係を分析するlog-BLS(ログ・ブランドリフト)
今回の検証に用いた「log-BLS(ログ・ブランドリフト)」は、当社の子会社Resolving LABの視聴ログとunerry社の人流データ(Beacon Bank)を用いて、行動ログで効果を可視化する仕組みです。(図表1)
log-BLSの詳細はこちら:https://www.videor.co.jp/service/communication/effect-measurement8.html
これを用いて、インフォマーシャルの放送時点の視聴者が、それぞれ店舗へどのくらい来店したのか。オンエア後1か月間での来店を視聴者と非視聴者で比較しました。
インフォマーシャルで来店は促進されたか??
インフォマーシャル視聴者の視聴回数ごとに、非視聴者の来店率と比較し、来店率が非視聴者の何倍だったかを確認しました。(図表2)
インフォマーシャル1回以上視聴者は非視聴者の1.07倍来店する結果でしたが、視聴回数が上がるごとにこの倍率は上昇する結果でした。
視聴回数11回以上までは概ね倍率が伸長しますが、13回では1.82倍と11回以上と大きな差は見られません。11回の接触まで来店を促進させることがわかります。インフォマーシャルは1回だけでなく複数回視聴することで、より効果が高まると考えられます。
リテールメディアとテレビのクロスメディア効果に期待!
流通店舗では昨今、リテールメディアとして購買を狙う広告展開が盛んになってきました。店舗への来店が促進されると、その効果もより高まります。そこに一役買うのがテレビです。
先ほど見たテレビインフォマーシャルの来店促進効果と掛け合わせると更なる効果が期待できますが、どの程度効果が高まるのでしょうか?
当社の特許分析技術『クロスメディア推計』(※)を用いて、リテールメディアの出稿にテレビインフォマーシャルなどの広告を組み合わせた際に期待できるリフト効果を推計しました。
『クロスメディア推計』では、当社の生活者データベース「ACR/ex」を用いて、店頭とテレビの両方を利用する人のテレビCM・店頭広告いずれかに接触したことによる態度変容を算出します。同様に、店頭広告だけの効果として、店頭利用者の店頭広告接触による態度変容を算出します。これらの態度変容の差は、店頭とテレビの重複接触で期待できるリフトと考えられます。ここでは態度変容を「購買(広告を見聞きして、実際に商品やサービスを購入(利用)したことがある)」に設定し、今回取り上げた流通店舗利用者の店頭広告に対して、テレビCMをクロスさせた場合の期待リフトを可視化しました。(図表3)
すると、購買への効果は3.8倍高まることが期待される結果でした。リテールメディアで購買促進を行う際は、テレビでのコミュニケーション施策との組み合わせを検討することで更なる効果アップが期待できそうです。
今回は、テレビインフォマーシャルの来店送客効果を検証しました。テレビは店舗への来店を促進させることが明らかになりましたが、一歩踏み込んで店舗でのコミュニケーション施策とテレビでの施策を組み合わせることで、更なる効果が期待できるのではないでしょうか。クロスメディアコミュニケーションが一般的である昨今において興味深い示唆が得られました。(図表4)
今後もテレビのもつパワーを多角的に検証・研究していきます。ぜひご期待ください。
<謝辞>
今回の検証・研究の遂行にあたり、福島テレビ株式会社 未来開発部 村上洋平氏、東京支社営業部 星勝太氏に多大なご助言、ご協力いただきました。ここに感謝の意を表します。
<参考>
※「クロスメディア効果推計」特許番号:第7329708号(情報処理装置、及び情報処理方法)
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