2035年、次のシニアの時代がやってくる?!この10年のシニアの変化を振り返る

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生活者データ
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2035年、次のシニアの時代がやってくる?!この10年のシニアの変化を振り返る
この記事はこんな方にオススメ!
  • 少子高齢化や日本社会の変化に関心がある方
  • シニアに関するマーケティングや業務に関わる方
  • マーケティングデータの活用に関心がある方

少子高齢化と言われ続けて久しいですが、皆さんは"シニア"をどのように捉えているでしょうか。ひと研究所では従来「シニア価値観セグメント」を開発し発信してきましたが、改めてデータをみていくと、シニア像が徐々に変化してきていると感じることが増えてきました。そこで、今回は現在のシニアを見つめ直すきっかけとして、最新状況をまとめました。

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1.2人に1人が50歳以上の時代に。シニア構造も大きく変化する

まず、国立社会保障・人口問題研究所が公開している人口統計・推計の「人口ピラミッド」を引用して、人口構成を確認していきます。ちょうど来年にあたる2025年の推計値が(図1)です。皆さんがシニアや日本の人口構造を想像する時、この図がイメージできていたでしょうか。1970年代前半生まれのいわゆる"団塊ジュニア世代"が50歳を超えたことで、現在の日本は2人に1人が50歳以上となりました。また、かつてのシニアマーケティングで中心的な対象であったいわゆる"団塊の世代"は75歳以上となっていますが、人口構成上、現在も大きな山を作っていることが確認できます。

国立社会保障・人口問題研究所「人口ピラミッド」2025年

次に10年後の2035年の推計値をみてみます(図2)。男性は"団塊の世代"の山がなだらかになっており、人口構成全体をみると、60歳前後が大きな割合を占めていることが特徴的です。2035年における60歳前後(ここではプラスマイナス5歳でみます)は、1970年~1980年生まれの人たちです。つまり、10年後には1970年生まれの人たちが、マーケティング対象として考える"シニア"層の中心となっていきます。これから10年の日本は、この(図2)のような"次のシニアの時代"に向かっていくということを意識することが重要であると考えます。

国立社会保障・人口問題研究所「人口ピラミッド」2035年

2.この10年でデジタルメディアがシニアに浸透し、意識も変化

では、ここからは当社の日本最大級のマーケティングデータ「ACR/ex」のデータを参照し、この10年間のシニア年代の変化について確認したいと思います。 先ほどと同様に、シニア年代を60±5歳の55~65歳で定義しています。また、比較として若年層(12~29歳、30~49歳)のデジタルメディア利用のデータも掲載しています。

デジタルメディア利用状況と、特徴的な意識変化がみられたものを抜粋したのが(図3)です。

まずは、デジタルメディア利用状況です(図3上段)。シニア年代のスマートフォン利用(スマホでのネット利用をほぼ毎日する)の割合は、2024年では9割を超え、若年層とほぼ変わりません。この水準はコロナ禍前の若年層と変わらず、"現在のシニアのスマホの浸透状況はコロナ禍前の若者レベル"といえます。もちろん利用方法や内容などは異なることが推察されます。また、YouTubeやSNSなどのデジタルメディア(サービス)の利用率も大きく上昇しているのが分かります。2024年データでは、まだわずかながら若年層には及びませんが、2024年のシニア年代が2019年の若年層と同じ水準まで達していることが分かります。もちろん、各年同じ年齢定義で比較しているので、実際は生まれ年が若い人たち(若い世代)に入れ替わっていっているわけですが、"シニア"と呼ばれるような年代であってもデジタルメディアがすっかり浸透している世代になりつつあることがわかります。

続いて、意識項目で興味深い変化がみられたものをみていきます(図3下段)。まずは「ファッション意識」です。全体として、10年前の2014年と比較すると「着るものに気を使うほう」「若く見せるオシャレを心がけている」のスコアが2019年時点で既に低くなっており、それが現在まで継続しています。着るもの自体への意識や、"若く見せたい"といった志向性は、団塊の世代のような上の世代と比較すると低くなっていることは考慮しておいた方が良いかもしれません。一方で伸びているのが「情報行動・意識」です。「購入前に使用者の感想を調べる」のようなネットを駆使した情報行動の伸びはもちろん、「個人特定されないならデータを提供」といったAI時代に沿った考え方も浸透してきているようです。

シニア世代は約10年でどう変わったのか?(デジタルメディア、意識)

さらに、ひと研究所が開発した「シニア価値観セグメント」について時系列変化をみたものが(図4)です。現時点での最新データ(2023年)では、2014年と比較してセグメントの構成比に変動がみられます。まず特徴的なのは、いわゆる伝統的なイメージでの"アクティブシニア層"である「アクティブトラッド」の構成比が減少しています。一方で、身の丈に合った現実を生きる「身の丈リアリスト」が急増しています。

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シニア世代は約10年でどう変わったのか?(シニア価値セグメント)

※2014年と2019年の「ラブ・マイライフ」と「社会派インディペンデント」のスコアは同じのため、グラフが重なっています。データ確認の際はご注意ください。

減少したセグメントである「アクティブトラッド」(図5)は、 "定年退職後に悠々自適に老後を過ごそうとしている経済的に余裕があるシニア"といえますが、このようなマインドをもった人は減少し続けて、最新データでは構成比が最も少なくなっています。逆に上昇したセグメントである「身の丈リアリスト」(図6)は、好きなことをしたいという気持ちをもちつつも、経済的な事情、家庭の事情などから、マイペースに日々の生活をしている人たちです。このような変化には、60歳以上も働き続ける人が多い昨今の状況も影響していると考えられます。

この10年で構成比が大きく減少したシニア価値セグメント

この10年で構成比が大きく増加したシニア価値セグメント

※図5,6内の手書き文章や、掲載写真については、実際、調査対象者本人によるもので、その一例です

3.これからのシニアをどのように捉えるべきか

このように改めてシニアに関するデータを確認してきましたが、これからのシニアについて、どのように捉えるべきかまとめてみます。

①いわゆるステレオタイプな"お年寄り像"は、ますます通用しなくなっていく
旧来的ないわゆる"老人像"は、現代では70代、80代以上といった方々のイメージかもしれません。また"アクティブシニア"といわれていた層についても60歳前後というよりも70代以上の方がイメージに近いかもしれません。60歳前後のマーケティング対象となるシニアを考える場合、ステレオタイプな"お年寄り像"からはますます離れていく前提で考える必要があります。

②現在の社会・経済状況(定年後再雇用、共働き、経済・年金不安など)を踏まえて把握が必要
「身の丈リアリスト」の増加にみられるように、現在の社会・経済状況がシニアにも大きく影響を与えていると考えられます。必ずしもポジティブな面だけではありませんが、そういった部分も踏まえて把握することで、新たなニーズの発見などにもつながる可能性があります。

③シニアも若年層もあまり変わらなくなってきている側面もある
シニアと括って議論してきていますが、その一方でデジタルメディア利用のように、若年層とあまり違いが無くなってきている側面もみられます。デジタルメディア以外にも、"中高年も4人に1人は「推し」がいる時代"という話があるように、年齢問わず「推し活」をしている生活者も目立ち、そのような人たちの中では、行動も意識も年齢による違いはさほどない可能性もあります。過剰に"シニア"と考えすぎず、若年層も含めた生活者全体のトレンドの文脈でも理解する必要がありそうです。

中高年も4人に1人は「推し」がいる時代 2024年「推し活」の実態を調査データから紐解く

昨今、よく耳にする「推し活」。ビデオリサーチのひと研究所では、「推し活」の実態をデータを用いて紐解いていきます。今回は、世代ごとの「推し」の有無やジャンル、そしてSNSや映像メディアなどを利用した「推し活」行動の実態についてご紹介しています。

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4.ACR/exデータを用いたシニアマーケティングに注目

当社のACR/exは、生活者の「内的特性(意識・行動)」「商品関与」「メディア接触」などを中心に大規模な調査を行っています。このデータを活用することで、シニアマーケティングにおける商品やサービスの潜在顧客の把握や、メディアプランニングのための注力ターゲットの深掘りが可能です。

例えば、自社商品の潜在顧客を探ることを目的とする場合、ニーズがあるが、商品などは利用していない生活者を「潜在顧客」と定義し、詳細なプロフィールやペルソナを描くことで、潜在顧客の理解を深めることができます。

さらに、自社商品の課題を把握し、注力ターゲットを深掘りすることで、次の広告キャンペーンのためのメディアプランニングに役立てることもできます。

以上のように、これからやってくる "次のシニアの時代"に向けて、現在のシニア(広く生活者)を把握するために、またマーケティングの各局面で非常に役立つのがACR/exのデータです。

【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「ACR/ex
・調査時期:2014年、2015年、2019年、2023年、2024年/各年4-6月
・対象地区:東京50Km圏

【人口推計出典】
国立社会保障・人口問題研究所

本記事は、2024年8月30日に実施された 株式会社オースタンス主催:「国内2人に1人が50歳以上!データ起点とインサイト起点の融合 ~シニアマーケティング実践事例~」 でのビデオリサーチひと研究所のプレゼンテーション内容をもとに執筆しています。

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