「YouTube(動画)」と「テレビ」が推し活の主軸に ―2024年「推し活」の実態調査から紐解くVol2

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「YouTube(動画)」と「テレビ」が推し活の主軸に ―2024年「推し活」の実態調査から紐解くVol2
この記事はこんな方にオススメ!
  • 「推し活」について興味がある方
  • 「推し活」の実態について知りたい方

1.中高年も4人に1人は「推し」がいる時代に

ひと研究所では、昨今話題の「推し活」の実態について調査・研究を進めています。当所が2024年2月に行った調査を紐解くと、Z世代では6割、40代以上でも約4人に1人は「推し」がいることがわかっています【図1】。

※X/Y/Z世代の定義については諸説ありますが、本記事で用いた調査は15歳以上を対象としているため、Z世代を「男女15-26歳」、Y世代を「男女27-42歳」、X世代を「男女43-58歳」と定義して分析をしています。

【図1】「推し」の有無(世代比較)consumer240806_01.png

<前回記事はこちら>
中高年も4人に1人は「推し」がいる時代 2024年「推し活」の実態を調査データから紐解く

2.推し活の主軸メディアは「YouTube(動画)」と「テレビ」

前述のとおり、世代問わず多くの人が行っている「推し活」ですが、具体的にはどのようなことを行っているのでしょうか。各世代の「推し活」の行動ランキングを確認してみます【図2】。

【図2】「推し活」行動ランキング(世代比較)consumer240806_02.png

Z世代(15-26歳)、Y世代(27-42歳)、X世代(43-58歳)では推しの「無料動画視聴」が、59~69歳では推しの「テレビ番組視聴」が1位となっています。普段の生活におけるメディア利用の影響や、世代間での利用メディアに違いはあるものの、いずれの世代も映像メディアの利用がトップとなっているようです。

では、具体的に推し活にどのような映像メディア・プラットフォームを利用しているのでしょうか。推しのジャンル別にメディア接触時間(推し活で利用している時間)を確認します【図3】。

【図3】「推し活」での映像メディア接触時間(推しジャンル比較)/週平均(1日あたり) (分)consumer240806_03.png

<日本のアイドル>推しや<歌手・ミュージシャン・バンド・音楽家>推しの人をはじめ、多くのジャンルで「YouTube(動画)」の接触が最も多いことがわかります。
一方で、<スポーツ選手・チーム>推しは「テレビ」が、<日本の俳優・女優・タレント><映画・ドラマなどの実写映像作品>の推しは「録画再生」の接触が最多となっているのが特徴的です。
なかでも「テレビ」接触に注目すると、<スポーツ選手・チーム>推しのほか、<日本のアイドル>や<日本の俳優・女優・タレント><お笑い芸人>等の推し活において「YouTube(動画)」に次ぐ時間量となっており、「テレビ」も重要視されているメディアであることがうかがえます。
つまり、映像メディアの中でも「YouTube(動画)」と「テレビ」が推し活の主軸となっているといえるのではないでしょうか。
もうひとつ注目したいのが<VTuber>推しの「YouTube(ライブ、動画)」の接触時間です。他のジャンルより長い傾向にありますが、これは、「VTuber」の活動がYouTubeを基盤としており、特に長尺になりやすいライブ配信が重要なコンテンツとなっているためと考えられます。

3.推しのジャンルによってメディアの利用目的や利用方法は異なる

では、推しのジャンルによってメディアの使い方に違いがあるのでしょうか。
ここでは、「YouTube(動画)」の接触時間が最も多い<YouTuber>推しと、「テレビ」の接触時間が最も多い<スポーツ選手・チーム>推しに注目し、それぞれの主軸メディアである「YouTube(動画)」と「テレビ」の使い方についてみていきます。

①<YouTuber>推し―「YouTube(動画)」を「朝」に視聴する傾向がみられる

まずは、<YouTuber>推しの「YouTube(動画)」の利用時間帯を、一定の出現率があった他の推しジャンル(※)平均と比較しました【図4】。

※他の推しジャンル・・・日本のアイドル、海外のアイドル、歌手・ミュージシャン・バンド・音楽家、日本の俳優・女優、スポーツ選手・チーム、アニメ・漫画のキャラクター、アニメ・漫画・小説などの作品、ゲームのキャラクター、VTuber、歌い手

【図4】<YouTuber>推しの「YouTube(動画)」利用時間帯(比較)consumer240806_04.png

「YouTuber」の主な活動の場が「YouTube(動画)」であるため、いずれの時間帯も他のジャンル平均よりも高くなっており、なかでも「朝(6~9時台)」の利用が相対的に際立っていることが特徴的です。

この差を解釈するために、彼らの「YouTube(動画)」の利用目的を確認すると、「推しに関するコンテンツを見る/聴く」と「推しに関する情報収集」の2つに集中しています【図5】。
おそらく<YouTuber>推しは、夜に投稿された推しのコンテンツを次の日の「朝」に確認したり、視聴したりすることが多いと推察でき、これが「朝(6~9時台)」帯の「YouTube(動画)」の利用につながっているひとつの要因ではないかと考えられます。

【図5】<YouTuber>推しの「YouTube(動画)」の利用目的consumer240806_05.png

②<スポーツ選手・チーム>推し―スポーツニュースなど「テレビ」からの情報収集がメイン

次に、<スポーツ選手・チーム>推しの「テレビ」の利用時間帯です。こちらも同様に、一定の出現率があった他の推しジャンル(※)平均と比較しました【図6】。

※他の推しジャンル・・・日本のアイドル、海外のアイドル、歌手・ミュージシャン、日本の俳優・女優、アニメ・漫画のキャラクター、アニメ・漫画・小説などの作品

【図6】<スポーツ選手・チーム>推しの「テレビ」利用時間帯(比較)consumer240806_06.png

その結果、<スポーツ選手・チーム>推しの「テレビ」利用は、他ジャンル平均と比べ「平日の夕方~夜」と「土日の夕方」の時間帯で高くなっています。


<スポーツ選手・チーム>推しの「テレビ」の利用目的【図7】をみると、「推しに関する情報収集」が最も高く、次いで「推しに関するコンテンツを見る/聴く」となっています。

これは他の推しジャンルと比較すると順位が逆転していて特徴的な結果です。

グラフ内には他の推しジャンルのデータはありませんが、いくつか紹介すると、<日本のアイドル>推しは「推しに関するコンテンツを見る/聴く」(58.1%)が最も高く、「推しに関する情報収集」(45.5%)を上回っています。そのほかにも <日本の俳優・女優・タレント>推し 、<海外のアイドル推し><歌手・ミュージシャン・バンド・音楽家>推しなども同様の傾向です。

つまり、<スポーツ選手・チーム>推しの推し活の実態として、試合などのコンテンツだけではなく、情報収集を目的として「テレビ」を利用していることが分かります。

【図7】<スポーツ選手・チーム>推しの「テレビ」利用目的consumer240806_07.png


利用時間帯(【図6】)を改めてみると、「平日の夕方~夜」は情報収集を目的としてスポーツニュースが多く含まれている情報番組を、「土日の夕方」は試合観戦として「テレビ」視聴しているという特徴がみてとれます。特に、「平日の夕方~夜」の利用が相対的に際立っていることから、「情報収集」先として「テレビ」を重要視していることがうかがえる結果となっています。

今回の記事では、「推し活」のメディア利用実態について特徴的な結果をみてみました。ひと研究所では今後も「推し活」に関する記事をシリーズで発信する予定です。引き続きご期待ください。

また、「推し活」研究にご興味をお持ちいただけましたら、お気軽にお問い合わせください。

【ひと研究所 推し活調査2024年2月 調査概要】
調査日 :2024年2月6日(火)~2月7日(水)
調査手法 :web調査
調査エリア :全国
サンプルサイズ :4,234(SC)、1,437(本調査)
対象者属性 :男女15~69歳

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