【ACR/exアカデミックサポート:一橋大学】リアルなデータが学生の知的好奇心を刺激!授業を超え、学会カンファレンスにて発表!

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生活者データ
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【ACR/exアカデミックサポート:一橋大学】リアルなデータが学生の知的好奇心を刺激!授業を超え、学会カンファレンスにて発表!

【事例】一橋大学

写真左: 経営管理研究科・商学部 教授(データ・デザイン研究センター長) 鷲田祐一氏
写真右: 経営管理研究科・商学部 講師 徐文臻氏

1875年に森有礼が私設した商法講習所を起源とし、日本で最も伝統のある社会科学系研究大学として常に学界をリードしてきた一橋大学。「世界最高水準の教育研究活動が見込まれる国立大学」として、現在は指定国立大学の認定を受けるに至っています。大学の核ともいえる商学部では、厳選なる学内選抜を潜り抜けた約30名が受講できる特別講義「データ・デザイン・プログラム」を2021年度から実施。このプログラムのデータ教材として2023年度から活用されているのが、「ACR/ex アカデミックサポート」です。「消費者の声を聞くことは、マーケティングの基礎。学生たちに、本物の大規模消費者データに触れてもらいたかった」と語る一橋大学 経営管理研究科・商学部の教授・鷲田祐一氏と、講師・徐文臻氏に、導入の経緯やご活用状況、その成果、学生の反応などを伺いました。

  • 【導入目的】

    母集団代表性に偏りのない大規模調査データベースを活用し、データ・デザインを学ぶ学生に消費者のリアルな反応を知る機会を与えたい。

  • 【課題】

    ・予算の関係で、大規模消費者データを教材として扱うことができなかった。
    ・過去の調査データやサンプルデータを使うことが多く、自分の興味や社会とのつながりを感じながら探索的に分析するスキルを磨く機会が少なかった。

  • 【効果】

    多彩なデータの中から各自が興味のあるジャンルを見つけ、自主的かつ探索的な分析を行うことで、気づきや発見の多い学びを得ることができた。
    ・独自性のある研究テーマ・解の導き方が生まれ、1年間で3件の学会発表を成し遂げた。
    ・次年度の課題を学生自身が見つけ、リアリティのある学びを発展的に継続できる。

データとデザインを連結させた思考を育み、課題解決能力を育成する特別プログラム

大学で担当されている分野や、「ACR/ex アカデミックサポート」を導入している授業について教えてください。

鷲田 私は、一橋大学の経営管理研究科・商学部ではマーケティングを専門領域とし、「データ・デザイン・プログラム」という特別授業を担当しています。この授業の目的は、データ・サイエンスとデザイン思考の知識を連結させ、新しいタイプのイノベーション人材を育成すること。学内選抜を通過した30名程度の学生が、2年生から4年生までの3年間を通して学びます。

講義テーマは、「新商品開発基礎」「デザインの基本」「デザイン思考とデザイン経営」などがあり、そのほかにプロジェクトベースドラーニング型の「ワークショップ」を開催しています。このワークショップは、データの活用とデザイン的発想を融合させて取り組むもので、学生はいくつかのグループに分かれ、企業や自治体などからお借りした素材を活用した課題解決のための提案や、提案を具現化するためのプロトタイピングを行います。観光開発の提案からVRなどの技術的な領域まで、テーマが幅広いのも特徴です。

私はこの授業の講師をしています。自分自身の専門分野は、社会心理学と計算社会科学です。データ分析の一般的なアプローチは、ある課題に対してまず仮説を立て、その仮説を検証するためにデータを収集し、分析するといったプロセスを踏みます。しかし、商学者としては、最初に仮説を立てず、膨大なデータの中から疑問や課題を見つけ、その後もいろいろ試しながら分析・考察を深めていく経験はとても重要だと考えています。そのため、このプログラムでは学生自らの発見を積み重ねることに主眼を置いています。

大規模かつ多彩な調査項目のリアルなデータで、自分の興味関心や社会とのつながりを感じる

「ACR/ex アカデミックサポート」の導入を考えられた背景やきっかけを教えてください。

鷲田 私は常々、「マーケティングの基本は、消費者のリアルな声を聞くこと」だと考え、その点においてデータの母集団代表性、つまりサンプルの規模の大きさは非常に重要だと思っています。今はさまざまな調査がインターネット上で行われていて手軽に入手することはできますが、サンプルが少ない調査データだと統計的に偏りが出てしまうんです。

以前から「データ・デザイン・プログラム」では消費者調査データを扱っていたものの、予算の関係で、"大規模な"消費者調査データは導入できなかったという現実があります。分析方法を学ぶだけでしたら問題ないのですが、ワークショップでは、自分の興味関心や社会とのつながりが感じられるリアルなデータを学生に触れさせたいという思惑があったんです。

そうですね。大規模消費者データは使いたいとずっと思っていました。学生自らの発見を促すためには、サンプルの規模に加えて調査項目が多いことも必要になります。そうなるともう、選択肢は「ACR/ex」だけですよね。

鷲田 そこで、2023年2月に、ビデオリサーチさんに「ACR/ex」の利用を相談しに行ったのがきっかけです。当時は「アカデミックサポート」は存在していなかったので、通常版の利用を考えていました。とはいえ、予算との兼ね合いで導入は難しいとは思っていました。ですが、「ビデオリサーチさんなら、もしかしたら何か解決策があるかもしれない」という期待を持ってご相談しました。

そうした状況の中、まさにそのタイミングで「ACR/ex アカデミックサポート」がスタートするとお聞きしまして。大変ありがたいですよね。もちろん、「ぜひ、来年度から使わせてください」とお話しました。

"データの海"で探索的な分析を繰り返し、学生自らが発見して学びを深める

実際に授業では、「ACR/ex アカデミックサポート」をどのように活用されているのでしょうか?

鷲田 最初に「ACR/ex」の使い方を簡単に説明し、「後は、自由に触ってみてね」というスタイルでした。「ACR/ex」には本当にたくさんの調査項目があります。一度、この"データの海"に学生を放り込んで、自由に体感しながら自分が何に興味を持つのかに気づいてもらうのが大切だと考えたんです。

その結果、例えば、街に興味を持っている学生は、「どの街にショッピングに行ったか?」という調査データに注目しました。さらにそれらを分析にかけたところ、「意外な街同士に共通点がある」「街の立地や印象は全く違うのに、同じような属性の人が活動している」ことを突き止めるなど、少しずつ学生の学びに変化が現れてきました。

そういった"気づき"を重ねて、2023年度は日本マーケティング学会でのポスター発表を成し遂げたと聞いています。

鷲田 そうですね。「ACR/ex アカデミックサポート」を導入し、1年間で3つのチームが学会でポスター発表をしました。学会は学部生にとって相当ハードルが高いと思うのですが、非常に良い経験になるのではと考えて後押ししました。

その一つが、「東京の街の個性と訪れる人々の購買意識」をテーマにした発表です。これは、先ほどお話しした、街の共通点に関するもの。「休日の来街者が持つ購買意識」を「ACR/ex」にある20項目で調査し、共通した特徴を持つ街を6つのグループに分けて考察しています。生活者の意識や製品の所有状況など、多角的なデータが揃っている「ACR/ex」を活用したからこそ成し得た研究ですよね。

また、「日本におけるiPhoneシェア率の高さに関する研究」では、どのような理由でiPhoneを選んでいるのかをかなり深掘りしていました。「ACR/ex」のデータから、例えば「個人情報の管理などで不安に感じる」「面白い情報は周りに話したくなる」「最低限の情報を知っていれば十分である」などの質問に対する回答をiPhoneユーザーとAndroidユーザーで比較し、考察・結論につなげています。マーケティングというより社会学の視点でまとめていたのが印象的でした。

「CM表現の好み」に関する研究の継続が決定!来年度はオリジナルCMの制作も視野に

導入後の効果についてお聞かせください。

学会発表を実現した3つ目の研究から、次年度以降に続く新たなテーマが見えてきたのは大きな収穫ですね。この研究は、「より効果的なCMとは?」という学生自身の疑問を掘り下げたもので、一般消費者の「TV CMに対する表現の好み」を分析。さらに、現在放送中のCMの質も分析し、それらの結果を比較してまとめています。学生の中から「このテーマを今後も続けていこう」という声が挙がり、来年度は3チーム合同でこのテーマに挑むことになりました。具体的な方向性も学生同士で話し合い、「最終的な目標として、一橋大学のCMをつくろう!」と、広がりを見せています。

鷲田 学生たちは4月に「ACR/ex」に出会って、何もわからないところからいろいろいじって。到底全部は見切れないほどの項目の中から、自分たちで興味のある課題を見つけるまでに、半年ほどかかっているんですけれど......。それでも、この1年間で学会発表が3件も達成できたのは、凄いことだと思います。

学生たちは、統計や分析の基本的な知識は持っているものの、やはりこれだけのボリュームのデータを目の当たりにして、最初はとても戸惑っていたようです。どこから手をつけていいのか分からないというのが正直なところでした。

ですが、テーマを探し出し、3つのグループに分かれて活動を始めた後は、お互いの知見やノウハウを共有するなど、新しい使い方を教え合うようになって。そのうち、各グループともどんどん活気が生まれましたね。

2024年度は、「生活行動」「タレントイメージ」のデータを追加して活用されると聞いています。

鷲田 学生の興味がありそうなテーマのデータを追加したいと、ビデオリサーチさんに相談したんです。2024年度はほかにも、さらに発展的な使い方をビデオリサーチさんにレクチャーしていただく機会を設けるなど、有機的に関わらせていただければと考えています。

「ACR/ex アカデミックサポート」の導入から2年目となり、学生は「興味のある項目を、より深掘りしてみたい」という欲求が大きく芽生えています。同時に、大規模消費者データに対する理解がより深まって、「そもそもマーケティング調査って何だろう」「どうやって調査しているんだろう」「こんなにきれいなデータは貴重だ」などということにも気づく頃だと思うんですよね。普段、自分たちが独自でやっている調査がいかに穴だらけであるのか。身をもって思い知ることになるはずです。

「ACR/ex アカデミックサポート」を導入したことで、学生たちは本当にさまざまなことが実感できると思います。こういった、自らの多くの発見から、次なる学びの一歩が生まれるのではないかと期待しています。

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