国内大手自動車メーカー6社別にみる!生活者調査データによる自動車ユーザープロファイリング
- この記事はこんな方にオススメ!
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- 自動車業界における広告・マーケティングご担当者様
- 自動車のユーザー意識をもとにより良いコミュニケーションを求めている方
- 生活者調査データにご興味がある方
車離れと言われはじめて何年も経ちますが、近年ではカーシェアリングの普及やレンタカー利用の増加といった変化もあり、まだまだ自動車は身近なものとなっているのではないでしょうか。
また、自動車自体も安全性の向上とともに、様ざまな用途に合わせてメーカーごとに進化をとげている部分があります。
性能面、ビジュアル面など各メーカーがしのぎを削るなか、その自動車メーカーを選んだユーザーにはそれぞれどういった特徴があるのかを、当社が保有する日本最大級の生活者データ「ACR/ex」でみていきます。
1.自動車運転免許の保有率は?自動車の保有状況は?
まず、全国の男女18~69才の運転免許の保有割合と世帯における車の所有率をみていきます。
運転免許保有率(図1)をみると、9割近く(個人全体)が保有していることがわかります。性年代別でみると、女性に比べて男性の方が全年代で高く、特に10代と60代では男性の方が10pt以上高くなっています。また、男女ともに30代~50代では保有率が横ばいである一方、20代では30代~50代と比較して10pt以上低いことがわかります。
世帯における車の所有率(図2)は7割を超えています(個人全体)。年代別にみると、親と同居している割合も大きいと思われる10代が20代より高く、そこから男女ともに50代までスコアが大きくなっていることがわかります。
2.国内自動車メーカー大手6社の自動車使用スコア比較とメーカー別の性年代構成
では、どのメーカーの自動車が使用されているのでしょうか。ここからは、個人で使用する自動車メーカー(国内自動車メーカー大手6社)についてみていきます。
図3をみると、「トヨタ」の使用率(27%)が突出して高く、次いで「ホンダ」(17%)、「日産」(11%)と続きます。
続いて、自動車メーカーごとに使用者の性年代構成(図4)をみていきます。使用率の高かった「トヨタ」「ホンダ」「日産」では、男性の方が女性よりやや多く、個人全体の自動車免許保有割合に近い傾向です。それゆえ、広く多くの人に使用されているメーカーという印象を受けます。
最も特徴的なのは「スバル」で、男性の比率が7割を超えています。
一方、「スズキ」は男女の割合が半々で、軽自動車のマーケットにも広く展開することで女性ユーザーを、「スイフトスポーツ」や「ジムニー」といった趣味性の高い車種によって男性ユーザーを獲得していることが推察されます。
このようなメーカーごとの違いを踏まえて、メーカー別のユーザーを意識クラスターで分類※し、そのユーザー像をメーカー間ならびに個人全体と比較しながらみていきます。
※意識クラスターとは
ACR/exで取得している様ざまなデータから、「性格」「生活価値観」「情報×選択」「表現嗜好」の4つの大きなセグメントに分類し、さらにそのセグメント内でどのタイプかを分類したもの
3.自動車メーカー別ユーザーの特徴について
トヨタ
ユーザーの割合が多いことから、個人全体との差分が出ている項目が少ない傾向にあります。ただ、その中でも、「情報×選択セグメント」では「トレンドフリーク」タイプのスコアが比較メーカーの中で最も高く、新しいものや流行に敏感で情報を広く収集するユーザー像が考えられます。
ホンダ
「性格セグメント」における「参謀」の割合が高い一方で、「ムードメーカー」「自由人」のスコアや「生活価値観セグメント」の「無頓着」が低いことから、はっきりとした意思を持ったユーザーが多い印象を受けます。
日産
「トヨタ」とは逆に「トレンドフリーク」が低く、自然体の状態でどちらかと言えば情報に積極的ではない「ナチュラル低関与」が高めの傾向です。また、「表現嗜好セグメント」の「タレント重視」よりも「機能実証派」が高く、トレンドよりも機能性を求めるユーザー像が考えられます。
スズキ
「性格セグメント」の「調和」タイプが高く、また「情報×選択セグメント」では「スマート目利き」「堅実ストイック」が高くなっています。他のメーカーに比べると、低価格な車種も多い一方で走りのイメージが強い車種もある「スズキ」らしさに寄ったユーザー像ではないかと推察されます。
マツダ
「性格セグメント」の「リーダー」が他メーカーと比較して最も低く、その一方で「ムードメーカー」が最も高くなっています。また、「情報×選択セグメント」における「雑学ロジカル」、「表現嗜好セグメント」の「シンプル嗜好」も最も高く、シンプルかつスペックや機能を重視するユーザー像がみえます。「マツダ」がデザインフィロソフィーで唱えている「引き算の美学」にも通ずる部分があるのかもしれません。
スバル
「性格セグメント」では「リーダー」「調和」以外が高く、特に「研究者」は他メーカーと比較して最も高いスコアです。さらに「生活価値観セグメント」の「連帯派」「無頓着」、「情報×選択セグメント」の「ナチュラル低関与」、「表現嗜好セグメント」の「ストーリー・感性」「機能実証派」などスコアの高い部分を俯瞰すると、基本的には淡々としているが、「スバル」のWRC(世界ラリー選手権)参戦時からのストーリーと走破性、そこから近年の先進安全技術といった機能性から「スバル」を選んでいるという印象を受けました。そこからさらに「研究者」タイプが多いことも、巷で聞く「スバリスト」を生んだヒントになっているかもしれません。
さいごに
今回は国内の自動車メーカー大手6社のユーザーについて分析しました。
「ACR/ex」では、今回の意識クラスター分類だけではなく、普段接触の多いメディアや広告に特化した意識など、マーケティング・コミュニケーションに必要な情報をお手元で集計しご活用いただくことが可能です。
ご興味お持ちいただけましたら、お気軽に以下よりお問い合わせください。
【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「ACR/ex」
・調査時期:2024年4~6月(春調査回)
・対象地区:全国(東京50km圏・関西・名古屋・北部九州・札幌・仙台・広島)
・ターゲット:個人全体(18‐69才)
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