時系列データから分かること~基本概念と活用シーン7選
- この記事はこんな方にオススメ!
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- 業務上時系列データ分析を行うことがある方
- 経年でのトレンド・動向変化を分析してみたい方
- 恒常的に利用できるマーケティングデータベースをお探しの方
1.時系列データ=「時間の経過が分かる定点取得データ」
時系列データとは、文字通り「時系列」という時の流れが分かるよう、連続して定点的に取得しているデータ群のことを指します。「定点調査」といった調査種類として呼ばれることもあります。
「定点的」は、同じタイミングでデータを取得することです。わかりやすい例のひとつが、気象庁が毎年発表している「桜の開花日」です。東京管区で桜が開花したか/満開になったかの判断は、千代田区・靖国神社にある"標本木"と呼ばれる特定の木を基準としています。気象庁が毎日"定点的に"靖国神社の桜を観察し、開花や満開の判断結果を出すことによって「例年よりどのくらい早かったか/遅かったか」を比較できます。
2.時系列データからわかること
1.季節や時間の変化
前述の「桜の開花日」だけでなく、気温の変化(今年は例年より暑い?寒い?)や日照時間の変化(夏至に比べて冬至は日照時間がどのくらい少ない?)など、季節にまつわる時系列データは皆さんが日常的に接するデータの代表例といえるでしょう。
季節や時間、天候や気温に左右されるビジネスは多岐にわたります。例えば、暑い日が続きそうであれば食品を扱う企業はアイスやコールドドリンクの取り扱いを増やすでしょうし、イルミネーションの催しを行う娯楽施設では、日の入り時間を見てイルミネーションの開始時間を設定していることでしょう。時系列データの中でも、日常的にチェックすることが多いタイプのデータといえそうです。
2.周期的な変化
これも天候の例になりますが、夏の暑さに大きく影響を及ぼすエルニーニョ現象/ラニーニャ現象は3~7年周期でやってくるとされています。時系列データを取得することで、定期的に「ある/ない」や「強くなる/弱くなる」波が訪れる頻度がどのタイミングなのかを推定できます。
このような周期的な変化は、例えばエルニーニョ現象が起きそうな年は暑くなるので、夏物のアイテムを早めに店頭に用意しておこう、夏物コーナーのスタッフを増やしておこうといったビジネス上の判断材料とするシーンなど、商品の需要予測や店舗の人員配置でも多く活用されています。
3.不規則な変化
逆に、周期的"ではない"不規則な変化に気づくことができるのも時系列データから分かることのひとつです。
3~7年周期で訪れるはずのエルニーニョ現象が5年連続で訪れるようなことがもしあったなら、そのときは「異常気象」なのか、「周期が変わったのかもしれない」のかと多くの気象学者が原因究明に動くことになるでしょう。
不規則な変化は、日常生活やスポーツ・医療の面でも活用されています。
例えば、電気や水道などのインフラ設備においては、周期的な変化データから「今の時期の場合、例年通り利用量は〇〇くらい」と予測できます。
これが例年よりも異常に多い/少ない"不規則な変化"がみられた場合、市民の日常生活に支障をきたすリスクが出てくるため、あらかじめなにかしらの備えができます。その意味で、時系列データのチェックは非常に重要です。
また、アスリートや患者の体調やパフォーマンスの管理という点でも時系列データが使用されています。
アスリートを例にすると、練習でのパフォーマンス(例:100m走が普段は10秒で走れるのに今日は12秒かかった)を細かく記録していくことでトレーニングの効果や怪我のリスクを評価し、最適なトレーニングプログラムを作成することができます。
4.無変化
変化が「ない」ということが分かるのも時系列データの特徴のひとつです。
前述のインフラ設備の例でいえば、電気や水道は「異常」という変化なく、安定的に供給し続けることがとても大事ですよね。このように、変化(異常)がないことを確認するためにも時系列データが使われます。
5.パラダイムシフト
あるタイミングで急にグッと売上があがったり、インスタやX(旧Twitter)などでのハッシュタグの数が増えたりしていることに気づけるのも時系列データの特徴です。
流行やトレンドを早めにおさえるのはもちろんですが、企業としては、いち早く、市場におけるパラダイムシフト(時代や市場における革命的な変化の予兆)を捉え、自社のビジネスをどう絡めていくかを考えるきっかけとすることができます。
6.法則
時系列での変化を見ていくことで、「こういうときにこうなる」という法則を見つけ出すことができます。
例えば、筆者は片頭痛持ちなのですが、天気が悪くなると頭痛が起きやすいということはなんとなく分かっていました。が、アプリを使って片頭痛が出た日を記録していったことで、自分は「気圧が急激に下がった後・・・ではなく、天候が回復傾向となり急激に上がっていくタイミングで頭痛が起きやすい」ということが最近分かりました。
これも気圧の変化と特定の事象を毎日時系列で記録していくことで発見した「法則」といえます。
複数の時系列データを組み合わせることで新しい法則を見つけ出し、ビジネスに応用することもできるでしょう。近年ではAIの発達により、多数のデータから法則を作り出し、最適解を導き出してくれるサービスも増えてきています。
*ただし、AIの場合は「なぜそのような最適解になったのか」という法則そのものの答えはわからないケースが多いです。法則そのものを導き出したい場合は、データサイエンティストなどの専門家が分析を行うほうが向いている場合もあります。
関連サービス)
ビデオリサーチの「データ活用コンサルティング」では、データサイエンティストやコンサルタントがパートナーとなり、貴社のコミュニケーション事業における最適解の創出をサポートいたします。
7.施策に対する効果検証
最後に紹介するのが、施策を行った後の効果検証です。
企業が自社商材の売上をUPさせるために行う施策として、
・特定期間だけセールを行う
・今週1週間だけ、店頭入り口に特設コーナーを設けて自社商材を目立つようにする
・テレビCMやデジタル広告などの宣伝キャンペーンを行って、自社商材の露出を増やす
など、いろんな施策がありますが、これらが実際にどのくらい売上に寄与したのかを計測する際に必要なのが時系列データです。
簡易的な計測方法は、「施策を実施する前」と「実施した後」という2時点の時系列データで比較する方法です。この方法はブランドリフト調査と呼ばれ、ブランドとしての価値がどのくらいリフト(上下)したのかが分かる手法として多く用いられています。
中長期的に見ていくには、売上の変化を毎日/毎週/毎月などの粒度で、定点的かつ時系列で取得することが望ましいです。何度か施策を繰り返し、その施策ごとの売上の変化を複数記録することで「法則」を見つけ、施策の最適化を目指すことができます。この方法はマーケティング・ミックス・モデリング(MMM)と呼ばれ、施策手法が多様化する現代において、近年注目されています。
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MMMって何?という方におススメ!
3.時系列分析できるマーケティングデータベース「ACR/ex」
本記事では、時系列で取得するデータがどのようなシーンで活用されているのかを紹介しました。
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【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「ACR/ex」